窓のそばに机と椅子が数台だけ置かれた静かな教室。少人数で指導を受ける通級指導教室のイメージ 🏫 園・学校生活
園・学校生活 公開: 2026年8月14日

通級指導教室とは?対象・週何時間・支援級との違いとデメリット

この記事の目次
  1. 通級指導教室とは? 通常級に在籍したまま受ける「特別の指導」
  2. 通常級・通級・支援級はどこが違う?
  3. 通級の対象になるのはどんな子?
  4. 週何時間? 授業を抜ける時間と、3つの通い方
  5. 申し込みの流れ|就学前と在学中の2つのルート
  6. 通級のデメリットと、先に知っておきたいこと
  7. まとめ

時間割の途中で教室を出て、別の部屋へ行く。週に1回、45分だけ。学校からもらったプリントには「通級による指導」と書いてあるけれど、支援級と何が違うのかが分からない。担任の先生からすすめられたものの、授業を抜けて大丈夫なのか、周りの子に何と言われるのかが気になって、返事を保留にしたまま2学期が近づいてきた——。先に結論を書きます。通級は、通常の学級に在籍したまま、週に数時間だけ別の場所で特性に合った指導を受ける仕組みです。籍は動きません。この記事では、対象になる子、週の時間数、通常級・支援級との違い、就学前と在学中それぞれの申し込みの道すじ、そして正直なデメリットまでを順に見ていきます。

通級指導教室とは? 通常級に在籍したまま受ける「特別の指導」

通級による指導は、通常の学級での学習におおむね参加できる子どもが、一部だけ特別な指導を受けるための仕組みです。指導を受ける場所が通級指導教室で、「ことばの教室」「まなびの教室」など、自治体によって呼び名が変わります。

制度としては1993年度に小学校・中学校で始まり、2018年度からは高等学校にも広がりました。文部科学省の令和5年度の調査では、全国で20万3376人が通級による指導を受けています。内訳は小学校が16万6556人、中学校が3万4449人、高等学校が2371人です。小・中・高に在籍する子ども全体の1.7%にあたり、ざっくり60人に1人の割合になります。

指導の中身は、教科の先取りや補習ではありません。中心になるのは、その子の困りごとを本人が自分で扱えるようになるための練習です。文部科学省の資料では、発音を意識して明瞭に話す練習、カードを使って文字や単語を流暢に読む練習、ICT端末のキーボード入力など自分に合った書き方を見つける指導が例として挙げられています。必要に応じて、各教科の内容を補う指導を組み合わせることもできます。

通常級・通級・支援級はどこが違う?

3つの一番大きな違いは「籍がどこにあるか」です。通級は通常の学級に籍を置いたまま、時間だけを取り出します。支援級は籍そのものが特別支援学級に移ります。

見るところ通常の学級通級による指導特別支援学級
在籍する学級通常の学級通常の学級のまま特別支援学級
特別な指導の時間なし年間35〜280単位時間(週1〜8コマ)。学習障害・注意欠陥多動性障害は年間10〜280単位時間在籍学級での学習が基本
教科の学習学年どおり基本は通常の学級で学年どおり。通級の時間は困りごとに応じた指導が中心特別の教育課程を編成できる
手続きの入口担任・特別支援教育コーディネーター、または就学相談就学相談、学校・教育委員会
知的障害の子対象外知的障害の学級がある

数字の出どころは文部科学省の「障害に応じた通級による指導の手引」です。1単位時間は小学校で45分、中学校で50分にあたります。

支援級か通常級かで迷っている段階なら、支援級と通常級で迷ったときの判断の観点も合わせて読むと、3つの選択肢の位置関係が見えやすくなります。

通級の対象になるのはどんな子?

