🏫 園・学校生活 情緒級と知的級の違いは?特別支援学級の種類と決まり方、入学後の見直し
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「特別支援学級が適当」と書かれた通知を何度読み返しても、情緒なのか知的なのかは書かれていない。園の先生に聞いても、教育委員会から連絡が来ると思いますで話が終わる。見学した学校には支援級の教室が2つあって、どちらも同じように見えた——。支援級までは決まったのに、いちばん知りたいところだけが空白のまま、という段階でこの記事にたどり着いた方に向けて書きます。
先に結論をお伝えします。情緒(自閉症・情緒障害)学級と知的障害学級を分けているのは、診断名ではなく、全般的な知的発達に遅れがあるかどうかです。そして在籍する学級は、一度決まったら6年間動かせないものではありません。この記事では、2つの学級の違い、決まり方、授業や教科書の実際、学校によって設置が違う事情、そして判定が出たあとや入学後に動く方法までを順に見ていきます。
特別支援学級は7種類。多くの小中学校にあるのはこの2つ
支援級とひとくくりに呼ばれていますが、制度のうえでは、障害の種類ごとに分かれた学級です。文部科学省は特別支援学級の種類として、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の7つを挙げています。
このうち、多くの小学校・中学校に置かれているのが知的障害の学級と自閉症・情緒障害の学級です。保護者のあいだで「知的級」「情緒級」と短く呼ばれているのが、この2つにあたります。就学相談で支援級と伝えられたあと、次に決まるのがこの種別です。
そもそも支援級に進むかどうかで揺れている段階なら、支援級と通常級で迷ったときの判断ポイントを先に読んでみてください。
情緒級と知的級は何が違う?
分けているのは、全般的な知的発達に遅れがあるかどうかです。ここを起点にして、学習の進め方も、使う教科書も、交流学級での過ごし方も変わっていきます。
🧩 情緒級(自閉症・情緒障害)
- 全般的な知的発達に遅れがない
- 学年相当の内容が学習の土台
- 刺激を減らした環境と個別の声かけで支える
- 交流学級で受ける教科を多めに組みやすい
📗 知的級(知的障害)
- 知的発達に遅れがある
- 理解の段階に合わせて内容と量を調整する
- 生活の中で使える力の習得に時間を割く
- 活動を共にしやすい教科を中心に交流する
もう少し細かく並べると、次のようになります。学校ごとの運用の幅が大きい部分なので、見学のときに現物を見せてもらうのが確実です。
| 見るところ | 情緒級(自閉症・情緒障害) | 知的級(知的障害) |
|---|---|---|
| 全般的な知的発達 | 遅れがないことが前提 | 遅れがある |
| 学習の進め方 | 学年相当の内容を、その子が取り組める形に整えて進める | 理解の段階に合わせ、内容や量を組み替えて進める |
| 教科書 | 学年相当の検定教科書が基本 | 下の学年の教科書や、知的障害のある子ども向けに作られた教科書を使うことがある |
| 交流及び共同学習 | 得意な教科を通常の学級で受けるなど、時間を長めに組みやすい | 音楽・図工・体育・給食など、活動を共にしやすい時間を中心に組む |
| 通知表・評価 | 学年の目標に沿った評価に近い形をとりやすい | 個別の指導計画の目標に沿って、文章で様子を書く形が中心になりやすい |
| 進路の景色 | 中学で通常の学級に戻る子や、高校受験に進む子もいる | 特別支援学校の高等部や高等特別支援学校が選択肢に入りやすい |
| 1学級の人数の基準 | 8人 | 8人 |
学習の面でいちばん実感が違うのは、教科書と評価のところです。情緒級は学年相当の学びを続けながら、集中しにくさや対人面のしんどさを環境で支える場所です。知的級は、学ぶ内容そのものをその子の段階に合わせて組み直せる場所だと考えると、輪郭がつかみやすくなります。
どちらの学級になるかは、診断名では決まらない
自閉スペクトラム症(ASD)の診断があるから情緒級、という決まり方ではありません。文部科学省は、知的障害の学級の対象を、知的発達の遅れがあり、他人との意思疎通に軽度の困難があって日常生活を営むのに一部の援助が必要で、社会生活への適応が難しい程度のものと示しています。自閉症・情緒障害の学級については、自閉症またはそれに類するもので、他人との意思疎通や対人関係を築くことが難しい程度のものを挙げています。あわせて、主に心理的な要因による選択性かん黙などがあり、社会生活への適応が難しい程度のものも対象に含めています。
つまり見られているのは、診断名ではなく、知的発達の状態と、学校生活で必要になる支援の中身です。ASDの診断があって知的な遅れもある子は知的級が検討されますし、診断名がついていなくても、知的発達の遅れがあれば知的級が検討されます。
⚠️ この表で自分の子を当てはめないでください
ここまでの整理は、教育委員会がどこを見ているのかを知るためのものです。実際の判断は、発達検査の結果、園や学校での様子、医療の情報などを合わせて就学支援委員会で行われます。家庭での見立てと結論がずれることは普通にあります。
迷いが強いときは、次の3つを別々に書き出しておくと、就学相談での話し合いがかみ合いやすくなります。
- 生活の中で大人の手がどれくらい要るか(着替え・持ち物・トイレ・登下校)
- 授業のどこでつまずくか(読む・書く・計算・指示を聞き取る・最後まで座る)
- 教室の何がしんどいか(音・人数・急な変更・友だちとのやりとり)
3つ目に困りごとが集まる子は情緒級、1つ目と2つ目に集まる子は知的級が検討されやすい、というのがおおまかな傾向です。ただし境目に見える子ほど、書き出したメモそのものが相談の材料になります。
授業・教科書・通知表はどう変わる?
