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ノートに鉛筆で文字を書いている子どもの手元。漢字の書き取りで手が止まりがちな子のイメージ 🏠 家庭でのかかわり
家庭でのかかわり 公開: 2026年10月3日

漢字が書けない・覚えられない、漢字テストが0点|学校で頼める配慮と家庭学習の組み立て

この記事の目次
  1. 漢字が書けない・覚えられないのは、なぜ?
  2. 10月の0点は「もう手遅れ」ではありません
  3. 学校で頼める配慮(無料でできること)
  4. 量を減らして、覚え方を変える
  5. つまずいた学年にさかのぼる家庭学習
  6. 家で、親が背負いすぎないために
  7. まとめ

返ってきた漢字テストが、0点だった。10回ずつ書く宿題に1時間かかったのに、次の日にはもう書けない。読むことはできるのに、書こうとすると線が1本足りなかったり、形がくずれたりする。二学期のまとめテストが続くこの時期に、そんな答案を前にして、この記事を開いたのかもしれません。

漢字が書けない・覚えられないのは、努力や練習量が足りないからとは限りません。 形をとらえる、形を覚えておく、見たとおりに手を動かす、のどこかに苦手があると、何回書いても残りにくくなります。子どもがさぼっているわけでも、家での見方が悪かったわけでもありません。

この記事では、漢字でつまずく理由を分けて説明します。そのあと、学校で頼める配慮、家での量の減らし方と覚え方の変え方、つまずいた学年にさかのぼる学び方の順にまとめます。

漢字が書けない・覚えられないのは、なぜ?

同じ「書けない」でも、止まっている場所は子どもによって違います。 国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターは、書くことが苦手な子の例として、形を正確にとらえること、形を正確に覚えておくこと、目と手を一緒に動かすことの難しさを挙げています。

家で見られる様子と、その裏にありそうな理由を並べると次のようになります。

家で見られる様子考えられる背景試しやすい工夫
線が1本多い・少ない、形の似た字と混ざる形を細かくとらえるのが苦手部首や部分に分けて、言葉で説明しながら書く
その日は書けても、次の日には書けない形を覚えておくのが苦手1日の字数を減らし、間をあけて同じ字に戻る
マスからはみ出す、字の大きさがそろわない見たとおりに手を動かすのが苦手大きいマスや罫線のある紙を使う
読めるのに書けない、書くのを嫌がる書くことそのものに力を使い切っている書く量を減らし、読みと意味を先に覚える

文部科学省は学習障害を、全体的な知的発達に遅れはないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推しはかる力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難がある状態と説明しています。ただし、漢字テストが0点だったことだけで、学習障害かどうかは判断できません。診断名を家で決める必要はなく、まずは「どこで止まっているか」を見ておけば十分です。

得意と苦手の差を数字で確かめたいときは、WISCなどの発達検査が手がかりになります。結果の読み方はWISC-Vの結果の見方にまとめています。ひらがなの段階からつまずいている場合は、ひらがなが書けない・覚えられないときも参考になります。

10月の0点は「もう手遅れ」ではありません

小学校の決まりでは、その学年の漢字は「読めること」が先で、書くことは少しずつ身につけていく扱いです。 小学校学習指導要領の国語では、2年生以降の各学年について、その学年までの漢字を読むこと、前の学年までの漢字を書いて使うことを挙げています。その学年の漢字は「漸次書き」、つまり少しずつ書けるようにしていく、という書き方です。

いま習っている漢字が書き取りテストで書けなくても、それで1年が終わるわけではありません。大事なのは、前の学年の漢字がどこまで書けているかです。ここに抜けがあると、新しい漢字も土台がないまま積み上がっていきます。

💡 0点は、止まっている場所を知らせるサイン

漢字が書けないのは、本人のせいでも、親のせいでもありません。どこで止まっているかがわかれば、量を減らす、覚え方を変える、前の学年に戻る、という手が打てます。

学校で頼める配慮(無料でできること)

