机いっぱいに散らばった水色の付箋と、週間の予定表、罫線の入ったルーズリーフ。提出物の期限が同時に重なっている状態のイメージ 🏠 家庭でのかかわり
家庭でのかかわり 公開: 2026年8月25日

中学生の宿題・提出物ができない|発達障害の子の理由別の対応と学校への相談

この記事の目次
  1. 中学の宿題が回らなくなるのは、小学校と仕組みが違うから
  2. 「やらない」ではなく、どこで止まっているかを切り分ける
  3. 宿題が「提出物」になり、評価に直結するという変化
  4. 誰に相談すればいい?担任・教科担当・コーディネーター
  5. 親はどこまで手を出していいのか
  6. 今夜できる1つ
  7. まとめ

ワークのページが白いまま、鞄の底で折れている。机には向かっているのに1問も進んでいない。提出できていないプリントの束を、三者面談で初めて知らされる——。小学校のころは横について何とか終わらせていたのに、中学に入ってから急に回らなくなった。先にお伝えすると、これは中学で仕組みが変わったことで起きている詰まりで、親の関わり方が足りないから起きているのではありません。教科ごとに先生が違い、課題の期限が同時多発し、宿題が「提出物」として評価に直結する。しかも本人は、親が横につくことを嫌がる年齢になっています。この記事では、どこで止まっているかの切り分け方、学校の誰にどう相談するか、親がどこまで手を出すかの線引き、そして今夜できる1つを順に見ていきます。

中学の宿題が回らなくなるのは、小学校と仕組みが違うから

本人の力が落ちたわけではありません。求められる段取りの量が、入学と同時に跳ね上がっています。

  • 出す人が増える。 教科ごとに担当の先生がいて、それぞれが別の判断で課題を出します。全体の量を把握している大人が、学校側に1人もいない状態になりやすいのです
  • 期限が同時に来る。 数学のワーク、英語の単語テスト、理科のレポート。1つずつは小さくても、締め切りが重なると「どれからやるか」を決める作業が毎日発生します
  • 宿題が「提出物」になる。 終わったかどうかではなく、期限までに出したかどうかが記録され、成績に反映されます
  • 親が横につけなくなる。 小学生のときに効いていた「隣に座って一緒にやる」が、拒否される時期に入ります

小学生の段階での家庭の工夫は宿題をやらない・できないときの対処法にまとめています。中学ではそこに、評価・教科担任制・思春期が重なる、と考えてください。

「やらない」ではなく、どこで止まっているかを切り分ける

打つ手を決めるには、止まっている場所を見当づけることです。次の表から、いちばん近いものを1つだけ選んでみてください。

家や学校で見えている様子止まっている場所先に試すこと
課題の一覧を見ただけで固まる量が多すぎて全体像がつかめない今日やる1つだけを紙に書いて渡す
空欄が多く、字が乱れて途中で止まる書く動作そのものに力がいる口で答えて写真で提出、タブレット入力を相談する
「どこからやればいいか分からない」と言う優先順位と見通しが立たない期限の近い順に3つだけ並べて見せる
聞いても内容を説明できない授業の中身が理解できていない教科担当に「どこまで戻ればいいか」を聞く
帰宅後すぐ寝てしまい動けない学校で体力を使い切っている夕食と仮眠を先に。開始時刻を後ろにずらす
少し間違えると全部消す・破るゼロか百かで、途中の状態が許せない「白紙より3問だけ埋めて出す」を先に決めておく

複数当てはまることもありますが、いちばん時間を取られているところから手をつけると変化が見えやすくなります。発達障害教育推進センターは、書字が難しい、作文が進まない、読んで理解するのが難しいといった学習面のつまずきごとに、指導と支援の方法を整理して紹介しています。家で見ている様子に近い項目を読むと、学校に何を頼めばいいかの言葉が見つかります。

💡 提出できた量と、その子が理解している量は別のものです

出せていないのは、内容が分かっていないからとは限りません。書く、並べる、期限を覚えておく——課題の中身とは違う工程でつまずいていることのほうが多いのです。しつけの失敗でも、愛情不足でもありません。

