🏫 園・学校生活 就学相談に行かなきゃよかった?後悔の正体と、今からやり直せること
この記事の目次
教育委員会から届いた封筒を開けたら、思っていたのと違う言葉が並んでいた。面談で言われた一言が、何日たっても頭から離れない。園で「うちは相談に行かなかった」と聞いて、行った自分の判断のほうが間違っていた気がしてくる——。
就学相談に行かなきゃよかった。そう打ち込んで検索した夜に、まずお伝えしたいことがあります。就学相談を受けたことで、選べる道が狭くなることはありません。 2013年の学校教育法施行令の改正で、障害の程度によって行き先が自動的に決まる仕組みは終わりました。文部科学省は、市町村の教育委員会が本人・保護者に十分な情報を伝えたうえで、本人・保護者の意見を最大限尊重し、その子に必要な支援について合意形成を行うことを原則だと示しています。
この記事では、まず「行かなきゃよかった」という気持ちの正体を3つに切り分けます。そのうえで誤解を解き、もう結果が出てしまった人が今から動けること、これから受けるかどうかを決める材料まで順番に整理します。
「行かなきゃよかった」の正体は、だいたい3つに分かれます
同じ言葉で検索していても、苦しさの中身は人によって違います。どれに近いかが分かると、次にやることが変わります。
| 後悔のかたち | 頭の中で繰り返している言葉 | 効きやすい一手 |
|---|---|---|
| ①希望と違う判定が出た | 「支援級と言われた」「通常級のつもりだったのに」 | 判定の理由を1つずつ確認し、再協議を求める |
| ②言われ方に傷ついた | 「冷たかった」「もっと深刻ですよと注意された」 | 言葉の背景と評価を切り離し、次の面談の作り方を変える |
| ③受けたこと自体を悔やんでいる | 「行かなければ通常級のままだったのでは」 | 就学先が決まる仕組みを知る。ここは誤解のことが多い |
3つが混ざっている場合も珍しくありません。それでも、いま一番痛いのがどれかを決めておくと、この先を読む順番が決まります。③が痛い人は次の見出しから、②が痛い人は「担当者の言葉が刺さったまま抜けないとき」から読んでください。
「就学相談を受けると通常級に行けなくなる」は誤解です
申し込んだ時点で決定権を渡した、ということはありません。ここが③の後悔の中心にある誤解です。
かつては、一定の障害の程度に当てはまる子どもは特別支援学校に就学するのが原則という仕組みでした。2013年の学校教育法施行令の改正で、そこが変わりました。文部科学省の通知では、障害の状態、本人に必要な支援の内容、教育学・医学・心理学などの専門的な見地からの意見、学校や地域の受け入れ体制、そして本人・保護者の意見を踏まえ、総合的な観点から就学先を決定する仕組みに改められたと説明されています。振り分けの表があって、そこに当てはめられるのではありません。
もう一つ大事なのは、判定を出す場と決める場が別だということです。教育支援委員会などが出すのは意見であり、就学先を決めるのは市町村の教育委員会です。その過程で、本人・保護者の意見を最大限尊重し、合意形成を行うことが原則とされています。つまり、判定が出た段階でも話し合いの席はまだ残っています。
判定に納得できず手続きとして動きたい場合は、就学相談で希望が通らないときの動き方に、再協議の求め方と意見書の集め方をまとめました。
入学したら6年間決まり、ではありません
就学先の決定は、一生ものの宣告ではありません。制度は、あとから見直す前提で作られています。
2013年の改正では、転学についての規定も整えられました。文部科学省の通知では、障害の状態が変わったときだけでなく、必要な支援の内容や地域の受け入れ体制が変わったことによっても転学の検討を始められるように改められています。子どもが伸びたときも、学校の体制が整ったときも、話を始めてよいということです。
実務の時期は自治体で違います。西宮市は、年度の途中に特別支援学校へ移ったり特別支援学級に入ったりすることはできず、翌年4月の年度替わりでの転籍になると案内しています。逆に、支援級から通常級への変更を希望する場合は教育委員会の相談センターではなく学校に相談してほしい、と案内している自治体もあります。横浜市がその形をとっています。窓口も時期も地域ごとに違うので、決めつけずに一度確認してください。
在籍の変え方は支援級から通常級への転籍に、支援級の種別ごとの違いは情緒学級と知的学級の違いに分けて書いています。
担当者の言葉が刺さったまま抜けないとき
②の後悔は、制度の説明では消えません。ここは別の整理の仕方が要ります。
横浜市は、就学相談の検査と面談におおむね2時間程度かかると案内しています。担当者はその限られた時間で、初対面の家族から判断材料を集めようとします。だから質問は踏み込んだものになりますし、確認のための言い方は、受け取る側にはそっけなく感じられます。「お子さんの障害はもっと深刻ですよ」と言われたなら、それは家庭の姿勢への評価ではなく、担当者が支援の必要性を強く見積もっているという情報です。腹が立った事実はそのままでよく、ただ、言われた内容と傷ついた気持ちは分けて置いておけます。
そのうえで、次に会うときの場の作り方は変えられます。
✅ 次の面談までに用意できること
- これまでのやり取りを、日付・相手・言われた内容の3点でメモに起こす
- 聞きたいことを3つに絞って紙に書き、その紙を相手にも見せる
- ひとりで行かない。配偶者、園の先生、相談支援専門員など同席者を1人増やす
- 伝えたい家庭の様子は、口頭ではなくA4用紙1枚にまとめて渡す
- 言い方がつらかったことは、担当課に事実として伝えてよい