最初の一歩は、担任と特別支援教育コーディネーターの先生に相談することです。 学校には、困りごとのある子に合わせて、教え方や評価の方法を工夫する役目があります。小学校学習指導要領も、障害のある子については、一人ひとりの状態に応じて指導の内容や方法を工夫するよう学校に求めています。

文部科学省が障害者差別解消法にもとづいて示した指針には、読み書きに困難のある子のための配慮の例が書かれています。授業や試験でタブレット端末などを使うのを認めること、書く代わりに口頭で答える形で評価すること、などです。国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターも、マス目の大きい紙を使う、授業でワークシートを使って書く量を減らす、大まかに書けていれば正解や準正解にする、といった工夫を紹介しています。

相談するときは、次のように具体的に頼むと話が進みやすくなります。

  • 書き取り宿題の量を減らしてもらえないか(例:1字10回を3回に)
  • 漢字テストで、大まかに形が合っていれば丸にしてもらえないか
  • マス目の大きい用紙や、書く量の少ないワークシートを使えないか
  • 板書を写す代わりに、タブレットで写真を撮ってよいか

どこまでできるかは、学校の設備や授業のねらいによって変わります。保護者から申し出て、学校と話し合いながら決めていく、という流れです。持っていくものは、0点だったテストと、宿題にかかった時間のメモだけで十分です。

学校での様子を聞いたうえで、通級による指導が使えるかも相談できます。通級は、通常の学級に籍を置いたまま、一部の時間だけ別の場で指導を受ける仕組みです。文部科学省の手引では、学習障害のある子は年間10〜280単位時間が標準です。中心は困りごとへの対処を練習する指導で、教科の遅れを埋めるための時間ではありません。仕組みは通級指導教室とは?に詳しく書いています。

量を減らして、覚え方を変える

家での漢字練習は、回数を増やすより、量を減らして覚え方を変えるほうが先です。 10回書いても残りにくい子は、途中から形を見ずに手だけを動かしていることがあります。国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターは、文字を練習するときに、ことばで意味づけをして形を覚えやすくする工夫を紹介しています。

机の上のタブレットと教科書を前に、ノートに書き込む子どもの後ろ姿。家で書く量を減らしながら学ぶイメージ

家では、次の順番で組み立ててみてください。

1
1日の字数を決めるテスト範囲の全部ではなく、1日2〜3字までにします。
2
読みと意味を先に覚えるその字を使った言葉を1つ選び、口で言えるようにします。
3
形を言葉で説明しながら書く「休」なら「人が木のそばで休む」のように、部分に分けて唱えます。
4
大きいマスに3回だけ書く見ないで書けたらその字は終わり。翌日にもう一度だけ確かめます。

書けた字には、漢字表に印をつけていきます。できた字が目に見えて増えると、机に向かう気持ちが保たれやすくなります。

つまずいた学年にさかのぼる家庭学習

今の学年の漢字で止まっているなら、前の学年の漢字がどこまで書けるかを確かめるのが近道です。 国語の教科書の巻末には、多くの場合、その学年までに習う漢字の一覧が載っています。1つ前の学年の一覧から、よく使う字を10字ほど選んで書いてもらうと、どこまで戻ればよいかの見当がつきます。半分以上書けない学年があれば、そこが家で取り組む出発点です。

さかのぼる学び方には、費用のかからない方法から順に、いくつかの形があります。順位はなく、子どもの様子と家の事情で選んでかまいません。

学校で先生が用意してくれるプリントや、前の学年の教科書は、無料で使えるいちばん身近な形です。市販のドリルでも戻れますが、学年が表紙に書かれた教材を嫌がる子もいます。どこまで戻るかを毎回親が決めて丸をつけるのも、疲れた夜には重い役目です。

