🏫 園・学校生活 自立活動とは?特別支援学級で何をする時間か、6区分27項目と通知表
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見学でもらった時間割に「自立活動」とだけ書かれていた。支援級の説明で先生が当たり前のように使っていたけれど、その場では聞き返せなかった。家で子どもに聞いても、返ってくるのは「わかんない」だけ——。言葉だけが先にあって中身が見えない状態は、落ち着かないものです。
先に結論をお伝えします。自立活動とは、教科の勉強とは別に、その子がいま困っていることを自分で乗り越えていくための力を育てる時間です。国語や算数の遅れを取り戻す補習ではありません。この記事では、自立活動の中身を保護者の言葉に言いかえた表、実際にどんな時間になるのか、教科や通知表への関わり、通級との違い、面談で使える質問リストまでを順に見ていきます。
自立活動とは?教科の遅れを取り戻す補習ではありません
自立活動は、その子の困りごとを出発点にして、それを自分で扱えるようになることを目指す時間です。文部科学省は自立活動の目標を、一人ひとりが自立を目指し、障害による学習上または生活上の困難を自分から改善・克服するために必要な知識や技能、態度や習慣を養い、心と体の調和のとれた発達の土台をつくることと示しています。かみくだくと、次の3つになります。
- 出発点は、その子が学校や生活の中で実際に困っている場面
- 目指すのは、大人が困りごとを取り除くことではなく、その子が自分で扱えるようになること
- 教科の学習とは別のねらいを持つ(算数の遅れを算数で埋め直す時間ではない)
支援級に入ると自立活動のぶん教科が薄くなるのでは、と心配になる方がいます。順番が逆です。その子が授業に参加できる状態をつくる時間が先にあり、そこが整うと教科の学習も届きやすくなります。
⚠️ 「できないことを繰り返し練習する時間」ではありません
自立活動は、苦手を反復させて平均に近づけるための時間ではありません。困る場面をどう避けるか、どう助けを求めるか、どんな方法なら自分に合うかを一緒に見つけていく時間です。ドリルの補習とは目的が違います。
自立活動の6区分27項目を、保護者の言葉に言いかえると
自立活動の中身は6つの区分に分かれていて、その下に全部で27の項目があります。区分ごとの項目数は3つから5つです。大事なのは、27項目すべてをやるのではなく、その子に必要な項目だけを選んで組み合わせるという点です。文部科学省も、自立活動の内容は各教科のようにすべてを取り扱うものではないと説明しています。
| 区分(文部科学省の言葉) | ふだんの言葉にすると | たとえばこんなこと |
|---|---|---|
| 健康の保持(5項目) | 体の調子を整えて、一日を過ごせるようにする | 生活のリズムを整える/自分が苦手な刺激を知り、音を小さくしてほしいと人に頼む |
| 心理的な安定(3項目) | 気持ちの波と付き合えるようにする | 落ち着ける場所へ自分から移動する/深呼吸で興奮をしずめる/絵カードで気持ちを伝える |
| 人間関係の形成(4項目) | 人とのやりとりの土台をつくる | 相手の表情や意図を読み取る/自分の得意と苦手に気づく/集団に入るときの型を覚える |
| 環境の把握(5項目) | 見え方・聞こえ方の特性に合った方法を見つける | 注目する場所を色分けする/自分が読みやすい文字の大きさや行間を知る |
| 身体の動き(5項目) | 体と手先を思ったように使えるようにする | 体をゆるめる運動/ひもを結ぶ動作を一つずつつなげる/持ち物を片づけきる |
| コミュニケーション(5項目) | 伝える手段を増やし、場面に合わせて使う | 言葉以外の手段も使って伝える/相手や場面に応じた言い方を練習する |
区分の名前や項目数を覚える必要はありません。面談で「今はどの区分に力を入れていますか」と聞ける状態になれば十分です。なお、同じ支援級でも情緒の学級と知的の学級では選ばれる項目の傾向が変わります。学級の種別そのものの違いは情緒級と知的級の違いにまとめています。
実際の自立活動は、どんな時間になるのか
