大きな窓から光が入る保育室に、子ども用の丸テーブルと木の椅子、教材棚が並んでいる様子 🤝 療育・支援サービス
療育・支援サービス 公開: 2026年9月2日

保育園・幼稚園の加配とは?申請の流れ・基準・メリットとデメリット

この記事の目次
  1. 加配とは?「専属でつく先生」とは限らない
  2. 加配の対象になるのは?基準は自治体ごとに違う
  3. 加配を申請する流れと、最初に伝える相手
  4. 申請の時期はいつ?翌年度分は秋から冬が中心
  5. いま9月から動くなら、この順番で
  6. 加配のメリットと、正直な注意点
  7. 加配がつかなかったときにできる3つのこと
  8. 園に来てもらう「保育所等訪問支援」という選択肢
  9. まとめ

連絡帳に「今日も一人で部屋を出てしまいました」と書かれていた。運動会の練習の時間だけ、うちの子は輪の外にいるらしい。面談で「来年度、加配を考えてみませんか」と言われて、その場ではうなずいたけれど、加配が何なのかは分からないまま帰ってきた——。園から言われて初めて聞いた言葉、という方がほとんどだと思います。子どもを寝かせたあとに検索してここへたどり着いた方へ、順番に整理します。

先に結論をお伝えします。加配とは、担任の先生とは別に、保育士や幼稚園教諭を追加で配置する仕組みです。ただし、その子だけに専属でつく先生とは限りません。国が全国共通の基準を決めているわけではなく、対象の決め方も呼び名も市区町村ごとに違います。この記事では、実際の運用、対象になる子、申請の流れ、申請の時期、メリットと正直な注意点、そして加配がつかなかったときの代わりの手までをまとめます。9月のいまから動く場合にできることも、後半に書きます。

加配とは?「専属でつく先生」とは限らない

加配は、支援が必要な子どもを受け入れる園に、通常の配置に上乗せして職員を置くことをいいます。自治体によっては障害児保育、特別支援保育、育成保育といった名前で案内されています。園の求人票で見かける「加配保育士」も、この職員のことです。

ここが最初につまずきやすいところなので、はっきり書きます。加配の先生は、多くの場合、クラス全体を見ながら必要な場面で支援に入ります。着替えの時間だけそばにつく、活動の切り替えのときに声をかける、教室を出てしまったときに一緒に戻る、といった関わり方です。朝から帰りまでマンツーマンでついてくれる形を想像していると、初日に落差を感じます。

配置の人数の考え方も、1対1ではありません。内閣府の障害者白書は、地域型保育事業について、特別な支援が必要な子ども2人に対して保育士1人を配置する形を紹介しています。国が想定している姿がすでに2対1だと知っておくと、園の説明が腑に落ちやすくなります。

💡 期待値を合わせておくと、あとがラク

専属ではないと知ると、がっかりする方もいるかもしれません。それでも、大人の目がもう一組増えること自体が、子どもにとっては大きな違いです。「今日はどの場面で助かりましたか」と聞ける相手が園にできる、と考えると近いかもしれません。

加配の対象になるのは?基準は自治体ごとに違う

診断や手帳が必ず要るわけではありません。ただし、どこまでを対象にするかは市区町村がそれぞれ決めています。

理由は財源のしくみにあります。障害児保育のお金は、使いみちを国が細かく決めない形で市区町村に配られています。内閣府の障害者白書によれば、2018年度にこの措置額が約400億円から約880億円へ拡充され、各市町村が実際に受け入れた障害児の数に応じて算定されるようになりました。お金の出どころが市区町村なので、基準も市区町村がつくることになります。

実際の違いを2つ並べます。

自治体対象の決め方の例
京都市特別児童扶養手当の対象児、療育手帳・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳を持つ子、児童福祉センターの判定にもとづく受給者証を持つ子などを挙げたうえで、市長がそれと同じ程度以上と認めた子も対象に含める。5つの区分に分けて認定する
越谷市支援が必要な障がい等の程度が市の定める加配基準に当てはまり、保育室での集団生活ができることを条件にしている

手帳や受給者証を軸にする自治体でも、京都市のように「同じ程度と認めた子」という受け皿を残していることが多くあります。手帳がないから無理、と自分で判断して問い合わせをやめないでください

園の種類によっても入口が変わります。認可保育所や認定こども園は市区町村の保育の担当課が窓口です。私立幼稚園は都道府県が所管していて、特別な支援が必要な子を受け入れる園に都道府県が補助を出す形が中心なので、話は園と都道府県の枠組みで進みます。認可外保育施設には公的な加配のしくみがない地域もあり、園が自前で人を増やせるかどうかで決まります。まずは通っている園、または希望する園に「この園に加配のしくみはありますか」と聞くのが最短です。

加配を申請する流れと、最初に伝える相手

最初に伝える相手は、担任の先生か園長です。市区町村へ直接電話しても、結局は園の状況を確認するところから始まります。すでに通っている園なら担任、これから入園する園なら見学や面談のときに園長へ、が自然な順番です。

