🏫 園・学校生活 就学時健診とは?当日の流れ・持ち物・知能検査の中身をやさしく解説
この記事の目次
秋のポストに「就学時健康診断のお知らせ」の封筒。指定されているのは平日の午後で、場所は来年通う予定の小学校。うちの子は列に並んで待つのが苦手だし、初めての場所では固まってしまう——。結論からお伝えすると、就学時健診は入学予定の子ども全員が受ける健康診断で、合格・不合格を決める場でも、その場で学級を振り分ける場でもありません。 この記事では、いつ何のために行われるのか、当日の検査と流れ、知能の検査の中身、持ち物、そして待つのが苦手な子への当日の工夫までを順に見ていきます。通知が届いたあとから、当日の朝から、健診が終わったあとからできることも用意しました。
就学時健診とは?いつ・誰が・何のために行うのか
就学時健診(就学時健康診断)は、翌年4月に小学校へ入学する子ども全員を対象に、市区町村の教育委員会が行う健康診断です。横浜市は、学校保健安全法にもとづき、健康の状態をつかんで必要な助言をし、入学の準備につなげるために行うと説明しています。
時期にも国のルールがあります。学校保健安全法施行令は、学齢簿が作られたあと、翌学年の初めから4か月前まで(就学の手続きに支障がない場合は3か月前まで)に行うと定めています。4月1日の4か月前は11月30日にあたるため、実務では10月から11月に集中します。江東区は10月15日から11月21日、横浜市は10月下旬から12月上旬の平日の午後としています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 翌年4月に小学校・義務教育学校へ入学する予定の子ども全員 |
| 実施するところ | 市区町村の教育委員会(会場は住所で指定された小学校が中心) |
| 時期 | 10〜11月が中心。国のルールでは11月30日まで(手続きに支障がなければ12月31日まで) |
| 案内が届く時期 | 9月から10月ごろ。日時・会場・提出書類が同封される |
| 目的 | 健康の状態を確かめ、必要な受診や助言につなげて入学の準備をすること |
私立や国立の学校に進む予定でも、原則として指定校で受けるよう案内する自治体が多くあります。
就学時健診と就学相談は何が違う?
ここが最初につまずきやすいところです。名前は似ていますが、目的も対象も始まり方も別のものです。
| 就学時健診 | 就学相談 | |
|---|---|---|
| 対象 | 入学予定の子ども全員 | 希望して申し込んだ家庭 |
| 始まり方 | 通知が届く(申し込み不要) | 自分から申し込む |
| 時期 | 10〜11月に1回・半日ほど | 春から冬まで数か月 |
| 中身 | 体と健康の状態を確かめる | 面談・発達検査・学校見学 |
| 決まること | 学級は決まらない | どこで学ぶかを一緒に考える |
就学時健診は「全員が通る道」、就学相談は「希望して入る道」です。健診の場で学級が決まることはありません。ただし、健診での様子をきっかけに就学相談を勧められることはあります。すでに就学相談を進めている家庭も、健診は別に受けます。1年間の進み方は就学相談はいつから?年間の流れにまとめました。
当日は何をする?検査の項目と半日の流れ
検査の中身も法律で決まっています。学校保健安全法施行令が挙げているのは、栄養状態、背骨と胸のかたち、視力と聴力、目の病気、耳鼻いんこうと皮膚、歯と口、その他の病気や異常の7つです。実際の会場では、次のような順で回ることが多くなります。
横浜市は、学校医と学校歯科医による内科・眼科・歯科の検診、教職員による視力検査と面接、そして必要に応じて聴力検査や教育相談を行うと説明しています。

所要時間は会場によりますが、受付から解散まで1時間から2時間ほどを見ておくと予定が立てやすくなります。待ち時間が長くなりやすいのは、受付直後と診察の列です。
知能の検査では何をする?「引っかかった」らどうなる?