特別支援学級は、小学校・中学校の学習指導要領に沿って教育を行うのが基本です。そのうえで文部科学省は、子どもの実態に応じて、特別支援学校の学習指導要領を参考にした特別の教育課程を編成できると説明しています。この「特別の教育課程」をどこまで使うかが、2つの学級で大きく変わります。

情緒級では、学年相当の検定教科書をそのまま使うのが基本です。国語も算数も、学年の内容を進めます。変えるのは中身ではなく、進め方や環境のほうです。座る位置、聞き取りやすい指示の出し方、課題の量、休憩の取り方などを、その子に合わせて調整していきます。
知的級では、学年相当の教科書が合わないときに、下の学年の教科書に替えたり、知的障害のある子ども向けに作られた教科書を使ったりすることがあります。文部科学省は、特別支援学校の知的障害のある子ども向けの教科書を自ら著作していて、内容の段階が星の数で分かれています。現場で「星本」と呼ばれているのがこの教科書です。
通知表の形も変わります。特別の教育課程を組んだ教科では、学年の到達度で評価する形がなじまないため、個別の指導計画の目標に対してどこまで進んだかを文章で書く形をとる学校が多くなります。ただし通知表の様式は学校ごとに違います。見学や相談のときに、実物の様式を見せてもらえるか聞いてみてください。「うちの学級の通知表は、どんな形で書かれますか」と尋ねれば十分に伝わります。
希望する学級が校区の学校にないこともある
ここが、事前に知っておくと消耗を減らせるところです。7つの種別すべてが、すべての小中学校に置かれているわけではありません。校区の学校に知的級はあるけれど情緒級はない、という状況は珍しくありません。
八王子市は、知的障害の学級を小学校28校・中学校20校に設置している一方で、自閉症・情緒障害の固定学級は市内に置いていないと案内しています。該当する子どもについては、原則として通常の学級に在籍したうえで、校内の特別支援教室を使う形で就学相談を進めるとしています。自治体の方針そのものが違うわけです。
そのため、実際に起きることは次のどれかになります。
- 校区の学校に希望の学級がある。そのまま入学し、近所の子と同じ通学路を歩きます
- 学区外の学校に通う。その種別の学級がある学校を指定してもらう形です。通学の距離と送迎の負担を先に確かめてください
- 通級・特別支援教室で対応する。通常の学級に在籍したまま、週に数時間の指導を受けます。自治体がこの形を基本にしている場合もあります
3つ目の形が示されたときに、支援を断られたと受け取ってしまう方がいますが、そうではありません。しくみと使い方は通級指導教室でできることにまとめています。
就学相談では、次の3点を早めに聞いておくと予定が立てやすくなります。校区の学校にどの種別の学級があるか。ない場合はどの学校が指定されるか。その学校までの通学手段と、付き添いが必要かどうか。徒歩で通える範囲に希望の学級がないために、通学の負担と学級の種別を天秤にかけることになる家庭もあります。ここは早く知るほど選択肢が広がります。
判定が出たあと・入学後でも動ける
もう判定の通知を受け取ってしまった方に、いちばん伝えたいのがこの章です。在籍する学級は、年度ごとに見直せます。入学して数か月たってから、思っていたのと違うと気づくことも、想定されている事態です。
動くきっかけになるのは、たとえば次のような変化です。
- 学年相当の内容についていくのが苦しく、授業中に離席や体調不良が増えた
- 逆に、学習は落ち着いて進んでいて、交流学級で過ごせる時間が増えてきた
- 検査を受け直して、前回と違う結果が出た
- 引っ越しや進学で、通う学校そのものが変わる