学校教育法施行規則で対象と定められているのは、次の8つです。

  • 言語障害
  • 自閉症
  • 情緒障害
  • 弱視
  • 難聴
  • 学習障害(LD)
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)
  • その他(肢体不自由、病弱・身体虚弱)

知的障害は通級の対象になっていません。一定の時間だけ取り出して指導する形が知的障害の特性になじまない、というのが文部科学省の説明です。知的障害がある場合は、特別支援学級や特別支援学校が選択肢になります。

実際に利用している子の内訳を見ると、令和5年度は言語障害が4万7069人(23.1%)、ADHDが4万4107人(21.7%)、自閉症が4万1171人(20.2%)、学習障害が4万396人(19.9%)、情緒障害が2万8274人(13.9%)。発達障害にあたる3つを足すと、全体の6割を超えます。通級は、いまや発達障害のある子が中心に使う仕組みになっています。

学校で話せなくなる場面緘黙は、情緒障害の枠で相談されることがあります。家庭でできる関わり方は場面緘黙の子どもへの対応にまとめました。

週何時間? 授業を抜ける時間と、3つの通い方

時間数は年間35〜280単位時間が標準で、週にならすと1〜8コマです。学習障害とADHDだけは下限が年間10単位時間まで下げられていて、月1回程度からでも始められます。高等学校では、年間7単位を超えない範囲で卒業に必要な単位に加えられます。

気になるのは「その時間、抜けた授業はどうなるのか」でしょう。制度上は、通級の指導を通常の時間割に加えるか、各教科等の授業時間の一部に替えるかの2通りがあります。替える形をとった場合、抜けた分の教科をあとで全部やり直すわけではありません。どの教科の時間に通うか、抜けた内容をどう補うかは学校ごとに決めるので、開始前の面談で必ず確認しておきたいところです。

通い方には3つの形があります。

ドアが開いた明るく人けのない学校の廊下。授業の途中で教室を出て、別の部屋へ向かう場面のイメージ

  • 自校通級:自分の学校の中に通級指導教室があり、校内で移動して受ける形
  • 他校通級:通級指導教室が設置されている別の学校まで通って受ける形
  • 巡回指導:担当の先生が子どもの学校まで来て、その学校で指導する形

負担が軽いのは自校通級と巡回指導です。文部科学省もこの2つを増やす方向で、公立小・中学校に教員を追加配置する仕組みを設けています。とはいえ設置状況は自治体によってかなり違うので、住んでいる地域がどの形なのかは早めに聞いておくと予定が立てやすくなります。

申し込みの流れ|就学前と在学中の2つのルート

入り口は1つではありません。就学前の子は就学相談から、すでに小学校に通っている子は担任への相談から始まります。

就学前の場合は、年中の終わりから年長にかけて行われる就学相談が入り口です。自治体によって受付時期は違いますが、多くは春から夏に申し込みを受け付け、秋に判断が示されます。年間の流れは就学相談はいつから?年間スケジュールで確認できます。

すでに在学中の場合は、就学相談とは別のルートがあります。文部科学省のガイドラインでは、小・中学校に校内委員会を置き、特別支援教育コーディネーターを指名して、保護者の相談窓口や関係機関との連絡調整にあたる体制を整えることが求められています。つまり、学校の中に相談の受け皿がもともと用意されています。

1
担任に相談する困っている場面を具体的に伝えます。「漢字だけ極端に苦手」「集団の指示が抜ける」など、教科や場面を絞ると話が早く進みます。
2
特別支援教育コーディネーターにつないでもらう各校に指名されている、支援の窓口役の先生です。担任経由でも、直接連絡しても構いません。
3
校内委員会で検討する学校として通級が適当かを話し合います。授業中の様子の観察や、検査結果の共有がここで行われます。
4
教育委員会に申請し、判断を受ける書類の様式や必要な資料は自治体ごとに違います。医師の意見書を求める地域もあります。
5
面談・見学を経て開始通級指導教室の担当者と面談し、指導の目標と曜日・時間を決めてから始まります。

🌱 いまが8月でも、遅くはありません

就学相談の時期を過ぎたら通級に申し込めない、という決まりはありません。2学期に担任へ相談を始めれば、年度途中の開始か、次の4月からの開始かを学校と一緒に検討できます。動き出す時期に「正解」はなく、気づいたときが相談どきです。

通級のデメリットと、先に知っておきたいこと

いい面だけを並べても判断はできません。実際に負担になりやすい点を、先に挙げておきます。

授業を抜けることが本人の負担になる場合があります。移動と切り替えが苦手な子にとっては、教室を出て戻るという往復そのものがひと仕事です。戻ったときに授業が進んでいて、話についていけない居心地の悪さを感じる子もいます。抜ける時間を、本人が比較的つらくない教科に寄せてもらえないか相談する余地はあります。

