📋 制度とお金 療育手帳の割引一覧|JR・バス・高速道路・施設で使える減免と第1種・第2種の違い
この記事の目次
手帳が届いた日、窓口で渡されたのは冊子が1冊だけだった。帰省の切符を買う前に「これって安くなるんだっけ」と調べ始めて、そのまま止まっている。動物園の入口で、手帳を出していいのか迷って結局そのまま並んだ——。使えるものがあるらしい、とは聞いていても、どこで何を見せればいいのかは誰も教えてくれません。
先に結論です。療育手帳の割引は、手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の欄にある第1種・第2種のどちらかで入口が決まります。 そして中身は、当日その場で手帳を見せれば使えるものと、先に申請しておかないと使えないものの2つに分かれます。この記事では、交通・施設・公共料金の割引を一覧にしたうえで、どちらのグループに入るかまで整理します。
割引の入口は「第1種」か「第2種」|手帳のどこを見るか
等級のA・Bではなく、別の欄を見ます。ここが割引の話のすべての出発点です。
手帳を開くと、氏名や等級とは別に「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」という欄があります。そこに第1種または第2種と書かれています。鉄道の割引はもちろん、有料道路の割引も「第1種と同じ範囲」という形でこの区分を基準にしているため、実質的にここが交通の割引全体の入口になっています。
区分が変わると、いちばん大きく変わるのが付き添いの保護者が割引になるかどうかです。第1種なら本人と介護者1名が一緒に割引の対象になり、第2種なら原則として本人だけになります。おでかけの費用で考えると、2人分か1人分かの差です。
どの区分になるかは手帳を交付した自治体が決めています。A判定だから必ず第1種、とは限りません。等級の文字から推測せず、欄そのものを見てください。等級の表記そのものの意味は療育手帳の等級とは?にまとめています。
💡 まず見るのは1か所だけです
手帳の中の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の欄に、第1種か第2種のどちらかが書かれています。今日のところは、ここを確認して写真を撮っておくだけで十分です。窓口で聞かれるのも、たいていこの区分です。
当日その場で見せれば使えるもの・先に申請が要るもの
割引は「手帳を見せるだけ」で完結するものと、「事前の手続きがないと1円も安くならない」ものに分かれます。ここを取り違えると、当日に損をします。
| 何が安くなるか | どこで手続き・提示するか | 事前の申請 | 付き添いの保護者も対象か |
|---|---|---|---|
| JR(鉄道)の運賃 | 駅の窓口・改札で手帳を提示 | 不要 | 第1種は対象/第2種は限られる |
| バスの運賃 | 乗るときに運転士へ提示 | 不要 | 事業者ごとに異なる |
| タクシーの運賃 | 利用時に手帳を提示 | 不要 | ー |
| 航空の運賃 | 予約・搭乗手続きのとき | 不要(12歳以上が対象) | 航空会社ごとに異なる |
| 公立の文化施設の入場料 | 各施設の窓口で提示 | 不要 | 施設ごとに異なる |
| 携帯電話の基本料金 | 各社の取扱店で申し込み | 必要 | ー |
| 有料道路の通行料金 | 事前に市区町村の窓口かオンライン | 必要 | 第1種で介護者が運転する場合 |
| NHKの放送受信料 | 市区町村の窓口で証明を受けてNHKへ | 必要 | ー |
| 自動車税・軽自動車税 | 府県税事務所・市区町村の窓口 | 必要 | 生計を一にする家族の運転も対象 |
| 水道料金・下水道使用料 | 市区町村の上下水道の窓口 | 必要 | ー |
もう出かける直前、あるいはもう現地にいるという場合は、上の表の「不要」の行だけを見てください。手帳が手元にあれば、電車・バス・タクシー・飛行機・公立の文化施設は、今日その場で提示すれば使えます。逆に、有料道路とNHKと税の減免は、今日の申し込みでは今日に間に合いません。
金額や条件は2026年時点のもので、自治体と事業者によって中身が変わります。
⚠️ 高速道路とNHKは「行ってから」では間に合いません
この2つは、先に市区町村の窓口で手続きをして、手帳に記載を受けたり証明をもらったりする必要があります。帰省や旅行の予定が決まった時点で動くと、次の長い休みから使えます。
交通の割引:JR・私鉄・バス・タクシー・航空
鉄道の割引は、区分と距離と同行者の3つで決まります。順に見ていきます。
