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白い紙の上で鉛筆を立てたまま止まっている子どもの手元と、手前の消しゴム。夕食後の宿題で手が止まり、親子げんかが始まる直前の場面のイメージ 🏠 家庭でのかかわり
家庭でのかかわり 公開: 2026年5月25日

宿題のたびに親子げんかになる|親が教えるとこじれる理由と、教えるのをやめて頼れる3つの形

この記事の目次
  1. 親が教えると、なぜこじれるのか
  2. まず学校に相談する(無料)
  3. つまずいた場所は、今の学年にないことが多い
  4. 親以外に任せる3つの形
  5. 今夜からできる、親子げんかを減らす3つ
  6. まとめ

夕食の片づけが終わるころ、机の上には消しゴムのかすが小さな山になっている。「さっき言ったでしょ」と声が大きくなり、子どもは泣いて鉛筆を投げ、プリントは1問も進んでいない。寝る時間になって、教えた自分を責めながら机を片づける。

こうなるのは、教え方が下手だからでも、子どもがわざとやらないからでもありません。親が教えると宿題がこじれるのは、親子という近さと、宿題の量や形がその子に合っていないことが重なって起きます。 原因を分けていくと、親が教える役をやめて、別の形に任せるという出口が見えてきます。

この記事では、こじれる理由を3つに分けたあと、学校への無料の相談、つまずいた場所のさかのぼり方、親以外に任せる3つの形、今夜からできる工夫の順にまとめます。

親が教えると、なぜこじれるのか

理由は3つに分けられます。親子だと感情が先に立つこと、「わかるでしょ」が通じない特性、そして学年相当の量と形がその子に合っていない可能性です。 どれも、教え方の技術や本人のやる気とは別のところにあります。

1つ目は、親子だと感情が先に立つことです。 学校の先生は今日の宿題を仕事として見ますが、親は子どもの将来を思いながら教えます。だから1問の間違いが、そのまま不安に変わります。声が大きくなるのは心配の大きさの裏返しです。子どもの側も、親の顔色を読みながら解くので、間違えることへの緊張が学校より高くなります。

2つ目は、「わかるでしょ」が通じない特性です。 発達障害やグレーゾーンの子の中には、聞いた説明を頭の中に置いておくのが苦手な子がいます。書く動作そのものに力がいる子や、初めて見る形式の問題で手が止まる子もいます。親から見ると、昨日はできたのに、口では言えるのに、という姿になり、さぼりに見えてしまいます。国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターは、学習面のつまずきを計算・文章題・書くこと・読解・音読など10の場面に分けて案内しています。つまずきが場面ごとに違う以上、がんばれば全部できるという前提は最初から合っていません。

3つ目は、学年相当の量と形が、その子に合っていない可能性です。 宿題は学級の全員に同じ量、同じ形で出るのがふつうです。一方で文部科学省の小学校学習指導要領は、個に応じた指導の充実を図ることを定めています。個別学習や繰り返し学習、習熟の程度に応じた学習、補充的な学習などを授業に取り入れる、という内容です。一人ひとりに合わせる工夫は、学校の側に求められている考え方です。宿題だけが全員一律のままなら、そこで無理が出るのは自然なことです。

💡 親のせいでも、子どものせいでもありません

親子げんかになるのは、親子という近さと、宿題の量や形が合っていないことが重なっているからです。教える役を親から外すのは逃げではなく、原因の側に手を入れる方法です。

まず学校に相談する(無料)

宿題の量を減らす、漢字を書く回数を減らす、口で答えたものを親が書き取る、ノートの写真で提出する。こうした調整は、お金をかけずに学校へ相談できます。 裏づけになるのが、障害者差別解消法の合理的配慮です。

内閣府の案内では、この法律は2016年4月1日に施行され、改正法で2024年4月1日から事業者にも合理的配慮の提供が義務になりました。文部科学省の対応指針も同じ日から施行され、私立学校を含む学校法人などが対象です。対応指針には、読み書きに困難のある児童生徒への配慮の例が載っています。読みやすい字体の資料を用意する、タブレットなどの機器の使用を認める、筆記の代わりに口頭で答える形にする、といった内容です。文部科学省は、例に載っていないものでも合理的配慮にあたる場合があるとも書いています。宿題の量や出し方の調整も、この相談の範囲です。ただし、負担が過重でない範囲という条件があるので、頼んだ内容がそのまま通るとは限りません。断られたら、代わりにできる形を一緒に探す話し合いに切り替えてください。

相談の相手は、担任と特別支援教育コーディネーターです。文部科学省の資料では、コーディネーターは保護者に対する学校の窓口として位置づけられています。名前を知らなくても「コーディネーターの先生と話したいです」で通じます。伝えるときは、家で起きている事実、困っている場面、こちらからの提案、期間の4つを短く並べます。「漢字の宿題に1時間以上かかり、途中で泣く日が続いています。当面、1文字につき2回までに減らしていただけますか」という形です。連絡帳の例文は宿題をやらない・できないときの対処法に、中学生の提出物の相談は中学生の宿題・提出物ができないにまとめています。