いちばん不安が集まるのがここだと思います。先に答えを書きます。この検査で診断がつくことはありませんし、点数で順位をつけるものでもありません。
学校保健安全法施行規則は、7つ目の「その他の疾病及び異常の有無」の中身として、知能について適切な検査によって知的障害の発見につとめる、と定めています。目的は見つけて手当てにつなげることであって、成績をつけることではありません。方法は各自治体が選ぶため、名前や年齢を答える短い受け答え、絵カードを見て答える課題、簡単な図形をまねて書く課題など、会場ごとに違いがあります。多くの場合は先生と1対1で数分から十数分です。
気になる様子があったときも、その場で何かが決まるわけではありません。後日あらためて連絡があり、詳しく見てもらう場や就学相談の案内につながっていきます。就学相談で使われる新版K式発達検査や田中ビネー知能検査は、健診の面接とは別のもので時間も内容も違います。その中身は就学相談の発達検査は何をする?にまとめました。
💡 うまく答えられなくても大丈夫です
初めての場所、初めて会う大人、いつもと違う時間帯。この3つが重なれば、家では言えることが言えなくなるのは自然なことです。「今日は場所に慣れるのが精いっぱいでした」と付き添いの大人が一言添えれば、それも大切な情報として受け取ってもらえます。
健診の結果から学級が決まることはありません。支援学級と通常学級で迷っている段階の方は、支援級と通常級で迷ったらもあわせて読んでみてください。
持ち物と服装。通知が届いてから当日の朝までにやること
持ち物は自治体でかなり違うので、いちばん確実なのは同封された案内です。たとえば小山市は、事前に届く通知書・問診票・食物アレルギーの調査票に加えて、親子(母子)健康手帳、上ばきとスリッパ、靴を入れる袋を挙げています。よく指定されるものは次のとおりです。
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| 就学時健康診断通知書 | 事前に届く。記入して当日持参する自治体が多い |
| 問診票・保健調査票 | 家で書いておく。予防接種の記録が要るものもある |
| アレルギーの調査票 | 同封されていれば記入して持参 |
| 母子健康手帳 | 小山市は持ち物、横浜市は不要。案内にしたがう |
| 上ばき・スリッパ・靴袋 | 子どもと保護者の両方分。学校指定の袋がある場合も |
| 筆記用具 | その場で記入する書類が出ることがある |
服装は、江東区が案内しているとおり脱ぎ着しやすいものが基本です。診察で上着を脱ぐ場面があるため、かぶって着るタイプよりも前が開く服のほうが落ち着いて過ごせます。同区は、車や自転車での来校を控えること、受付時間を守ること、付き添いの保護者は1人までとすることも挙げています。
通知が届いたあとにできることは、実はそれほど多くありません。書類を書く、上ばきを用意する、当日の午後の予定を空ける。この3つが済んでいれば準備としては十分です。
待てない・音が苦手な子のための当日の工夫
「並んで待てるだろうか」「知らない大人に体をさわられて泣かないだろうか」。この心配には、当日までにできる手当てがあります。
✅ 電話1本で相談できること
- 順番を早めか遅めにしてもらえるか — 受付直後の混雑を外せると待ち時間が短くなります
- 待つ場所を別にできるか — 空き教室や廊下の端で待たせてもらえることがあります
- 当日より前に会場を見られるか — 外から校舎を見るだけでも見通しが立ちます
- イヤーマフや耳栓を持ち込めるか — 体育館や廊下の反響がつらい子には効きます
- 苦手な検査を先に/後に回せるか — 口を開ける歯科や、耳をさわられる検査など
連絡先は、通知書に書かれている学校か、教育委員会の学務課・こども教育課などです。「年長の子のことで、当日の進み方を相談したいのですが」と切り出せば大丈夫です。診断名は要りません。困る場面を具体的に言うほうが、相手も手を打ちやすくなります。