「なぜ自分だけ別の教室に行くのか」への説明が要ります。本人にも、周りの子にも。ここを曖昧にしたまま始めると、本人が引け目を感じたり、周囲から心ない言葉が出たりすることがあります。本人には「苦手を練習しに行く時間」と目的をはっきり伝え、周りへの説明は担任と相談して決めるのが現実的です。似た場面での言葉の返し方は「特別支援学級はずるい」と言われたときの考え方が参考になります。

他校通級は、保護者の送迎が重い負担になります。在籍校から通級指導校まで、保護者の付き添いを前提にしている自治体は少なくありません。週1回でも、往復と待ち時間で半日近くが埋まることがあります。仕事の調整がつくかどうかは、申し込みの前に現実的に見積もっておいてください。

⚠️ 設置状況と空き枠は地域差が大きい

通級指導教室がどの学校に何教室あるかは、自治体ごとに事情が違います。希望しても順番待ちになる、開始が次年度になるといったことも起こります。断られた形になっても、そこで終わりにせず、理由と次に相談できる時期を確認しておきましょう。

もう1つ。通級は週に数時間の指導なので、効果がはっきり見えるまでには時間がかかります。数か月で劇的に変わることを期待すると、続けること自体がつらくなります。半年から1年の単位で、できることが少しずつ増えていく道のりだと思っておくと、気持ちが楽になります。

ここまで読んで「うちはもっと手厚い環境が要るかもしれない」と感じたなら、支援級との比較に戻る段階です。制度の内容は2026年時点のもので、運用の細かい部分は自治体・学校によって異なります。

まとめ

  • 通級による指導は、通常の学級に在籍したまま週に数時間だけ特性に合った指導を受ける仕組みです。籍は動きません
  • 対象は言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・ADHDなど8つで、知的障害は対象外です
  • 時間数は年間35〜280単位時間(週1〜8コマ)が標準。学習障害とADHDは年間10単位時間から始められます
  • 入り口は2つ。就学前は就学相談から、在学中は担任から特別支援教育コーディネーター、校内委員会、教育委員会という順に進みます
  • デメリットは、授業を抜ける負担、本人と周りへの説明、他校通級の送迎、そして地域による設置状況の差です

今夜はここまでで大丈夫です。明日やることを1つだけ選ぶなら、連絡帳に「通級について一度お話しする時間をいただけますか」と1行書くところまで。制度の細かいことは、その面談で聞けば間に合います。

よくある質問

通級を利用すると、成績や出席日数に不利になりますか?

通級による指導を受けた時間は、欠席や早退の扱いにはなりません。在籍は通常の学級のままなので、通知表や中学校の評定も通常の学級の基準で付きます。ただし抜けた教科の内容をどう補うかは学校ごとに運用が違うので、開始前に担任と確認しておくと安心です。

診断がないグレーゾーンでも通級は使えますか?

診断名がそのまま条件になるわけではなく、学習面や生活面での困りごとと必要な指導内容をもとに判断されます。一方で、申し込みの際に医師の意見書や検査結果を求めるかどうかは自治体によって違います。学校の特別支援教育コーディネーターか、市区町村の教育委員会に必要書類を先に確認してください。

通級はいつまで続けるものですか?

期間の決まりはなく、多くの自治体では年度ごとに継続するかどうかを見直します。目標としていた力が身についたと判断されれば終了になりますし、状況が変われば時間数を減らして続ける形もあります。終了の判断は学校と保護者の話し合いを経て決まります。

中学校や高校にも通級はありますか?

あります。中学校では公立で3万4千人あまりが利用しており、高等学校でも2018年度から制度化されました。高校の場合は年間7単位を超えない範囲で、卒業に必要な単位として認められます。設置校は小学校より少ないため、進学先を選ぶ段階で有無を確認しておくと動きやすくなります。

通級を断られることはありますか?

教室の定員や教員の配置の都合で、希望した時期にすぐ始められない場合はあります。その場合でも、順番待ちの登録や、学校内での配慮による代わりの支援を相談できます。判断の理由と次に相談できる時期を、その場で聞いておくことが大切です。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。