🏠 家庭でのかかわり 小4で急に勉強についていけなくなった|つまずきの正体と、戻って学び直す道
この記事の目次
返ってきた算数のテストが、先月より30点も低い。分数の宿題を前にして、鉛筆を持ったまま動かない。「わからない」と言うので説明を始めると、何がわからないのかも言えずに泣き出してしまう。3年生まではなんとかついていけていたのに、と戸惑いながら、この記事を開いたのかもしれません。
小4で急に勉強についていけなくなるのは、学ぶ中身が、目に見えるものから頭の中で扱うものへ切り替わる時期だからです。 子どもがさぼっているわけでも、家での見方が足りなかったわけでもありません。そして多くの場合、止まっている原因は今の学年ではなく、前の学年のどこかにあります。
この記事では、なぜ小4でつまずくのか、発達の凸凹がある子でなぜ目立ちやすいのかを分けて説明します。そのあと、学校への無料の相談、つまずいた学年に戻る学び方の順にまとめます。
小4で急に勉強についていけなくなるのは、なぜ?
小4前後で、学ぶ中身が「見て、さわって、わかる」ものから「頭の中で考える」ものへ変わっていきます。 文部科学省の中央教育審議会の報告は、個人差があることを前提に、低学年までは主に具体的な活動を通して理解すると整理しています。そして中学年から高学年にかけて、徐々に抽象的に理解できるようになっていきます。
小学校学習指導要領の算数を見ると、4年生の目標には、小数と分数の意味と表し方、面積、角の大きさ、折れ線グラフなどが並びます。どれも、目の前の物を数えるだけでは答えが出ない内容です。3年生までと4年生からの変化を、ざっくり並べると次のようになります。
| 場面 | 3年生までに多い学び方 | 4年生から増える学び方 |
|---|---|---|
| 数 | おはじきやブロックで数える | 1より小さい数(小数・分数)を頭の中で思い浮かべる |
| 図形 | 形を見て名前を言う | 面積や角の大きさを、式や道具で求める |
| 文章題 | 短い文から、たし算かひき算かを選ぶ | 長い文を読み、2つ以上の手順を組み立てる |
| 国語・漢字 | 身の回りの物の名前が中心 | 気持ちや様子を表す言葉、熟語、長い文章が増える |
同じ報告は、算数は内容が積み上げ型になっているとも書いています。前の学年の単元を土台に次の単元を学ぶ作りなので、土台に小さな抜けがあると、中身が抽象的になったところで一気に表に出ます。3年生までは具体物の助けで乗り切れていた抜けが、4年生で助けがなくなって見えてくる、という形です。

発達の凸凹がある子で、つまずきが目立ちやすい理由
発達の凸凹がある子やグレーゾーンの子では、この切り替わりの影響が大きく出やすくなります。 ただし、小4で成績が下がったことだけで、発達障害かどうかは判断できません。ここでは、つまずきが目立ちやすくなる理由を3つに分けておきます。
1つ目は、頭の中に置いておく力に負担がかかることです。 長い文章題では、数字や条件を覚えたまま、次の手順を考える必要があります。聞いたことや読んだことを一時的に覚えておくのが苦手な子は、途中で何を求めていたのかがわからなくなります。
2つ目は、読むことそのものに力を使っていることです。 文字を読むのに時間がかかる子は、文章題の意味を考える前に疲れてしまいます。算数の力ではなく、読む段階で止まっている場合があります。
3つ目は、得意と苦手の差が大きいことです。 計算は速いのに図形はまったく手が出ない、という差があると、全体の成績では見えにくく、本人も「なぜできないのか」を説明できません。国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターは、学習面のつまずきを、図形・文章題・計算・読解・音読など10の場面に分けて支援の考え方を案内しています。つまずき方は、子どもごとに違います。
得意と苦手の差を数字で知りたいときは、WISCなどの発達検査が手がかりになります。結果の読み方はWISC-Vの結果の見方にまとめています。
💡 本人のせいでも、親のせいでもありません
小4のつまずきは、学ぶ中身が抽象的になる時期と、前の学年の小さな抜けが重なって起きます。原因の場所がわかれば、戻ってやり直す道があります。
まず学校に相談する(無料でできること)
最初の一歩は、お金をかけずに学校へ相談することです。 相談の相手は担任と、特別支援教育コーディネーターの先生です。文部科学省の資料では、コーディネーターは保護者に対する学校の窓口として位置づけられています。
学習指導要領は、子どもや学校の実態に応じて、個別学習や繰り返し学習、補充的な学習などを取り入れ、一人ひとりに合った指導を充実させることを学校に求めています。通常の学級の子についても、個別の指導計画を作って活用するよう努めると書かれています。つまり、学年どおりに進められない子への工夫は、学校の側でも考えてもらえる話です。
伝えるときは、次の3つを短く並べると話が進みやすくなります。
- いつから、どの教科のどの単元で止まっているか(テストやノートを持っていく)
- 家で宿題をするときの様子(かかる時間、止まる場所、泣いた日など)
- 学校でも同じ様子があるかどうか、先生から見た印象を聞きたいこと
学校での様子を聞いたうえで、通級による指導が使えるかも相談できます。通級は、通常の学級に籍を置いたまま、一部の時間だけ別の場で指導を受ける仕組みです。文部科学省の手引では、学習障害や注意欠陥多動性障害のある子は年間10〜280単位時間が標準です。ただし中心は困りごとへの対処を練習する指導で、教科の遅れを埋めるための時間ではありません。仕組みは通級指導教室とは?に詳しく書いています。
