🤝 療育・支援サービス 療育に行きたがらないときの対応|嫌がる理由の切り分け方と休ませ方
この記事の目次
玄関で靴を持ったまま座り込む、駐車場に車が入った瞬間に泣き出す、前の日の夜から「明日行かない」と何度も言う——。少し前まで「今日も楽しかった」と言っていたのに、この2週間ほど毎回これが続いている。無理にでも連れて行くべきなのか、休ませたら癖になるのか。先にお伝えすると、嫌がる理由が分からないまま「行く・行かない」だけを決めようとすると、いちばん消耗します。この記事では、行きたがらない理由を5つに切り分ける見方、子どもから答えを引き出す聞き方、休ませる日の決め方、事業所に角を立てずに相談する言い方、そして個別支援計画の見直しという公式のルートまでを順に見ていきます。
療育に行きたがらない理由を5つに切り分ける
同じ「行きたくない」でも、中身はまったく違います。手を打つ場所を間違えないために、まず次の5つのどれに近いかを見当づけてください。
| 理由 | よく出るサイン | 手前で試せること |
|---|---|---|
| ① 活動が合っていない | 特定の曜日だけ嫌がる/「つまらない」と言う/課題の時間だけ席を立つ | 難しすぎるか簡単すぎるかを事業所に確認する。活動の量を減らしてもらう |
| ② 感覚の環境がつらい | 人が多い日に限って嫌がる/耳をふさぐ/においや音の話をする | 部屋の場所、人数の少ない曜日、イヤーマフの持ち込みを相談する |
| ③ 人との関係 | 特定の子や職員の名前が出る/その人がいる曜日だけ渋る | 誰と一緒の時間かを聞き取り、席やグループの分け方を相談する |
| ④ 移動と切り替えの負担 | 行った日はぐったりしている/学校の後だけ嫌がる | 開始時間を遅らせる、送迎の順番を変える、回数を減らす |
| ⑤ 家庭側の事情 | 夜ふかしが続いている/親が焦っている時期と重なる | 起きる時間を先に戻す。親の「行かせなきゃ」を一度手放す |
見分けるときは、嫌がった日と行けた日を並べて、条件の違いを探すのが早道です。曜日、時間帯、送迎の有無、その日の担当者、学校での出来事。スマホのメモに1行ずつ残すだけで、2週間もすれば共通点が浮かびます。
音や人の多さが引き金になっている場合は、家庭で使っている工夫がそのまま事業所でも効きます。聴覚過敏で音を嫌がる子への対処法で紹介している方法を、そのまま職員に伝えてみてください。
⑤を入れているのは、親を責めるためではありません。夏休みの生活リズムの崩れや、親自身の焦りは、子どもに伝わりやすい要素だからです。ここが原因だった場合は、いちばん短い時間で解決します。
「なんで行きたくないの?」では答えが返ってきません
理由を聞こうとして、玄関で「どうして行きたくないの」と問いかける。ここでつまずくのは、子どもの側に答える力がないからではなく、質問の形が難しすぎるからです。
こども家庭庁は、障害のある子どもの意思をくみ取るための手引きの中で、意見を言えないと決めつけず、言葉だけでなく行動の変化など客観的な様子から気持ちを推し量ることが大切だと示しています。発達障害のある子どもには、見通しを分かりやすく伝えることや、1番目・2番目と順番に伝えること、メモや絵など後から確認できる形で伝えることが配慮の例として挙げられています。
家庭でできる聞き方に置き換えると、次の4つになります。
- 2択で聞く: 「行きたくないのは、お部屋がうるさいから? それとも先生とやることが難しいから?」と、選ぶだけで答えられる形にする
- 時間をずらして聞く: 玄関や車を降りる直前は避ける。帰りの車の中、寝る前の布団の中など、正面を向かなくていい場面を選ぶ
- 絵や写真で聞く: 事業所の中の写真、活動の予定表を見せて、嫌なところを指でさしてもらう
- 点数にしてもらう: 「今日は10のうちいくつ?」と数字にすると、言葉にならない子でも差を伝えられる

返ってきた答えが「なんとなく」でも、それは失敗ではありません。曜日や活動を変えたときの反応の違いが、結局いちばん確かな情報になります。
🌱 「行きたくない」と言えるのは、育っている証拠です
