📋 制度とお金 特別児童扶養手当が通らなかったときにできること|審査請求・再申請・他の支援
この記事の目次
診断書代を払って、窓口で言われた書類をそろえて、数か月待った。届いた封筒を開けたら、そこにあったのは「不支給」の文字だけ。何がどう足りなかったのかは、読んでも分からない——。不支給の通知は、子どもの困りごとが軽いと言われたという意味ではありません。手当の等級判定は、提出された書類だけを材料にして行われます。だから、状態そのものより先に「書類でどこまで伝わったか」で結果が分かれます。この記事では、決定通知書のどこを見るか、理由によって変わる次の一手、審査請求の期限、期限が過ぎていても使える再申請、特児以外の支援を順に整理します。
不支給の通知が届いたら、まず決定通知書を見る
次の一手は、通知書に書かれている理由で決まります。捨てずに手元に置いてください。
認定請求の結果は、認定・却下いずれの場合も書面で通知されます。却下や不支給の通知書には決定の理由を書く欄があり、不服がある場合にどこへ・いつまでに申し立てられるかも通知書の中で案内されます。
✅ 決定通知書で確認する4つのこと
- 通知書の日付(審査請求の期限を数える起点になります)
- 却下・不支給とした理由の欄に、どんな言葉が書かれているか
- 不服がある場合の申し立て先と、その期限の案内
- 問い合わせ先として書かれている部署名と電話番号
理由の欄が「障害の状態が認定基準に該当しないため」のように短い一文で終わっていることは珍しくありません。それでも、所得のことに触れているのか、障害の程度のことなのかは読み取れます。この違いが、次にやることを分けます。
判定は主治医がするものではありません。東京都は、提出された診断書にもとづいて都の医師が審査して認定すると案内しています。書類が届いた先で、書類だけを見て判断されているということです。等級の考え方は特別児童扶養手当がもらえる基準にまとめています。
不支給の理由は大きく3つ。どれかで次の一手が変わる
理由は、障害の程度・所得・書類の3つのどれかに当てはまることがほとんどです。同じ「不支給」でも、やるべきことは正反対になります。
| 通知に書かれている理由の例 | 起きていること | 次にできること |
|---|---|---|
| 障害の状態が認定基準に該当しない | 提出された診断書の内容が、国の定める障害程度認定基準の1級・2級に届かなかった | 診断書の中身を見直して再申請する。判定そのものに納得できなければ審査請求 |
| 前年の所得が限度額以上 | 前年の所得が限度額を超えていた。障害の程度とは別の理由で止まっている | 翌年度以降にあらためて申請する。扶養親族の数や控除の反映を確認する |
| 書類の不備・記載不足 | 診断書の作成日が古い、記入もれがある、日常生活の状況の欄がほぼ空欄など | 窓口で足りない部分を聞き、そろえ直して出し直す |
いちばん多いのは1つ目です。診断書に病名と検査結果は書かれていても、食事・着替え・トイレ・入浴でどれくらい手がかかるかが書かれていないと、判定する側には伝わりません。診断書をめぐるやりとりは診断書を書いてもらえないときで扱っています。
3つ目の書類の不備は、いちばん取り返しがつきやすい理由です。埼玉県は診断書について、作成日から2か月以内のものを提出するよう案内しています。取得から提出までに時間がかかっただけで止まっている場合もあります。
判定に納得できないときの審査請求
審査請求は、行政不服審査法にもとづいて決定そのものを見直してもらう手続きです。期限があるので、使うかどうかは早めに決めてください。
千葉県は、審査請求ができる期間について、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内と案内しています。あわせて、処分があった日の翌日から1年が過ぎたときは原則としてできなくなるとも説明しています。「処分があったことを知った日」は、決定通知書を受け取った日と考えるのが分かりやすいです。
出し方は書面です。千葉県は、法律で決まっている項目が書かれていれば様式は自由で、処分通知書の写しをできる限り添付するよう案内しています。判定を行うのは都道府県や指定都市なので、申請を受け付けた市区町村の窓口とは提出先が別になることがあります。申し立て先は通知書に書かれた案内をそのまま使うのが確実です。