学校との話がうまく進まないときは、市区町村の教育センターなどが行う教育相談も無料で使えます。名前や受付の方法は自治体によって違うので、自治体のホームページで「教育相談」と探してみてください。
つまずいた学年に戻る学び方
今の学年の問題で止まっているなら、止まらずに解ける学年まで戻ることが近道です。 分数でつまずいているなら、その土台はわり算やかけ算にあるかもしれません。面積で止まっているなら、かけ算の九九が怪しいこともあります。どこまで戻るかは、家でも次の順番で見当をつけられます。
戻る学び方には、費用のかからない方法から順に、いくつかの形があります。順位はなく、子どもの様子と家の事情で選んでかまいません。
学校の補習や先生が用意してくれるプリントは、無料で使えるいちばん身近な形です。家では、前の学年の教科書や市販のドリルでも戻れます。ただ、学年が書かれた教材を嫌がる子もいます。どこまで戻るかを毎回親が決めるのも、疲れた夜には重い役目です。
学年の区切りを外して、つまずいた単元から学べる無学年式のオンライン教材は、この戻る学習を仕組みで補う形です。料金や対応する教科は教材ごとに違うので、公式サイトで確かめてください。関東では、発達の特性がある子向けのコースを設けた訪問型の家庭教師もあり、1対1で戻る学年から始める形も選べます。家での学び方をもっと広く比べたいときは検査のあとの家庭学習の選び方に表でまとめています。
前の学年に戻って学び直したい家庭向けに、学年をさかのぼってつまずいた単元から学べる、小中高生向けのオンライン教材の案内を1つ置いておきます。公式サイトの言葉では「苦手はさかのぼり、得意は先取り」の教材です。資料請求と無料体験は無料です(2026年9月29日に公式サイトで確認):発達障害のお子様の自宅学習をサポート【すらら】![]()
家で、親が背負いすぎないために
家での役目は、教えることより、止まった場所を見つけて記録することです。 説明を何度もくり返すと、親も子も消耗します。今の学年の説明を増やすより、止まった問題に付箋を貼って、学校や教材に渡す材料にしてください。
声をかけるなら、できたことだけで十分です。「ここまで自分で書けたね」と事実を言うだけで、机に向かう気持ちが保たれやすくなります。宿題が毎晩の争いになっているときは、宿題をやらない・できないときの対処法も読んでみてください。
✅ この記事の要点
- 小4は、学ぶ中身が目に見えるものから頭の中で扱うものへ変わる時期
- 止まっている原因は、前の学年の単元にあることが多い
- 最初の相談先は、担任と特別支援教育コーディネーター(無料)
- 止まらずに解ける学年まで戻り、そこから学び直す
まとめ
- 小4前後は、小数・分数・面積・長い文章題など、頭の中で考える内容が増える時期。つまずきが出やすいのは自然なこと
- 算数は積み上げ型なので、前の学年の小さな抜けが、中身が抽象的になったところで表に出る
- 発達の凸凹がある子では、覚えておく力・読む力・得意と苦手の差の影響で、つまずきが目立ちやすい。ただし成績だけで発達障害とは判断できない
- まずは担任と特別支援教育コーディネーターに無料で相談する。通級や教育センターの教育相談も使える
- 教科書の目次をたどって、止まらずに解ける学年まで戻る。戻る形は、学校の補習・家のドリル・無学年式の教材・個別指導などから選べる
今夜はここまでで大丈夫です。明日、いちばん点が低かったテストを1枚だけ連絡帳にはさんで、「算数のことで一度ご相談したいです」と書いてみてください。
よくある質問
小4で勉強についていけなくなったら、発達障害を疑うべきですか?
小4前後は、学ぶ中身が目に見えるものから頭の中で扱うものへ変わる時期で、どの子にもつまずきが出やすくなります。成績が下がったことだけで発達障害とは言えません。気になるときは、まず担任に学校での様子を聞き、必要に応じて教育相談や発達検査で得意と苦手の差を確かめる、という順番で十分です。
前の学年に戻って勉強すると、今の授業にもっと遅れませんか?
土台の単元が抜けたままだと、今の学年の問題を何度くり返しても同じ場所で止まります。戻るのは今の授業をやめることではなく、止まっている原因の単元を埋めることです。戻る学年や時間の配分は、担任に相談しながら決めると、学校の授業とのずれを小さくできます。
塾に通っているのに、ついていけないのはなぜですか?
学年どおりに進む集団の塾だと、今の学年の内容を先に進める形になりやすく、前の学年の抜けはそのまま残ることがあります。どの単元で止まっているかを確かめ、その学年から始められる形かどうかを塾に聞いてみてください。
小4の漢字や国語でつまずくこともありますか?
あります。学年が上がると、ものごとの様子や気持ちを表す言葉、熟語、長い文章が増えます。読むことそのものに時間がかかる子では、算数の文章題にもつまずきが広がることがあります。どの場面で止まるかを記録して、学校への相談の材料にしてください。
参考・出典
- 中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 審議経過報告「2 教育内容等の改善の方向」(低学年は具体的な活動を通して認識し、中学年から高学年にかけて徐々に抽象的に認識できるようになる/算数は積み上げ型)
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(総則の個に応じた指導・個別の指導計画、算数 第4学年の目標)
- 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター「学習面でのつまずきと指導・支援」
- 文部科学省「障害に応じた通級による指導の手引 解説とQ&A(改訂第3版)」(対象・授業時数・指導の内容)
- 文部科学省「特別支援教育コーディネーター養成研修について~その役割,資質・技能,及び養成研修の内容例~」