自分の嫌な気持ちに気づいて、それを親に向けて出せている。これは、通い始めのころにはできなかったことかもしれません。困った行動に見える場面が、意思を伝える力が伸びたサインであることもあります。
休ませていい? 決めておくのは「理由」と「次に行く日」
結論から書くと、休ませて構いません。体調、疲れ、気持ちの落ち込み。大人が仕事を休む理由と、そこまで違いはありません。
気をつけたいのは、休むこと自体ではなく、「行きたくないと言えば必ず休める」形だけが残ってしまうことです。そうなると、次はもっと早い段階で「行きたくない」が出るようになり、親も判断のたびに疲れます。防ぐ方法は単純で、休むと決めた時点で、休む理由と次に行く日を言葉にしておくことです。
3回続けて休んだら、様子を見る段階から相談する段階に移ります。回数を目安にしておくと、毎回ゼロから悩まずにすみます。
事業所に相談するときの伝え方(そのまま使える例文)
保護者からの相談を受けて支援を調整することは、事業所の仕事に含まれています。こども家庭庁のガイドラインは、家族からの相談に対する適切な助言や、障害の特性に配慮した家庭環境の整備を、事業所が行う家族支援の内容として挙げています。遠慮する場面ではありません。
とはいえ、伝え方ひとつで受け取られ方は変わります。事実と困りごとを先に置き、原因の決めつけを外すのがこつです。
| つい言ってしまう形 | こう言い換える |
|---|---|
| 「うちの子に合っていないみたいです」 | 「最近3回続けて行き渋りがあって、何が負担になっているか一緒に考えていただけますか」 |
| 「先生が厳しいからじゃないですか」 | 「木曜日だけ強く嫌がります。その日の活動やグループの様子を教えていただけますか」 |
| 「もうやめようかと思っています」 | 「続けたい気持ちはあるので、回数や時間帯を変えて様子を見る方法はありますか」 |
頼めることは思っているより多くあります。活動内容の調整、グループや席の変更、利用する曜日や時間帯の変更、送迎の順番の見直し、家庭での過ごし方の助言。どれも「お願いできますか」と聞いてみる価値があります。
✅ 相談の前に手元にそろえておくこと
- 嫌がった日付と曜日(直近1か月分でじゅうぶん)
- 行けた日と嫌がった日の違い(送迎、時間帯、担当者、学校の行事)
- 子どもが口にした言葉を、そのままの言い回しで
- 家で試したことと、その結果
- 親としてどうしたいか(続けたい/回数を減らしたい/内容を変えたい)
個別支援計画の見直しという公式のルート
口頭のお願いで変わらないときのために、制度の側に用意された手順があります。それが個別支援計画の見直しです。
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、事業所が一人ひとりの計画を作り、それに沿って支援を行います。この計画には子どもと家族の生活に対する意向を書く欄があり、こども家庭庁のガイドラインは、子どもと家族の意向とアセスメントを踏まえて作成することを求めています。つまり、親の希望を計画に反映させることは、例外的なお願いではなく、もともと想定された手順です。
見直しの間隔についても目安が示されています。こども家庭庁のガイドラインは、計画をおおむね6か月に1回以上モニタリングすることになっているとしたうえで、子どもの状態や家庭の状況に変化があった場合には6か月を待たずにモニタリングを行う必要があると明記しています。行き渋りが続いている状態は、まさにこの「変化があった場合」にあたります。次の更新まで待つ理由はありません。
事業所以外にも、動かせる相手がいます。
| 相談先 | 頼めること |
|---|---|
| 事業所の児童発達支援管理責任者 | 個別支援計画の見直し、活動内容・曜日・時間帯の調整 |
| 相談支援専門員 | 障害児支援利用計画の見直し。事業所との間に立って調整してもらう |
| 市区町村の障害福祉の窓口 | 利用日数の変更、ほかの事業所や制度の情報、事業所への働きかけ |
| 発達障害者支援センター | 特性の理解や関わり方の相談。都道府県や政令市に置かれている |