学年の区切りを外して、つまずいた単元から学べる無学年式のオンライン教材は、このさかのぼる学習を仕組みで補う形です。紙のドリルとは違う入り口にもなります。料金や対応する教科は教材ごとに違うので、漢字の練習に使いたいときは、国語に対応しているかを公式サイトで確かめてから選んでください。家での学び方をもっと広く比べたいときは、検査のあとの家庭学習の選び方に表でまとめています。

前の学年に戻って学び直したい家庭向けに、学年をさかのぼってつまずいた単元から学べる、小中高生向けのオンライン教材の案内を1つ置いておきます。公式サイトの言葉では「苦手はさかのぼり、得意は先取り」の教材です。資料請求と無料体験は無料です(2026年9月29日に公式サイトで確認):発達障害のお子様の自宅学習をサポート【すらら】

家で、親が背負いすぎないために

家での役目は、漢字を教えこむことより、止まった場所を見つけて記録することです。 書けなかった字に付箋を貼る、宿題にかかった時間をメモする。それだけで、学校に相談するときの材料になります。

声をかけるなら、書けた字だけを数えて伝えれば十分です。「今日は3字書けたね」と事実を言うほうが、まちがいを直すより次につながります。書き取りの宿題が毎晩のけんかになっているときは、宿題のたびに親子げんか。親が教えるのをやめるという選択も読んでみてください。

✅ この記事の要点

  • 漢字が書けない理由は、形をとらえる・覚えておく・手を動かすのどこかにある
  • その学年の漢字は読めることが先。10月の0点で手遅れにはならない
  • 学校には、書く量・テストの丸のつけ方・タブレットの使用などを相談できる
  • 家では1日2〜3字、言葉で説明しながら、前の学年までさかのぼる

まとめ

  • 漢字が書けない・覚えられないのは、練習量が足りないからとは限らない。形をとらえる、形を覚えておく、見たとおりに手を動かす、のどこで止まっているかを見る
  • 0点だけで学習障害とは判断できない。気になるときは担任への相談や発達検査で、得意と苦手の差を確かめる
  • 学校には、宿題の量、テストの評価の仕方、マス目の大きい用紙、タブレットの使用などを相談できる。通級も選択肢になる
  • 家では1日の字数を減らし、読みと意味を先に覚え、形を言葉で説明しながら書く
  • 前の学年の漢字一覧で、どこまで書けるかを確かめてさかのぼる。戻り方は学校のプリント・前の学年の教科書・ドリル・無学年式の教材などから選べる

今夜はここまでで大丈夫です。明日、0点だったテストを1枚だけ連絡帳にはさんで、「漢字の書き取りのことで一度ご相談したいです」と書いてみてください。

よくある質問

漢字が読めるのに書けないのは、学習障害ですか?

読めるのに書けない状態だけで、学習障害かどうかは判断できません。形を正確にとらえる、形を覚えておく、目で見たとおりに手を動かす、のどこかに苦手があると、書くことだけが極端に難しくなる場合があります。気になるときは、まず担任に学校での様子を聞き、必要に応じて教育相談や発達検査で得意と苦手の差を確かめてください。

同じ漢字を10回ずつ書く宿題は、続けたほうがいいですか?

書く回数を増やしても覚えにくい子には、回数より覚え方を変えるほうが先です。部首や形を言葉で説明しながら書く、大きいマスで書く、1日の字数を減らすといった工夫があります。宿題の量を減らしたいときは、本人が書けた量と時間をメモして担任に相談してください。

テストでタブレットを使わせてもらうことはできますか?

文部科学省の指針は、読み書きに困難のある子のために、授業や試験でタブレット端末などの使用を認めることを合理的配慮の例に挙げています。実際に何を使えるかは、学校の設備や授業のねらいによって変わります。保護者から申し出て、学校と話し合いながら決めていく形になります。

診断がないと、学校に配慮をお願いできませんか?

診断名がなくても、困っている様子を伝えて相談することはできます。担任と特別支援教育コーディネーターの先生に、テストやノートを見せながら具体的に話すところから始めてください。どんな配慮ができるかは、学校と話し合って決めていきます。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。