1
園に相談する担任か園長に、家庭で気になっていることと園での様子を伝える。「加配について聞きたい」と言葉にして構わない。
2
市区町村の窓口につなぐ園から市区町村へ申請する自治体と、保護者が直接申し込む自治体がある。どちらの形かを園に確認する。
3
書類をそろえる子どもの様子を書く用紙、医師の意見書、手帳の写しなど。練馬区は心身状況表と主治医等見解書を挙げている。
4
子どもの様子を見てもらう巡回相談の担当者や市区町村の職員が園で様子を見る、入園前に短時間通う、発達検査を受けるなど、方法は自治体ごとに違う。
5
判定・決定市区町村が対象かどうかと支援の程度を決める。京都市は書類審査と訪問調査をもとに判定会議で区分を決めている。
6
職員を配置して開始園が人を確保できた時点で配置される。決定から実際の配置まで時間がかかることもある。

書類の名前は自治体でばらばらです。練馬区は申請前の事前相談を求めていて、心身状況表と主治医等見解書、手帳がある場合はその写しを挙げています。さらに入園前に2日程度、実際に園で過ごす時間を設けて様子を確認するとしています。越谷市は仮申込をした場合に面接を不要とし、公立保育所での体験入所のときに兼ねる形をとっています。同じ「加配の申請」でも、やることの中身は住んでいる場所で変わります

大人の手が木製パズルの置き場所を指さし、子どもの手がピースを動かしている様子

申請の時期はいつ?翌年度分は秋から冬が中心

翌年4月からの入園・進級に合わせた申請は、秋から冬にかけて受け付ける自治体が多くあります。保育所等の一斉受付と時期が重なるためです。しかも、加配を希望する場合は一斉受付より早く動く必要がある地域があります。

越谷市は、2027年4月からの特別支援保育の仮申込を2026年9月1日から7日までの1週間で受け付けると案内しています。入所そのものの申込書は一斉受付期間に別途出す形です。つまり、9月に入った時点で、翌年度の枠についてはもう受付が始まっている自治体があるということです。

ここで、申請をためらわせる誤解を1つ解いておきます。「加配を頼むと入園できなくなる」という話です。加配を希望したことが選考の減点になる仕組みではありません。練馬区は、障害児保育の対象になった子どもに選考の調整点を加えると案内しています。とはいえ、受け入れられる人数や職員の確保には園ごとに限りがあるため、希望どおりの園になるとは限りません。加配を希望するときほど、候補の園を複数持っておくと動きやすくなります。

⚠️ ここだけ覚えて帰ってください

加配の希望は減点材料ではありません。ただし園ごとの受け入れ枠には限りがあります。希望を出すことと、候補の園を複数持っておくことは、両立させて大丈夫です。

締め切りが過ぎていても、年度の途中でまったく動けなくなるわけではありません。練馬区は1月から3月までの入園については障害児保育を実施しないと案内しています。裏を返せば、それ以外の月は年度の途中でも受け付けているということです。すでに通っている園で状況が変わった場合の追加配置も、園から市区町村へ相談する形で検討される自治体があります。

いま9月から動くなら、この順番で

「秋に受付」と読んで、間に合わなかったと感じた方へ。ここから3週間でできることを順番に書きます。

  1. 今週:担任か園長に「加配について相談したい」と伝える。時間を取ってもらう日を決めるだけで十分です
  2. 来週:住んでいる市区町村のサイトで「障害児保育」「特別支援保育」「加配」のいずれかを検索し、担当課の名前と電話番号をメモする。見つからなければ保育の担当課に電話して聞く
  3. その次:申請の時期、必要な書類、年度途中の扱いの3つを窓口に確認する。この3つが分かれば、次に何をすればいいかが決まります

すでに通っている園なら、来年度に向けた話し合いは進級前の面談でも間に合うことがあります。これから入園する園を探している段階なら、見学のときに「加配の実績はありますか」と聞いておくと、園ごとの差がはっきり見えます。

加配のメリットと、正直な注意点

いい面だけを書いても選べないので、両方並べます。

期待できること知っておきたいこと
危ないときにすぐ止められる大人が増える申請しても、職員が確保できず配置されない年度がある
着替えや切り替えなど、つまずく場面に手が入る専属ではなく、クラス全体を見ながらの支援になることが多い
集団の中にいられる時間が延びる越谷市のように、集団生活ができることを条件にしている自治体もある
園と家庭で子どもの様子を共有しやすくなる加配の先生が代わると、関わり方も変わることがある
就学相談や小学校への引き継ぎの材料が残る周りの子や保護者から「あの子には先生がついている」と見えることがある

とくに気持ちが揺れるのは、いちばん右下の項目だと思います。園には、加配の先生がどのクラスにも入る園もあれば、実質1人につく園もあります。どう見えるかが気になるときは、園にどう説明しているかを先に聞いておくと、心の準備ができます。