当日の朝からでもできることは3つあります。行く場所と終わりを一緒に確認すること、待ち時間の相棒(小さな本やシールブックなど音の出ないもの)を持っていくこと、終わったあとの楽しみを先に決めておくことです。
それでも当日つらくなったときは、途中で切り上げて構いません。小山市は、10分以上遅れる見込みのときは連絡のうえ別の日に振り替えてほしいと案内しています。日をずらす選択肢は最初から用意されています。当日の過ごし方は就学相談の服装・持ち物と当日の流れも参考になります。
受けられなかったとき、健診が終わったあとにできること
もう日程が過ぎてしまった、当日体調を崩した、行ったけれど泣いて何もできなかった。どの場合も、そこで終わりではありません。
受けられなかったときの受け皿は、自治体ごとに用意されています。江東区は、指定日に受けられない場合の方法として、後日まとめて行う未受診者健診、他の学校での受診、指定校の学校医のところでの受診の3つを挙げています。いずれも事前に指定校へ連絡する形です。横浜市は、受診できなくても入学にあたり支障はないと明記しています。
健診が終わったあとにできることもあります。まず、当日気になった様子をその日のうちにメモしておくこと。「待合で20分は座れた」「歯科で口を開けられなかった」といった記録は、のちの相談でそのまま材料になります。次に、教育委員会の就学相談の窓口に電話をかけること。秋は、就学相談の受付をまだ開けている自治体や、健診後の枠を別に設けている自治体がある時期です。
なお、結果は治療をすすめる項目があったときだけ紙で知らせる自治体が多く、何も届かないまま入学を迎えることもあります。気になることがあれば、届くのを待たずに学校か教育委員会に問い合わせてください。
まとめ
- 就学時健診は入学予定の全員が受ける健康診断で、合否を決める場でも学級を決める場でもない
- 実施時期は国のルールで11月30日まで(手続きに支障がなければ12月31日まで)と決まっており、10〜11月が中心
- 検査は栄養・背骨と胸・視力聴力・目・耳鼻科と皮膚・歯・その他の7項目。面接の中で知能の検査も行われる
- 知能の検査は知的障害を早く見つけるためのもので、診断がつくものでも順位をつけるものでもない
- 待てない・音が苦手な子は、順番や待ち場所を事前に相談できる。受けられなかった場合の受け皿も用意されている
今夜はここまでで大丈夫です。明日、届いた封筒をもう一度開いて、会場の学校名と受付時間だけメモに書き写してみてください。相談の電話をかけるかどうかは、そのあとで決めれば間に合います。
よくある質問
就学時健診を受けられなかったら、小学校に入学できませんか?
受けられなくても入学の手続きに支障はないと案内している自治体があります。横浜市は、受診できなくても入学にあたり支障はなく、医療機関で個別に受け直す必要も原則ないとしています。まずは指定された学校か教育委員会に欠席の連絡を入れてください。別日の健診枠を用意している自治体もあります。
知能の検査で気になる点があると、支援学級に決まってしまいますか?
決まりません。就学時健診は健康状態を確かめて助言をするための健康診断で、通う学級を決める場ではありません。気になる点があったときは、あらためて就学相談などの個別の話し合いに案内されます。そこで面談や検査を重ねて、家庭の意向も聞きながら学びの場を一緒に考えていきます。
母子健康手帳は持っていったほうがいいですか?
自治体によって違います。小山市は親子(母子)健康手帳を持ち物に挙げていますが、横浜市は持参の必要はないと案内しています。届いた通知に同封されている案内が最優先なので、当日の朝に一度読み返してください。予防接種の記録を書く欄がある調査票のときは、手元にあると書きやすくなります。
仕事があって親が付き添えません。祖父母でも大丈夫ですか?
横浜市も小山市も、祖父母など保護者以外の付き添いで構わないと案内しています。条件として挙げられているのは、お子さんの状況や健康状態をよく知っている人であることです。付き添う人には、苦手な場面と落ち着く方法をメモ1枚にして渡しておくと当日が楽になります。