JRについて山口県は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持つ人を対象として、第1種が単独で使う場合は片道101km以上で5割引、介護者が同行する場合はキロ数を問わず本人と介護者の両方が5割引、第2種が単独で使う場合は片道101km以上で5割引と案内しています。つまり第2種の子どもが近所の駅から2駅乗るだけ、という使い方では割引になりません。
2025年4月からの見直しで対象に加わったのは、精神障害者保健福祉手帳です。栃木県は、令和7年4月1日から手帳の等級に応じて1級が第1種、2級と3級が第2種として扱われるようになったと案内しています。療育手帳はそれ以前から対象で、単独で使うときの距離の条件は、いまも第1種・第2種に共通です。
子どもの年齢に関わる細かい決まりも1つあります。栃木県は、介護者と同一区間の乗車券類が5割引になる対象として普通乗車券・回数乗車券・普通急行券・定期乗車券を挙げたうえで、第2種で12歳未満の場合は定期乗車券だけが対象だとしています。毎日の通学や通所で定期を買うなら効きますが、休日のおでかけの切符には効かない、という線引きです。

バス・タクシー・航空は、それぞれ別の決まりで動いています。
- バス:手帳を持つ人が対象ですが、割引の内容はバス会社ごとに決まっています。乗るときに運転士へ手帳を見せる形が基本です
- タクシー:山口県は、身体障害者手帳または療育手帳を持つ人がメーター表示額の1割引になり、利用時に手帳を提示すると案内しています
- 航空:12歳以上が対象で、割引の内容は航空会社ごとに違います。小さい子どもは対象にならない点に注意してください
- 船舶:手帳を持つ人が対象ですが、利用条件も割引率も船舶会社によって変わります
高速道路(有料道路)の割引は、事前登録がすべて
有料道路の割引は、制度としては半額と大きい一方、手続きを踏んでいないと当日まったく使えません。ここだけは仕組みを丁寧に押さえます。
NEXCO東日本は、本人が運転する場合の対象は身体障害者手帳を持つ人で、介護者が運転する場合は身体障害者手帳または療育手帳を持ち、旅客鉄道運賃減額の第1種と同じ範囲の重度の障害がある人が対象だと案内しています。子どもは運転しませんから、療育手帳の家庭で関係してくるのは後者、つまり保護者が運転する形で、子どもの手帳が第1種の場合です。第2種は対象に入りません。
割引率は通常料金の半額で、端数は10円単位で切り上げられます。申請先は、手帳を管理する市区町村の福祉担当窓口か、オンライン申請のサイトです。山口県も、市町で手帳にシールを貼る手続きがあり、ETCを使う場合は別に手続きが要ると案内しています。
使うときの形も2通りあります。NEXCO東日本は、ETCの場合は事前に登録したETCカードと車載器でETCレーンを無線走行したときだけ割引が適用され、登録と違うカードや車載器では対象外になると案内しています。現金で通るときは、料金所の係員に手帳を見せる形です。
有効期限もあります。NEXCO東日本によると、新規・変更の申請は申請日からその後の2回目の誕生日まで、更新の申請は3回目の誕生日まで(最長2年2か月)です。手帳の更新とは別のサイクルで切れるので、カレンダーに入れておくと切らさずにすみます。手帳そのものの更新時期は療育手帳の更新・再判定で確認できます。
施設・NHK・携帯電話:暮らしの中で下がるもの
交通以外にも、手帳の提示や申請で下がるものがあります。ここは「当日でいいもの」と「申請が要るもの」がはっきり分かれます。
公立の博物館・美術館・動物園などの入場料は、その場で手帳を見せるだけのことが多い代表です。枚方市は、文化施設の入場料について療育手帳を持つ人が対象で、各施設の窓口で手帳を提示する仕組みだと案内しています。付き添いの人が無料になるかは施設ごとに違うので、券売機の前で迷ったら有人の窓口に並んでください。
映画館やテーマパークの割引は、公的な制度ではなく事業者がそれぞれ決めています。出発前に行き先の公式サイトを1か所だけ見ておくと、当日が早くなります。
NHKの放送受信料は、条件がはっきりしています。放送受信料免除基準では、全額免除は障害のある人を構成員とする世帯で、その構成員の全員が市町村民税非課税の措置を受けている場合です。半額免除は、重度の障害のある人が世帯主である場合などが対象とされています。子どもが手帳を持っているだけでは免除になりません。 半額免除は本人が世帯主であることが要件なので、子どものケースでは当てはまらないことがほとんどです。申請は市区町村の窓口で証明を受けてからNHKに提出する流れです。