担当者会議の場に子ども本人が参加する方法もあります。こども家庭庁のガイドラインは、年齢や発達の程度に応じて子ども本人や保護者の意見を聴くことが求められるとして、会議に参加してもらうことや、開催前に本人へ直接会って意見を聴くことを例に挙げています。手続きの細かい進め方は自治体や事業所によって異なるため、まずは担当者に確認してください。
それでも合わないときに残っている選択肢
環境を調整しても行き渋りが続くなら、通い方そのものを変える段階です。やめる以外にも、間の選択肢があります。
| 通い方を変える | 場所や種類を変える |
|---|---|
| 週の回数を1回減らして様子を見る | 別の事業所を見学して比べる |
| 嫌がる曜日を別の曜日に振り替える | 集団中心から個別中心の事業所に移る |
| 開始時間を遅らせて、帰宅後に休憩を挟む | 2か所を曜日で使い分ける |
| 短時間だけの利用に切り替える | いったん休止して、時期を見て再開する |
回数を減らす判断で迷うときは、療育は週何回が適切?に、頻度を決めるときの考え方をまとめています。ここまで試しても改善が見えず、続けること自体が家族の負担になっているなら、判断の材料は放課後等デイサービスのやめどきのサインに整理してあります。やめると決めたあとの伝え方は事業所に「やめたい」と伝えるときの言い方をどうぞ。
大事なのは順番です。やめるかどうかを考えるのは、環境の調整を一通り頼んだあとで十分に間に合います。
まとめ
- 行きたがらない理由は、活動・感覚の環境・人との関係・移動と切り替えの負担・家庭の事情の5つに切り分けると、手を打つ場所が見えます
- 「なんで行きたくないの」ではなく、2択・時間をずらす・絵や写真・点数の4つの聞き方に変えると答えが返ってきます
- 休ませて構いません。休む理由と次に行く日を先に言葉にすれば、休みは区切りのままでいられます
- 事業所には、活動内容・グループ・曜日・時間帯・送迎の調整を頼めます。事実と困りごとを先に置いた言い方が通りやすくなります
- 個別支援計画はおおむね6か月に1回以上見直され、状況が変わったときは6か月を待たずに見直せます(2026年時点・進め方は自治体や事業所により異なります)
- やめる判断は最後です。回数を減らす、曜日を変える、事業所を移すという間の選択肢が先にあります
今夜はここまでで大丈夫です。明日は、嫌がった日の日付と曜日をカレンダーに丸で囲むところまでで十分です。3つ丸が並んだら、そのカレンダーを持って事業所に相談してください。それだけで、話が具体的に進みます。
よくある質問
療育を1回休ませると、行けなくなってしまいませんか?
1回休んだだけで通えなくなることは、ほとんどありません。心配なのは休んだ回数ではなく、「行きたくないと言えば必ず休める」形だけが残ることです。休む日を決めるときに、次に行く日を一緒にカレンダーで確認しておけば、休みは区切りのある選択肢のままでいられます。
何回くらい嫌がったら事業所に相談していいですか?
回数の決まりはなく、気になった時点で相談して構いません。目安を作るなら、3回続けて強く嫌がった、または行った日の帰りの様子が2週間ずっと重い、あたりです。早い段階のほうが、活動の内容や時間帯を調整する余地が残っています。
小学生になってから急に行きたがらなくなりました。理由は何でしょうか?
学校で気を張った反動が出る時期と重なりやすく、放課後にもう一か所へ移動すること自体が負担になっている場合があります。活動が本人の今の力に対して簡単すぎて退屈になっているときも、行き渋りとして表れます。学校での様子と合わせて事業所に伝えると、原因の見当がつきやすくなります。
事業所は途中で変えられますか?
契約は事業所ごとに結ぶので、変更や併用はできます。受給者証に書かれた日数の範囲で使う形は変わりませんが、日数そのものを変えたいときは市区町村への変更申請が必要です。手続きの順番は自治体によって違うので、障害福祉の窓口か相談支援専門員に先に確認してください。
子どもが理由をまったく話しません。それでも相談できますか?
できます。理由が分からないこと自体が、相談する十分な材料になります。何曜日か、送迎か、どの活動の日かなど、嫌がった日の条件を親が並べて伝えれば、事業所側は職員の配置や活動内容と照らして原因を探せます。