あわせて、個別の指導計画を作ってもらえるかを聞いてみてください。学習指導要領は、通常の学級の子についても個別の指導計画を作成し活用することに努めると定めています。計画に宿題の出し方が書かれていれば、担任が替わっても引き継がれます。書面に残す形は就学支援シートの書き方が参考になります。通級による指導を使えるかどうかも、この面談で聞けます。

つまずいた場所は、今の学年にないことが多い

算数や漢字のように前の単元を土台にして積み上げる教科では、今の学年の問題で止まる原因が、前の学年にあることがあります。 小5で習う分数の計算で止まる子が、実は小2の九九や小3のわり算で止まっている、という形です。土台の単元が抜けたままだと、今の学年の宿題を何度やり直しても同じ場所で止まります。親が「なんでわからないの」と言いたくなるのは、今の学年の説明を繰り返しているからで、説明の回数の問題ではありません。

戻る場所は、家でも見つけられます。順番は次のとおりです。

1
止まった問題を1つ選ぶ今夜の宿題で、いちばん時間がかかった問題を1つだけ。
2
1学年前の同じ系統の問題を1問出す分数なら小4の分数、小4で止まるなら小3のわり算。教科書の目次で系統をたどります。
3
止まらずに解ける学年まで戻るすらすら解けた学年が、その子のいまの土台です。
4
そこから先を、親以外に渡す土台から今の学年までをつなぐ役は、学校か教材か第三者に任せます。

発達検査の報告書が手元にあれば、戻る場所の見当がつきやすくなります。ワーキングメモリーの指標が低めなら暗算や手順の多い筆算で、処理速度の指標が低めなら書く量の多い宿題で、止まりやすくなります。ただし、指標の数値が低いことと、その教科が苦手なことは一対一で対応しません。指標の意味はWISC-Vの結果の見方で、指標ごとの家でのつまずきと工夫の方向は検査のあとの家庭学習の選び方にまとめています。報告書の所見に書かれた手立ては、学校への相談でも、教材や指導を選ぶときにも、そのまま材料になります。

親以外に任せる3つの形

親が教える役をやめると決めたら、代わりの担い手が要ります。形は3つあり、順位はありません。 費用と地域と、どこまで学年をさかのぼれるかで選びます。表は上から、費用のかからない公的な仕組み、家庭の判断で足す民間の手段の順に並べています。

形誰が見るか費用の考え方学年をさかのぼれるかまず聞く先
学校の補習・通級による指導担任や通級の担当の先生公立学校の教育活動として無料通常の学級の教科は学年どおりが基本。補充的な学習を取り入れる工夫は学習指導要領が定めている。通級は教科の補習が目的ではない担任、特別支援教育コーディネーター
学年をさかのぼれる教材(無学年式のオンライン教材)子ども本人と教材の仕組み。親は隣にいるだけ料金は教材ごとに公式サイトに掲載。全額が家庭の負担さかのぼれる。学年の区切りを外して単元を選ぶ作り。どの学年・教科まで戻れるかは教材ごと各教材の公式サイト。資料請求や無料体験は契約ではない
第三者の個別指導(家庭教師・個別指導塾・オンライン)先生が1対1で見る料金は事業者ごとに公表。全額が家庭の負担契約前の相談で、どの学年から始めるかを決める各事業者の公式サイト。訪問型は対応地域が事業者ごとに決まっている

学校の補習や通級は、連絡帳の記録や報告書の所見がそのまま材料になります。通級は通常の学級に籍を置いたまま受ける仕組みです。文部科学省の手引では、小・中学校の時間は年間35〜280単位時間が標準です(学習障害と注意欠陥多動性障害は10〜280単位時間)。中心は困りごとへの対処を練習する自立活動で、手引は、教科の遅れを補うだけの指導にはならないようにと書いています。同じ手引には、学習障害や注意欠陥多動性障害のある子は、通常の学級での習熟の程度に応じた指導の工夫で対応するのが適切な場合も多い、とあります。設置状況は自治体と学校で違うので、使えるかどうかは学校か教育委員会に確かめてください。仕組みは通級指導教室とは?に詳しく書いています。

学年をさかのぼれる教材は、前の節で見つけた土台の学年から始められるのが特徴です。学年の区切りを外して単元を選ぶ作りなので、小5の子が小3の単元をやっても、本人には今日の課題として見えます。親は隣で見守るだけで、教える役から外れられます。合うかどうかは子どもによって違うので、無料体験のあとに本人が疲れきっていないかを見てください。

第三者の個別指導は、親子のあいだにあった緊張を、いったん外に出せる形です。家庭教師や個別指導塾、オンラインの1対1指導があり、どの学年の内容から始めるかは契約前の相談で決めます。訪問型の家庭教師は対応地域が事業者ごとに決まっていて、関東の一部の都県だけに対応する事業者もあります。地域の条件は公式サイトで確かめてください。費用と契約の決まりは検査のあとの家庭学習の選び方の表に整理しています。