携帯電話の基本料金は、各社が福祉向けの割引を用意しています。枚方市は、療育手帳を持つ人が対象で、申し込み先は各携帯電話の取扱店だと案内しています。契約中の回線でも、あとから申し込めば適用される形が一般的です。
自治体独自の割引は、中身がまったく違う
ここが一覧記事の限界であり、同時にいちばん大事なところです。住んでいる市区町村によって、使えるものが変わります。
たとえば枚方市の案内では、水道料金・下水道使用料の減免の対象は療育手帳Aを持つ人がいる世帯で、基本料金などが減免されます。隣の市が同じ条件とは限りませんし、そもそも水道の減免がない自治体もあります。自動車税と軽自動車税の減免も、対象になる運転者の範囲や申請の期限が自治体ごとに決まっていて、枚方市の軽自動車税は納期限までに申請することが条件になっています。
だから、一覧を見て終わりにしないでください。いちばん確実で早いのは、手帳の交付時にもらった冊子を開くことです。 「障害者福祉のしおり」などの名前で配られていて、その自治体で実際に使える割引と減免が、申請先つきで並んでいます。見当たらなければ、障害福祉の窓口でもう1冊もらえます。
手当・医療費の助成・税の控除など、手帳を見せる以外のお金の制度は発達障害の子が使えるお金の制度一覧にまとめています。手帳を取るかどうかをまだ迷っている段階なら、療育手帳を取るデメリットもあわせて読んでみてください。
💡 全部を使いこなさなくて大丈夫です
この一覧の中で、実際に使うのは2つか3つで十分です。使わなかった割引があっても、損をしたわけではありません。今年の帰省で1回ぶん安くなった、動物園でそのまま入れた——その積み重ねで足ります。
まとめ
- 割引の入口は、手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の欄にある第1種・第2種。等級の文字ではなくこの欄を見る
- 付き添いの保護者も割引になるかは、この区分でほぼ決まる。第1種は本人と介護者1名、第2種は原則として本人だけ
- 当日その場で提示すれば使えるのは、JR・バス・タクシー・航空・公立の文化施設。手帳が手元にあれば今日から使える
- 有料道路・NHK・税の減免・水道は事前の申請が必要。特に有料道路は第1種で介護者が運転する場合が対象で、有効期限もある
- 水道の減免や税の扱いは自治体でまったく違う。交付時にもらった「障害者福祉のしおり」を開くのが最短(2026年時点)
今夜はここまでで大丈夫です。明日やることは1つだけ、手帳を開いて「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の欄が第1種か第2種かを確認し、スマホで写真を撮っておくこと。窓口でも駅でも聞かれるのはそこなので、それだけで次のおでかけがずいぶん楽になります。
よくある質問
療育手帳の第1種と第2種は、どこを見れば分かりますか?
手帳を開いて「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」と書かれた欄を探してください。そこに第1種か第2種のどちらかが記載されています。等級のA・Bとは別の欄なので、等級の文字から推測せず、この欄そのものを確認するのが確実です。記載がない場合は交付元の自治体に問い合わせてください。
子どもが第2種だと、JRの割引は使えないのですか?
使える場面が限られます。山口県の案内では、第2種で本人が単独で乗る場合、片道101km以上の普通乗車券が5割引の対象です。第1種であれば距離に関係なく本人と介護者1名が5割引になります。近距離のおでかけでは割引にならない日もある、と考えておくと窓口で戸惑いません。
高速道路の割引は、出かける当日に申し込めますか?
当日の申し込みでは間に合いません。市区町村の福祉担当窓口かオンライン申請で事前に手続きし、手帳に割引対象である旨の記載を受けておく必要があります。ETCで使うには、あわせて車両とETCカードの登録も要ります。帰省や旅行の予定が決まった時点で動くのが安全です。
NHKの受信料は、子どもが療育手帳を持っていれば免除になりますか?
手帳があるだけでは免除になりません。全額免除は、障害のある人がいる世帯で、世帯の構成員全員が市町村民税非課税である場合が対象です。半額免除は重度の障害のある人が世帯主である場合なので、子どもが手帳を持っているケースでは当てはまらないことがほとんどです。
映画館やテーマパークの割引は、どこで確認すればいいですか?
公的な制度ではなく事業者がそれぞれ決めているので、行き先の公式サイトにある障害者割引の案内ページで確認してください。本人の料金、付き添いの人数、証明書として何を見せるかは事業者ごとに違います。当日に窓口で聞くより、出発前にスマホで1か所だけ見ておくほうが確実です。