宿題が「提出物」になり、評価に直結するという変化

中学で親が焦る最大の理由がここです。いまの中学校では、各教科の学習状況を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点から見る形になっています。このうち3つ目について、文部科学省は、粘り強く取り組もうとする側面と、自分の学習を調整しようとする側面の2つから見るものだと説明しています。挙手の回数やノートの取り方といった形だけの活動で判断するものではない、とも示されています。つまり提出物は「態度」を見る材料のひとつであって、提出物そのものが人格の評価ではありません。

とはいえ、何も伝えないまま白紙や未提出が続けば、判断する材料がないまま評価がつきます。だからこそ、提出できないことを隠すより、出し方を先に相談するほうが結果的に有利になります。評価のつけ方や観点の点数化の運用は学校・自治体で差があり、2026年時点でも共通の一覧表はありません。気になるときは面談で直接聞いて構いません。支援級に在籍している場合の評価と進学は支援級だと内申点はどうなる?に整理しています。

机に積み上げられた教科書とプリント、ノートの束。教科ごとの課題が同時に重なっていく中学の状態

誰に相談すればいい?担任・教科担当・コーディネーター

中学で戸惑うのが、相談先が分かれていることです。ワークの量は教科の先生、全体の状況は担任、支援の枠組みはコーディネーター。順番を知っておくと、たらい回しを避けられます。

1
まず担任に全体像を伝えるどの課題がどれだけ残っているかを、教科名を挙げて具体的に。連絡帳でも電話でも構いません。
2
教科担当と出し方を詰める量や提出方法は教科の先生の判断です。話す場を担任に取り次いでもらうのが早道。
3
コーディネーターにつなぐ教科をまたいだ調整や、続けて配慮が要るときの窓口。校内に必ず指名されています。
4
決まったことを書面に残す支援シートや面談記録に書いてもらうと、学年が上がっても引き継がれます。

特別支援教育コーディネーターは、校内外との連絡調整や保護者からの相談窓口を担う先生として、文部科学省の資料に位置づけられています。名前を知らなくても「特別支援教育のコーディネーターの先生とお話ししたいです」で通じます。

お願いできる内容は次のようなものです。全部がそのまま通るわけではなく、学校の人員や他の生徒との兼ね合いで調整されます。

  • 量の調整(ワークの範囲を区切る、問題数を減らす)
  • 提出期限をずらす、週末をはさんで延ばす
  • 書く負担を外す(解いたノートの写真提出、タブレットでの入力、解答欄の拡大)
  • どの課題を優先するかを教科の先生と一緒に決める
  • 通級による指導の中で、課題の進め方や整理の仕方に取り組む
  • できなかった日に、その場で全員の前で指摘しない対応にしてもらう

学校には、障害のある子の困りごとに合わせて対応する合理的配慮という仕組みがあります。内閣府は、令和6年(2024年)4月1日の改正法施行で、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的な義務になったと案内しています。ただし「過重な負担でない範囲で」という条件がつくため、お願いした内容がそのまま認められるとは限りません。断られたら、代わりにできる形を一緒に探す話し合いに切り替えてください。

通級による指導は中学校にもあります。文部科学省の手引では、中学校での指導時間は年間35〜280単位時間が標準で、学習障害と注意欠陥多動性障害のある生徒は年間10〜280単位時間です。設置状況は自治体差が大きいので、使えるかどうかは学校か教育委員会に確認してください。仕組みは通級指導教室とはにまとめました。

相談の切り出し方の例

数学のワークについてご相談させてください。家で取りかかると、ページ全体を見た時点で手が止まり、提出できない週が続いています。当面のあいだ、その週にやる範囲を区切って指示していただくことはできますでしょうか。

提出物が複数重なると、どれから手をつけるか決められずに全部止まってしまいます。週の初めに、優先して出すものを1つか2つ決めていただけると助かります。残りを遅れて出す場合の扱いも教えてください。

親はどこまで手を出していいのか

全部管理すれば提出物は出ますが、本人の「自分でやっている感じ」が消えます。放っておけば、期限は流れていきます。

判断の軸は1つです。考える部分は本人に残し、それ以外の重い工程だけを外します。答えを考える、内容を理解する、どれを優先するかを最後に決める——ここは本人の仕事です。書き写す、期限を一覧にする、丸つけをする。ここは手伝っても学習の中身は薄まりません。