どれを選ぶにしても、先に学校への相談を済ませておくと、学校の配慮と家の手段の方向がそろいます。そのうえで、前の学年の単元から始めたい家庭向けに、学年をさかのぼる無学年式の小中高生向けオンライン教材の案内を1つ置いておきます。無料体験と資料請求のページが公式サイトにあり、どちらも契約ではありません(2026年9月30日に確認):発達障害のお子様の自宅学習をサポート【すらら】

今夜からできる、親子げんかを減らす3つ

担い手が決まるまでの間にも、今夜からできることが3つあります。どれも宿題の完成度を上げるためではなく、家の空気を守るための工夫です。

1つ目は、終わりの時刻を先に決めることです。 「終わるまで」ではなく「7時40分になったら終わり」と、始める前に子どもと決めます。時刻が来たら、終わっていなくても親が先に鉛筆を置きます。残った分は、ここまでで止めたと連絡帳に書いておけば、翌日の説明にもなります。

2つ目は、教える人をやめて、隣で別のことをする人になることです。 同じ机で家計簿をつける、本を読む、なんでも構いません。子どもが止まったら、答えを教える代わりに「ここで止まったね」と場所だけ確かめて、付箋を貼ります。付箋の場所が、学校への相談と、さかのぼる学年を決める材料になります。

窓辺で湯気の立つカップを両手で包む手元。教える役をやめて、隣で自分の時間を過ごす親のイメージ

3つ目は、声をかけるのは「できたところ」だけにすることです。 間違いの指摘は、学校の先生か、前の節で決めた担い手に任せます。親の役目は「3問目まで自分で書いたね」と、できた事実を言うところまでです。伝わる言い方は発達障害の子への叱り方に、毎晩の言い合いで消耗しているときは子育てに疲れた・限界と感じたらも読んでみてください。

✅ 今夜の3つ

  • 終わりの時刻を先に決めて、時刻が来たら親が先に鉛筆を置く
  • 教える人をやめて、隣で別のことをする人になる。止まった場所は付箋で残す
  • 声をかけるのは「できたところ」だけ。間違いの指摘は担い手に任せる

まとめ

  • 親が教えるとこじれるのは、親子だと感情が先に立つこと、「わかるでしょ」が通じない特性、学年相当の量と形が合っていないことが重なるため。教え方の技術の問題ではない
  • 宿題の量・出し方・提出の形は、合理的配慮として学校に相談できる。2024年4月から私立を含む学校にも提供の義務がある。相談先は担任と特別支援教育コーディネーター
  • 今の学年で止まる原因は、前の学年の単元にあることがある。1学年ずつ戻り、止まらずに解ける学年を見つける
  • 親以外に任せる形は、学校の補習や通級・学年をさかのぼれる教材・第三者の個別指導の3つ。順位はなく、費用と地域とどこまで戻れるかで選ぶ
  • 今夜からできるのは、終わりの時刻を先に決める・隣で別のことをする・できたところだけ声をかけるの3つ

今夜はここまでで大丈夫です。明日、連絡帳に「宿題のことで一度ご相談したいです」と一行だけ書いてください。量を減らす話も、戻る学年の話も、その一行から始まります。

よくある質問

宿題を親が教えるのをやめたら、成績が下がりませんか?

教える人が親から別の担い手に替わるだけで、学ぶ量をゼロにする話ではありません。学校に量や出し方を相談し、つまずいた学年から学び直す形にすれば、今の学年の宿題を親が繰り返し教えるより、本人が手をつけられる問題から始められます。評価の扱いは学校の判断なので、担任に「どういう形なら提出として認められますか」と聞いてください。

診断がなくても、宿題の量を減らしてもらえますか?

相談を始めるのに診断書は必須ではありません。かかった時間、止まった問題、泣いた日など、家で困っている場面を具体的に伝えれば、担任や特別支援教育コーディネーターと話し合いを始められます。学校がどこまで対応できるかは体制によって差があるので、まず今の状態を共有するところからで十分です。

学年をさかのぼれる教材と家庭教師は、どちらから試すべきですか?

順位はありません。前の学年の単元を本人のペースで進めたいなら教材、親子のあいだの緊張をいったん外に出したいなら第三者の個別指導、というように困りごとで選びます。どちらも資料請求や無料体験は契約ではないので、体験のあとに本人が疲れきっていないかを見て決めてください。訪問型は対応地域が限られるので、公式サイトで先に確かめます。

通級に通えば、宿題の問題は解決しますか?

通級の中心は、困りごとに本人が対処する力を育てる自立活動で、教科の遅れを補うだけの指導にはしないと文部科学省の手引が説明しています。宿題の量や出し方は、通級とは別に担任へ相談する必要があります。通級の担当の先生に家での関わり方を聞くと、指導の内容と家庭の工夫をそろえられます。

親が隣で別のことをしていると、子どもが全く進まなくなりませんか?

最初の数日は進まない日があってふつうです。目的は宿題の完成度ではなく、止まった場所を付箋で残して、学校への相談とさかのぼる学年を決める材料にすることです。終わりの時刻を先に決めておけば、進まない日も時刻が来たら終わりにできます。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。