審査請求をしても、結果が変わるとは限りません。それでも、どの部分がどう評価されたのかが見えてくる過程は、その後の再申請の材料になります。
期限を過ぎていても、再申請の道は閉じていません
3か月がとっくに過ぎている。通知書を引き出しにしまったまま半年たった。そういう方も、ここで止まらなくて大丈夫です。認定請求は、審査請求の期限とは関係なく、いつでも出し直せます。回数の上限もありません。
申請の窓口は住所地の市区町村です。前に落ちたからと遠慮する必要はありません。子どもの状態は年単位で変わりますし、就学や進級で困りごとの出方も変わります。前回と今回では、判定する側が受け取る材料そのものが変わり得ます。
埼玉県は、手当が支給されるのは原則として認定請求をした日の属する月の翌月分からだと案内しています。さかのぼって支給される仕組みではないので、準備が整った月に出すことに意味があります。
💡 不支給は、子育てへの評価ではありません
通知書に書かれているのは、提出された書類が国の基準の枠に入ったかどうかだけです。子どもの大変さも、毎日の手のかかり方も、そこで測られたわけではありません。支援を受ける資格がないと言われたのでもありません。今日は通知書を引き出しに戻して、明日以降に一つずつで大丈夫です。
再申請のときに変えたい3つのこと
同じ書類をもう一度出しても、判定は同じになりやすいです。変えるところは3つに絞れます。

1つ目は、日常の困りごとを紙にして医師に渡すこと。診察室の数十分では、家での様子は伝わりません。食事・着替え・トイレ・入浴でどこまで手を出しているか。夜眠るまでにかかる時間と、夜中に起きる回数。外出時に目を離せない場面。園や学校から言われている困りごと。調子のよい日ではなく、支援がない場面での様子を1〜2枚にまとめて持って行きます。
2つ目は、受診の間隔。受診が年に1回では、医師の側にも書ける材料がありません。数か月に一度でも続けて診てもらう関係があると、経過として書ける情報が増えます。次の受診で、いつごろ診断書を書いてもらえそうか相談しておくと、作成日が古くなるのも防げます。
3つ目は、書き手との相談のしかた。「通るように書いてください」という頼み方は、事実と違うことを書くよう求めているように聞こえます。判定は自治体側が行うので、そこは自治体に委ねるという前提で、現在の状態をそのまま書いてほしいと伝えるほうが通りが良くなります。
所得制限が理由だった場合の考え方
所得が理由の不支給は、子どもの状態の評価とは切り離して考えてください。障害の程度とは別のところで止まっています。
厚生労働省は、受給資格者本人か、その配偶者、生計を同じくする扶養義務者の前年の所得が一定の額以上であるときは手当を支給しないと説明しています。限度額は扶養親族等の数によって変わり、2026年9月時点で厚生労働省が示している表では次のようになっています。
| 扶養親族等の数 | 受給資格者本人の所得額 | 参考: 給与収入の目安 |
|---|---|---|
| 0人 | 4,596,000円 | 6,420,000円 |
| 1人 | 4,976,000円 | 6,862,000円 |
| 2人 | 5,356,000円 | 7,284,000円 |
| 3人 | 5,736,000円 | 7,707,000円 |
配偶者や扶養義務者には別の枠があり、扶養親族等が0人の場合で6,287,000円(給与収入の目安8,319,000円)からとなっています。ここでいう所得額は収入そのものではなく、医療費控除・障害者控除・寡婦控除などを差し引いたあとの額です。医療費が多くかかった年や、扶養親族の数が変わった年は、同じ収入でも判定が変わることがあります。
見ておきたいのは、収入が下がった年は翌年の申請に反映されること、扶養親族等の数が増えると限度額も上がること、医療費控除や障害者控除の申告もれがないかの3点です。所得が理由なら、翌年度以降にあらためて申請する道がまっすぐ残っています。手当が始まったあとも毎年の所得確認が続く仕組みで、その流れは所得状況届の書き方にまとめています。
特児が通らなくても使える支援と、相談先