相談の入り口は2つだけ覚えておけば大丈夫です。ひとつは在籍している学校の担任か、校内で支援の窓口役をしている先生。もうひとつは自治体の教育委員会で、就学相談や転学相談を担当している部署です。多くの自治体で、翌年度から学級を変えるための相談は前の年の秋から冬に締め切られます。4月に間に合わせたいなら、秋のうちに一度電話を入れておくのが確実です。
💡 いま選ぶのは、6年分ではありません
入学のときに決まるのは、最初の1年をどこで始めるかです。合わないと分かれば見直せますし、見直したことで子どもが楽になる例はたくさんあります。今の情報で納得できるほうを選べば、それで十分です。
判定そのものに納得がいかないときは、受け入れる前に理由を具体的に聞いてかまいません。どの場面を見て、何が根拠になったのかを尋ねるのは、抗議ではなく確認です。進め方は就学相談の結果に納得できないときの動き方にまとめています。
学級が決まったあとで、周りの言葉に揺さぶられることもあります。そんなときに読むものとして、「支援級はずるい」と言われたときの受け止め方も置いてあります。
まとめ
- 特別支援学級は7種類あり、多くの小中学校に置かれているのは知的障害の学級と自閉症・情緒障害の学級の2つ
- 2つを分けているのは診断名ではなく、全般的な知的発達に遅れがあるかどうかと、学校生活で必要になる支援の中身
- 情緒級は学年相当の教科書で進め、知的級では下の学年の教科書や知的障害のある子ども向けの教科書を使うことがある
- すべての学校に両方の学級があるわけではない。校区にない場合は学区外通学や通級での対応になることがある
- 在籍する学級は年度ごとに見直せる。翌年度から変えたいときは、前の年の秋から冬が相談の目安
今夜はここまでで大丈夫です。明日、気持ちに余裕があるときに、校区の小学校にどの種別の支援級が置かれているかだけ、自治体のホームページか教育委員会への電話で確かめてみてください。ここが分かると、考える範囲がぐっと狭まります。
よくある質問
情緒級に入るには自閉スペクトラム症の診断が必要ですか?
診断が判断の材料になることは多いのですが、診断名だけで決まるわけではありません。自閉症・情緒障害学級の対象について、文部科学省は、自閉症またはそれに類するもので他人との意思疎通や対人関係を築くことが難しい程度のもの、および主に心理的な要因による選択性かん黙などがあり社会生活への適応が難しい程度のものと示しています。診断書に加えて、園や学校での様子、検査の結果などをあわせて教育委員会が判断します。
情緒級と通級指導教室(特別支援教室)はどう違いますか?
在籍する学級が違います。情緒級は、その学級に籍を置いて日々の授業を受け、必要な教科を交流学級で受けます。通級指導教室は通常の学級に籍を置いたまま、週に数時間だけ別の場所で指導を受けるしくみです。同じ市内でも、情緒の固定学級を置かず通級で対応している自治体があります。
知的級に入ると、高校には進めなくなりますか?
進路が閉じるわけではありません。特別支援学校の高等部や高等特別支援学校のほか、高等学校を受験する道もあります。ただし支援級に在籍していた期間の内申点の扱いは自治体や学校によって違うので、中学入学前後の早い時期に、在籍校と教育委員会に確認しておくと安心です。
情緒級に入ったあと、通常の学級に戻ることはできますか?
戻る方向の見直しもできます。在籍する学級は年度ごとに見直すしくみになっていて、通常の学級への転籍を相談することも可能です。手続きの入り口は在籍している学校か、自治体の教育委員会(就学相談・転学相談の担当)です。学年の変わり目を原則とする自治体が多いので、締め切りを先に確認してください。
情緒級と知的級で、学級の人数は変わりますか?
どちらも1学級8人が基準です。種別によって人数の基準が変わることはありません。ただし実際に何人いるかは学校ごとに違い、複数の学年の子が同じ教室で学ぶことも多くあります。見学のときに、今の在籍人数と学年の内訳、先生の人数を聞いておくと、教室の様子がつかみやすくなります。