紙に書いて渡す形にすると、こちらが感情的になりにくく、相手の記録にも残ります。同席者がいるだけで、言葉の圧は目に見えて減ります。
💡 相談に行ったこと自体は、むだになっていません
面談で話したこと、受けた検査、園から提出された記録は、そのまま入学後の支援の土台になります。行かなかった場合より、学校に渡せる材料は確実に増えています。いま苦しいのは、その材料の渡し方と言われ方の問題であって、行った判断そのものではありません。

もう結果が出てしまった人が、今から動けること
判定や結果の通知は、秋に集中します。いま読んでいる方の多くは、結果を受け取ったあとのはずです。入学までの数か月は、何もできない待ち時間ではありません。
3番目がいちばん効きます。判定の紙に書かれるのは結論だけですが、引き継ぎの紙には「何が苦手か」ではなく「どうするとうまくいったか」を書けます。給食で無理をさせない、予定の変更は前日に伝える、大きな音の前に声をかける。そういう具体が書いてあるほど、担任は4月から動けます。書き方は就学支援シートの書き方にまとめました。
入学後も、様子を見る期間はあります。1学期のうちに担任と面談の機会を作り、家で見えている姿を伝えておくと、見直しの話を始めやすくなります。
これから受けるかどうか迷っている人へ
まだ申し込んでいない方には、受ける・受けないをフラットに置いて考えてほしいところです。判断に必要な事実は、次の3つです。
- 受けない選択はできます。 就学時健康診断と違い、就学相談は希望する保護者が申し込む仕組みの自治体が一般的です。申し込まないまま入学しても手続き上の問題は起きません
- ただし、支援級や支援学校を希望するなら実質の入口です。 西宮市は、特別支援学級への入級や特別支援学校への就学を考えている人を就学相談の対象として案内しています。受けないままでは、この検討ルートに乗りにくくなります
- 通常級で支援を受けたいだけなら、別の道もあります。 西宮市は、通常の学級に就学したうえで支援を受けたい場合は就学予定先の小学校へ連絡してほしいと案内しています。学校に直接相談する形です
受付の時期も見ておいてください。西宮市は4月中旬から8月末までを相談の実施期間としており、秋に判定、冬に通知という流れが多くの自治体で共通しています。年中の冬から年長の春にかけて情報を集めておくと、慌てずにすみます。
迷ったまま申し込む場合も、こう考えておくと気が楽です。相談は、行き先を決めてもらう場ではなく、その子に必要な支援を学校側と共有するための最初の面談です。話した内容は消えずに残り、どこに入学しても使えます。
まとめ
- 「行かなきゃよかった」は、判定への不満・言われ方の傷つき・受けたこと自体の後悔の3つに分かれます。どれが一番痛いかを決めると、次の一手が決まります
- 2013年の学校教育法施行令の改正で、障害の程度で自動的に振り分ける仕組みは終わりました。本人・保護者の意見を最大限尊重し、合意形成を行うことが原則です。判定を出す場と決める場は別で、判定が出た後も話し合いの席は残っています
- 入学は一生の決定ではありません。必要な支援や学校の体制が変われば転学の検討を始められます。時期は年度替わりが区切りの自治体が多くあります
- 結果が出たあとの数か月にできることがあります。判定理由を1つ聞く、学校を見に行く、引き継ぎの紙を書く、見直しの時期を確認する、の4つです
- 受けないという選択も可能です。ただし支援級・支援学校を希望するなら、就学相談が実質の入口になっている自治体が一般的です
今夜はここまでで大丈夫です。明日やることは1つだけ、園での様子で「これがあると落ち着く」と思い当たることを、紙に1行だけ書き出してみてください。その1行が、春に担任へ渡す引き継ぎの紙の1行目になります。
よくある質問
就学相談を受けたら、通常学級を選べなくなりますか?
そうはなりません。2013年の学校教育法施行令の改正で、障害の程度によって就学先が自動的に決まる仕組みは終わっています。文部科学省は、本人・保護者の意見を最大限尊重して合意形成を行うことを原則だと示しています。相談を申し込むことは、決定権を渡すことではありません。
就学相談を受けないという選択はできますか?
できます。就学時健康診断と違い、就学相談は希望する保護者が申し込む仕組みの自治体が一般的です。ただし特別支援学級や特別支援学校を希望する場合は、就学相談が実質の入口になっている自治体が多く、受けないとその検討に乗りにくくなります。通常学級で支援を受けたいだけなら、入学予定の小学校に直接相談する道を案内している自治体もあります。
面談の担当者の言い方がきつくて傷つきました。担当を代えてもらえますか?
自治体によっては対応してもらえる場合があります。まずは就学相談の担当課に、これまでのやり取りの経緯と困っている点を具体的に伝えてください。担当が代わらない場合でも、同席者を増やす、口頭ではなく書面でやり取りする、といった形で場の作り方を変えることはできます。
入学してから学びの場を変えることはできますか?
できる仕組みになっています。文部科学省の通知では、障害の状態の変化だけでなく、必要な支援の内容や地域の体制の変化によっても転学の検討を始められるよう規定が整えられました。ただし年度の途中は受け付けず、翌年4月の年度替わりで転籍とする自治体もあります。時期と手続きは住んでいる自治体に確認してください。
判定にどうしても納得できません。やり直してもらえますか?
教育支援委員会などが出すのは意見であり、最終決定そのものではありません。判定の理由を確認したうえで再協議を求めることができます。主治医や園の意見書など判断材料を足す動き方が現実的です。手続きの進め方は「就学相談で希望が通らない?」の記事にまとめています。