特別児童扶養手当は数ある支援の1つで、通らなかったからといって他の道まで閉じるわけではありません。
- 自治体独自の手当——都道府県や市区町村が独自に出している障害児向けの手当です。国の制度とは基準が別なので、そちらは該当することがあります
- 医療費の助成——重度心身障害者医療費助成など、自己負担を軽くする制度が自治体ごとにあります
- 受給者証による療育——児童発達支援や放課後等デイサービスは障害児通所受給者証で利用します。手帳や手当がなくても、必要性が認められれば発行されます。違いは受給者証と療育手帳の違いにまとめています
- 障害者手帳・療育手帳——税の控除や各種割引が結びついています。手当とは別に検討できます
名前が似ていて混同されやすいのが障害児福祉手当です。厚生労働省は、重度の障害があって日常生活で常時の介護を必要とする在宅の20歳未満の方が対象だと説明しています。特別児童扶養手当より重い状態が前提なので、特児の代わりとしては期待しにくい制度です。
相談先は、市区町村の障害福祉の窓口、療育手帳の判定を行う児童相談所や知的障害者更生相談所、都道府県・指定都市の発達障害者支援センターが入り口になります。どこも無料です。まずは通知書を持って市区町村の窓口へ行き、理由の読み方と次にできることを聞くところからで十分です。電話や訪問の前に、困っている場面を2つか3つメモにしておくと話が早く進みます。
なお、金額や限度額、手続きの細かい運用は年度や自治体によって変わります。この記事の数字は2026年9月時点のもので、実際に動くときはお住まいの市区町村の案内で確認してください。
まとめ
- 不支給の通知が届いたら、まず決定通知書の理由の欄と日付を確認します。次の一手はそこで決まります
- 理由は障害の程度・所得・書類の3つのどれかで、それぞれ打ち手が違います
- 判定に納得できないときの審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内が原則です
- 期限が過ぎていても、認定請求はいつでも出し直せます。回数の上限もありません
- 再申請では、日常の困りごとを紙にして渡す・受診を続ける・書き手と相談する、の3つを変えます。所得が理由なら翌年度以降に出し直せます
今夜はここまでで大丈夫です。明日、気持ちに余裕があるときに、決定通知書の日付だけカレンダーに書き写してください。3か月の期限が残っているかどうかが分かれば、次に何から手をつけるかが決まります。
よくある質問
特別児童扶養手当が不支給になった理由は、教えてもらえますか?
決定通知書に理由の記載欄があるので、まずそこを読んでください。文言が短くて分からないときは、申請した市区町村の窓口に通知書を持って行き、どの部分が基準に届かなかったのかを聞けます。判定そのものは都道府県・指定都市が行うため窓口で答えられる範囲には限りがありますが、次に何を補えばいいかの見当はつきます。
審査請求をすれば、手当が通りますか?
審査請求は判定をもう一度見直してもらう手続きで、結果が変わることも、変わらないこともあります。通ることが約束された手続きではありません。ただし、提出した書類がどう評価されたのかが明らかになる過程でもあるため、その後の再申請の材料になります。
再申請はいつからできますか?
決まった待機期間はなく、市区町村の窓口で受け付けてもらえます。ただし前回と同じ内容の診断書では判定も同じになりやすいので、状態の変化を診断書に書ける時期か、日常の困りごとをより具体的に伝えられる準備が整った時期を選ぶのが現実的です。診断書は作成日から2か月以内のものを求める自治体が多いので、取得の時期は窓口で確認してください。
不支給だった場合、払った診断書の費用は戻りますか?
診断書の作成費用は医療機関に支払うもので、不支給になっても原則として戻りません。自治体によっては申請にかかる診断書料の助成制度を設けている場合があるので、市区町村の障害福祉の窓口で助成の有無を確認してみてください。
療育手帳を取れば、特別児童扶養手当は通りますか?
療育手帳と特別児童扶養手当は別の制度で、手帳があれば自動的に手当が出るわけではありません。手帳の等級によっては診断書を省略できる自治体もありますが、手当の等級判定はあらためて行われます。手帳の取得を検討している場合も、手当の申請とは分けて考えてください。