子どもへの説明も、あとまわしにしないほうが楽です。「◯◯先生は、困ったときに一緒に考えてくれる先生だよ」のように、役割で伝えると受け取りやすくなります。診断名や「あなたは特別だから」という説明は必要ありません。

加配がつかなかったときにできる3つのこと

申請しても対象にならなかった、あるいは人が確保できなかった。そのときも、園での過ごしやすさを変える方法はあります。

1つ目は、園への配慮のお願いです。加配という枠でなくても、席の位置を変える、活動の前に個別に声をかける、切り替えの前に予告する、といった工夫は担任の裁量でできます。「加配が無理なら何もしてもらえない」ということはありません。困る場面を3つに絞って伝えると、園も動きやすくなります。

2つ目は、巡回相談です。市区町村が心理職や保健師などを園に派遣し、子どもの様子を見て担任に助言するしくみで、多くの自治体が用意しています。保護者からの申し込みではなく園から依頼する形が一般的なので、担任に「巡回相談をお願いできますか」と伝えてみてください。

3つ目は、児童発達支援との併用です。園に通いながら週に何日か療育に通う形は併行通園と呼ばれ、国のガイドラインでも進める方向が示されています。園でうまくいかない場面を、少人数の場で練習してから戻る、という組み立てができます。通う回数の決め方は療育は週何回がいい?に、通い先の選び方は児童発達支援センターと事業所の違いにまとめています。

園に来てもらう「保育所等訪問支援」という選択肢

もう1つ、知られていないわりに使い道の広いしくみがあります。保育所等訪問支援は、支援の専門職が子どもの通う園に出向いて、子ども本人への支援と、園の先生への助言を行うサービスです。こども家庭庁は2024年7月にガイドラインを示し、園と家庭と支援者が同じ方向を向けるようにすることを目的として掲げています。

加配との違いは、人が園の職員として増えるのではなく、外から専門職が定期的に入る点です。だから、加配がつかなかった園でも使えます。子どもを別の場所へ連れて行かなくていいので、送迎の負担も増えません。

使うには、児童発達支援などと同じように受給者証の申請が必要です。訪問の頻度は2週に1回や月1回といった形が多く、内容は市区町村や事業所によって違います。園に「訪問支援を受け入れてもらえますか」と確認したうえで、市区町村の障害福祉の窓口に相談する流れになります。受給者証のしくみは受給者証と療育手帳の違いで整理しています。

まとめ

  • 加配は担任とは別に職員を追加で配置するしくみで、専属でつくとは限りません。国が示す配置の考え方も1対1ではありません
  • 対象の決め方は市区町村ごとに違います。手帳や診断がなくても、同じ程度と認められれば対象になる自治体があります
  • 最初に伝える相手は担任か園長です。園から申請する自治体と保護者が申し込む自治体があります
  • 翌年度分は秋から冬の受付が中心ですが、1月から3月を除いて年度の途中でも相談できる自治体があります
  • つかなかったときも、園への配慮のお願い・巡回相談・併行通園・保育所等訪問支援という手が残っています

今夜はここまでで大丈夫です。明日、園に行ったときに担任の先生へ「加配のことで一度お時間をいただけますか」と一言だけ伝えてみてください。書類も検索も、そのあとで間に合います。

よくある質問

診断名がなくても加配はつきますか?

診断や手帳がなくても対象になる自治体があります。京都市のように手帳や受給者証を持つ子を基準に挙げつつ、市長がそれと同じ程度と認めた子も対象に含める形もあれば、「発達に遅れがある子ども」と広く書いている自治体もあります。ただし、判断のために医師の意見書や発達検査の結果を求められることは多いので、園に相談した段階で必要な書類を確認してください。

加配がつくと、入園の選考で不利になりますか?

加配を希望したこと自体が減点になる仕組みではありません。練馬区は障害児保育の対象になった子どもに選考の調整点を加えると案内しています。ただし、受け入れられる人数や職員の確保には園ごとに限りがあるため、希望した園に必ず入れるとは限りません。複数の園を候補にしておくほうが安全です。

加配の先生は、うちの子だけを見てくれますか?

専属でつくとは限りません。クラス全体を見ながら、必要な場面で支援に入る形が多くなっています。国が示している配置の考え方も1対1ではなく、支援が必要な子ども2人に対して職員1人という形が紹介されています。園によって関わり方が違うので、入園前や進級前の面談で「どんな場面でどう入るか」を具体的に聞いておくと落差が減ります。

年度の途中から加配をお願いできますか?

できる自治体があります。練馬区は1月から3月までの入園では障害児保育を実施しないと案内していて、裏を返せばそれ以外の月は年度の途中でも受け付けています。すでに通っている園で状況が変わった場合の追加配置も、園から市区町村へ相談する形で検討されます。まずは担任か園長に「途中からでも相談できますか」と聞いてください。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。