🔍 診断・特性の理解 二次障害とは?発達障害の子に出るサインと、家庭・学校でできる予防と相談先
この記事の目次
「どうせ僕なんて」と口にするようになった。朝になるとおなかが痛いと言う。前より怒りっぽくなって、寝つきも悪い。ここ最近そんな変化が続いていて、検索の途中で「二次障害」という言葉にたどり着いた方へ書きます。
先にいちばん大事なことをお伝えします。二次障害は、発達障害そのものの症状ではありません。もともとの特性と周りの環境がかみ合わない状態が続き、うまくいかない経験が積み重なった結果として出てくる、二次的な状態を指す言い方です。だから育て方のせいでもありません。そして環境を整えれば、負担を減らしていける部分があります。
この記事では、二次障害という言葉が指すもの、家庭で気づける変化、表面化しやすい時期、家庭と学校でできること、相談先と受診の目安を順に整理します。すでにサインが出ている方に向けた項目も独立して置きました。
二次障害とは?特性そのものではなく、あとから重なるもの
二次障害が指すのは、うまくいかない経験が重なって出てくる、心や体の不調や生活の困りごとです。特性そのものとは別のものとして扱われます。
国立教育政策研究所と国立特別支援教育総合研究所が学校向けに出している資料には、その道すじが書かれています。つまずきや失敗が積み重なり、そこに無理強いのような合わない対応が繰り返される。するとストレスや不安感が高まり、意欲が失われ、自己評価や自尊感情が下がって適応の難しい状態に陥る、という流れです。両研究所は、学校生活での不適応には、あらかじめ防ぐ対応がとられなかったことによる二次的な要因も少なくないと示しています。
一次と二次を分けて見ると、どこに手を打てるのかが見えてきます。
| 一次(もともとの特性) | 二次(あとから重なったもの) | |
|---|---|---|
| 何を指すか | 生まれつきの発達の凸凹 | 環境とのずれが続いた結果の状態 |
| いつからあるか | 幼いころから見られる | ある時期からあとで現れる |
| 表れ方 | 忘れ物、切り替えの苦手さ、感覚の過敏さなど | 行き渋り、体の不調、強い自己否定、怒りっぽさなど |
| 手の打ち方 | 伝え方や道具を特性に合う形に変える | 環境を整えて負担を減らし、相談先を増やす |
発達障害情報・支援センターも、障害は本人の側の要因だけで生じるのではなく環境の要因との相互の作用で生じるとして、生活しやすい環境をつくる必要があると案内しています。ここが、手を打てる理由です。変えられるのは特性ではなく、特性と環境のあいだにあるずれのほうです。
💡 ここまでの要点
二次障害は、育て方が悪かったから起きるものではありません。もともとの特性と、周りの求め方とのずれが続いたときに起きると説明されています。ずれは縮められる、ということでもあります。
家庭で気づける様子の変化
見ておきたいのは症状の名前ではなく、前と比べてどう変わったかです。次のような変化が続いているなら、相談を始める合図になります。
- 学校や園に行きたがらない日が増えた
- 頭痛、腹痛、吐き気を訴える朝が続いている
- 「どうせ僕なんて」など自分を責める言葉が増えた
- 小さなことで怒る、物に当たる、きょうだいに強く当たる
- 寝つけない、夜中に起きる、朝起きられない
- 急に甘えが強くなる、話し方や仕草が幼くなる
- 好きだったことに手をつけなくなった
生徒指導リーフは、発達障害のある子どもは特性がもとになって幼いころから困難と失敗を経験していると書いています。学習への意欲や自信を失い、自分にはできないと考えがちになるなど、自己評価が低くなっている場合が多いという指摘です。つまり、言葉として出てくる自己否定が見せているのは、性格ではなく積み重なった経験のほうです。
いくつ当てはまったかを数えるリストではありません。数より、いつごろから変化が始まったかを思い出しておくことが、相談のときに役に立ちます。
二次障害はいつから?表面化しやすい時期