手伝う前に本人に聞くことも大事です。「代わりに書こうか?」ではなく「書くのと、口で言うのと、どっちが楽?」と選択肢の形で出します。中学生年代は、自分で決めた感覚があるかどうかで続き方が変わります。断られたら、その日は引きます。

⚠️ 親が全部を管理する形は、長くは続きません

期限も範囲も進み具合もすべて親が握ると、うまくいかなかったときの責任まで親に来ます。管理するのは「期限の一覧」だけに絞り、やる順番と量は本人と一緒に決める形にしてください。

学校とのやり取り全般や、中学から支援を受け始める方法は中学生になってからの発達障害にまとめています。

今夜できる1つ

量ではなく、時間で終わりを決めてください。 「ワーク3ページ終わるまで」ではなく「20分やったら今日は終わり」に変えます。量で区切ると終わりが遠のきますが、時間なら終わりは必ず来ます。タイマーは本人に押してもらってください。

決めるのは3つだけです。何時に始めるか、何分でやめるか、今日はどの教科に触るか。決めるのは本人に任せて、親は「何時から?」と1回聞く役に回ります。そして20分で終わらなかった分は追いかけません。追いかけた瞬間に、時間で区切った意味がなくなります。

毎晩の言い合いで消耗しているときは、宿題より先に家の空気を戻すほうが効きます。子育てに疲れた・限界と感じたらもあわせてどうぞ。

まとめ

  • 中学で宿題が回らなくなるのは、教科ごとに課題が出て期限が重なり、提出物が評価に直結する仕組みに変わるためです
  • まず「量・書字・優先順位・理解・疲れ・完璧主義」のどこで止まっているかを1つだけ見当づけます
  • 「主体的に学習に取り組む態度」は形だけの活動で判断するものではないと文部科学省が示しています。運用は学校・自治体で差があるため、気になるときは面談で聞いて構いません
  • 相談は担任 → 教科担当 → 特別支援教育コーディネーターの順。量の調整、期限の延長、写真やタブレットでの提出を相談できます。過重な負担でない範囲という条件があるため、必ず通るとは限りません
  • 親が手を出すのは「書き写す・期限を一覧にする」まで。考える部分と最後に決める部分は本人に残します

今夜はここまでで大丈夫です。宿題を開く前に、「何時から始めて、何分でやめるか」を本人に1つだけ決めてもらってください。中身は明日でかまいません。

よくある質問

提出物が出せていないと、高校に行けなくなりますか?

提出物の状況は評価の材料のひとつですが、進路が1本しかないわけではありません。全日制のほかに定時制、通信制、専修学校などがあり、学力検査の比重が大きい選抜や、面接と作文を中心にした選抜もあります。選抜のしくみは都道府県ごとに違うので、中2の冬までに地域の入試要項を1度見ておくと、必要以上に不安にならずにすみます。

塾や家庭教師に頼めば解決しますか?

内容が分からなくて止まっているなら効きますが、量や段取りのところで止まっている場合は、通う先が増えるぶん負担が上がることもあります。頼むなら「ワークの進め方を一緒に決める」「提出物の締め切りを管理する」のように、何をしてほしいかを具体的に伝えてください。学習内容を教えることと、段取りを支えることは別の仕事です。

本人が「自分でやる」と言うのに、結局やりません。任せていいですか?

宣言と実行がずれるのは、やる気の問題ではなく段取りの部分に苦手さがあるときによく起きます。任せる・任せないの二択ではなく、「声はかけないが、期限だけは共有のカレンダーに書いておく」のように、手を出す範囲を減らしつつ支えを残す形にしてみてください。本人が選べる余地を残すほうが、中学生年代では続きやすくなります。

先生に相談したら「甘やかしになる」と言われました。

そう受け取られたときは、お願いの中身を「量の免除」ではなく「出し方の変更」に組み替えると話が進みやすくなります。たとえば「ワークを免除してほしい」ではなく「解いた答えを写真で提出したい」「今週は範囲を区切って出したい」という形です。担任だけで判断が止まるようなら、特別支援教育コーディネーターや学年主任を交えた場を相談してください。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。