出やすいのは、環境が大きく変わる時期と思春期です。どちらも、それまで何とか持ちこたえていた形が通用しなくなるタイミングにあたります。
- 二学期の始まり。生活リズムと集団のルールが一日で戻ってきます
- 進級やクラス替え。人との距離の取り方を一から作り直します
- 小学校や中学校への進学。教科担任制、部活動と、変数が増えます
- 行事の多い時期。練習と本番で、いつもの見通しが崩れます
- 思春期。自分と周りを比べる力が育ち、それまで気にならなかった差が見えてきます
思春期については、生徒指導リーフが先生に向けて注意を促しています。先生から特別視された支援は、自尊感情の低下を招くだけでなく、友達からも特別視されることにつながる。そして疎外感や孤立感を生じさせてしまうことがある、という内容です。小さいころは喜んでいた手助けを、この時期に強く拒むようになることがあります。支援をやめるのではなく、やり方を本人と相談して決め直す時期だと考えると動きやすくなります。
夏休み明けの朝の具体的な選択肢は、夏休み明けの行き渋りにまとめています。
すでにサインが出ているとき、家庭で今日からできること
もう二学期が始まっていて、変化が出ている。そういう方に向けた項目です。始まってから気づいたとしても、できることは残っています。今日やることは、次の3つで十分です。
休ませてよいのか迷う気持ちは、多くの方が持っています。文部科学省の通知は、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つ場合があるとしています。そのうえで、学校に登校するという結果のみを目標にするのではないと示しています。休ませることは、あきらめではありません。

そのうえで、家庭でできるのは訓練ではなく、できたで終われる一日を増やすことです。
- 求める水準を一段下げる。全部やらせようとすると、できなかった記録だけが増えます
- できた場面を具体的に言葉にする。「えらいね」よりも「靴をそろえて置けたね」が残ります
- 指示は短く、ひとつずつ。終わってから次を伝えると、失敗の回数そのものが減ります
- 見て分かる形にする。持ち物の写真、朝の手順を書いた紙。耳で覚え続ける負担が下がります
- 家では点数をつけない。学校で評価される時間が長い子ほど、評価のない時間が必要です
生徒指導リーフは先生に向けて、失敗を直させる対応だけでなく、うまくいった経験から達成感が得られる機会を積ませること、小さな変化にこまめに気づいて認めることを求めています。発達障害情報・支援センターも、目で見て分かる情報のほうが理解しやすい場合があること、選択肢を示して自分で決める経験を重ねることを挙げています。
叱り方は発達障害の子への叱り方、支える側が限界に近いときは子育てに疲れたときの休み方もどうぞ。
学校に頼めることと、伝え方
学校には診断名を説明する必要はありません。困っている場面をひとつと、してほしいことをひとつ伝えれば、話は始まります。
| 困っている場面 | 学校にお願いできること | 伝える相手 |
|---|---|---|
| 朝、教室に入れない | 昇降口での受け入れ、遅刻登校、別室からの合流 | 担任・養護教諭 |
| 教室のざわつきがつらい | 保健室や別室の利用、座席の位置の調整 | 担任・特別支援教育コーディネーター |
| 宿題が終わらず夜が長い | 量の調整、提出の形を変える | 担任 |
| 気持ちを誰かに聞いてほしい | スクールカウンセラーの面談(保護者も申し込めます) | 学校を通して予約 |
| 授業についていくのがつらい | 通級による指導や特別支援学級の検討 | 学校・教育委員会 |
生徒指導リーフは、支援を担任だけで抱えず、特別支援教育コーディネーターを中心に先生どうしで一貫して進めることが大切だと示しています。同じ資料には、学校不適応への対応は、本人が環境に合わせられる力をつける支援と、環境のほうを本人に合わせる支援の両面から考える必要があるとも書かれています。家庭が前者だけを一人で背負う必要はありません。
相談先と、受診を考える目安
相談先は一か所に絞らず、いくつか並べて持っておくほうが動きやすくなります。
✅ 相談できる先(再掲)
- 担任・特別支援教育コーディネーター・養護教諭
- スクールカウンセラー(保護者も面談を申し込めます)
- 市区町村の教育相談窓口・教育支援センター
- 都道府県・政令市の発達障害者支援センター
- かかりつけ医・かかりつけの発達外来・児童精神科
発達障害者支援センターは、都道府県と政令市に置かれた相談機関です。全国の一覧は国立障害者リハビリテーションセンターが公開していて、診断や手帳がなくても相談できます。教育支援センターについて文部科学省は、通いたい子への支援だけでなく訪問型の支援も行うと示しています。窓口の選び方は発達障害の相談窓口にまとめました。
医療機関については、次のような様子が続いているとき、様子を見るより先に連絡してください。
- 頭痛や腹痛など体の不調の訴えが2週間以上続いている
- 眠れない日、朝どうしても起きられない日が続いている
- 食欲が落ち、体重が目に見えて減った
- 自分を傷つける言葉や行動が出ている
- 「消えたい」「いなくなりたい」という言葉が出た
発達外来や児童精神科は予約が先になりがちです。受診すべきかを家庭で判断せず、まず電話で状況を話すほうが早く進みます。かかりつけの小児科でも、相談先を紹介してもらえることがあります。
まとめ
- 二次障害は発達障害そのものの症状ではなく、特性と環境のずれが続いた結果として出てくる状態を指す言い方です
- 公的な資料でも、つまずきの積み重ねと合わない対応の繰り返しが意欲の喪失や自尊感情の低下につながると示されています。育て方の問題ではありません
- 家庭で見るのは、行き渋り、体の不調、自己否定の言葉、怒りっぽさ、睡眠の乱れといった前との変化です。数より、いつから変わったかを覚えておきます
- 表面化しやすいのは、二学期の始まりや進級・進学など環境が変わる時期と、思春期です
- すでにサインが出ていても手はあります。要求水準を下げる、休ませる、相談先をひとつ増やす。この3つから始められます
今夜はここまでで大丈夫です。明日やることは1つだけ、変化が始まった時期をスマホのメモに一行書いておいてください。「7月ごろから朝おなかが痛いと言う」で十分です。担任にもお医者さんにも、その一行がそのまま使えます。
よくある質問
二次障害は診断名ですか?
診断名ではありません。発達障害の特性と周りの環境とのずれが続いた結果として出てくる状態を、まとめて呼ぶための言い方です。医療機関では、いま出ている不調そのものを見て診断や見立てが行われます。どんな名前がつくかは受診した場所で説明を受けてください。
診断がまだ出ていなくても相談できますか?
できます。学校の配慮の相談も、市区町村の教育相談も、発達障害者支援センターも、診断名や手帳がなくても受け付けています。持っていくのは診断書ではなく、いつから、どんな場面で、どう困っているかという具体的な話で十分です。
きょうだいへの影響も心配です。
家の中の緊張が高い時期は、きょうだいのほうが我慢を引き受けていることがあります。親を独占できる短い時間を意図的に作る、学校の先生にきょうだいの状況も一言伝えておく、という2つが取り組みやすい方法です。きょうだい向けの相談を行っている自治体や親の会もあります。
学校に相談すると、記録や内申に残りますか?
配慮について相談したこと自体が評価の記録になる仕組みはありません。ただし欠席や早退の扱い、別室で過ごした時間の記録の仕方は学校によって違います。気になる場合は、相談のときに担任へ「どう記録されますか」と直接聞いておくと、あとから心配にならずにすみます。
大人になってからも起きますか?
年齢で終わるものではありません。進学や就職など環境が大きく変わる節目では、同じように負荷が高まります。発達障害者支援センターは子どもだけでなく大人の相談も受け付けているので、年齢が上がってからでも相談先はあります。