中身はその子ごとに違い、同じ学年でも隣の席の子と同じことをするわけではありません。文部科学省の解説には、次のような指導の例が挙げられています。
- 自閉スペクトラム症(ASD)のある子が、気持ちを伝える方法が見つからずに自分をたたいてしまう場合は、落ち着ける場所へ移動して慣れた活動に取り組む経験を重ねながら、感情を表した絵カードやメモで気持ちを伝える手段を身につけていく
- 注意欠如・多動症(ADHD)のある子が、注意されたときに興奮をしずめられなくなる場合は、その場をいったん離れて深呼吸する方法があることを教え、実際にできるように練習する
- 限局性学習症(LD)のある子が文字を読み分けにくい場合は、読みやすい書体を確かめたり、文字の間や行の間を広げたりして負担を減らす方法を覚える
- 片づけを最後までやりきるのが苦手な場合は、体をゆるめる運動や体の動かし方をつかむ運動をしながら、身の回りの動作に慣れていく

進め方も学校によって変わります。教室から離れて先生と一対一で行う学校もあれば、支援級の数人で一緒に取り組む学校もあります。時間数も一律ではありません。教科には学年ごとの標準時数がありますが、自立活動は子どもの障害の状態や発達の段階に応じて適切に定めるとされているだけで、全国共通の時間数は決まっていません。週に1時間の学校もあれば、毎日15分ずつ取る学校もあります。
もうひとつ、自立活動は時間割の枠の中だけで行うものではありません。文部科学省は、自立活動の指導は自立活動の時間はもちろん、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとしています。朝の支度や給食、休み時間のやりとりの中で目標に沿った声かけをするのも自立活動の一部です。
💡 中身が見えにくいのは、確認不足のせいではありません
自立活動は子ども一人ひとりに合わせて組み立てるため、学校案内のような決まった説明の型がありません。時間数も進め方も学校ごとに違うので、聞いてはじめて分かるのがふつうです。次の面談で1つ聞ければ十分です。
なぜ支援級に自立活動があるのか
特別支援学級では、必要があるときに通常の学級とは違う教育課程を組むことができ、その場合には自立活動を取り入れることになっています。ここが法令上の位置づけです。
学校教育法施行規則の第138条は、支援級の教育課程について、特に必要がある場合は特別の教育課程によることができると定めています。かたい言い回しですが、意味は、学年どおりの時間割をそのまま当てはめなくてよい、ということです。そのうえで小学校学習指導要領は、特別の教育課程を編成するときには自立活動を取り入れることと書いています。つまり支援級で特別の教育課程を組んでいるなら、自立活動はあってもなくてもよい時間ではありません。
文部科学省は2022年(令和4年)の通知でも、特別の教育課程を編成しているのに自立活動の時間がない場合は、時数を確保できるよう教育課程の組み直しを検討すべきだと示しました。同じ通知は、支援級に在籍する子どもが原則として週の授業時数の半分以上を支援級で学ぶことも目安として挙げています。2026年9月の時点でもこの整理が土台ですが、実際の時間割の組み方は自治体や学校によって幅があります。
そして自立活動は、その場の思いつきではなく個別の指導計画をつくって進めます。文部科学省は、計画づくりの手順の一例として次の流れを示しています。
保護者の声が届きやすいのは1番と3番です。「音が苦手で、教室にいるだけで疲れてしまう」といった家庭からの情報が入ると、選ばれる項目が変わります。
教科は減る?通知表は?よくある4つの不安
これから支援級を選ぶ方にも、すでに在籍している方にも共通する疑問をまとめました。
教科の時間は減ってしまうのか。 自立活動を取るぶん、教科に充てる時間の組み方は変わります。ただし特別支援学級は小学校・中学校の学級のひとつで、学校教育法に定める目的と目標を達成するものでなければならないと位置づけられています。教科をやめる時間ではなく、教科の内容や量をその子に合わせて組み直したうえで自立活動を入れる形です。国語と算数だけを支援級でやって残りはすべて交流学級、といった機械的な組み方は、文部科学省が改善の必要な例として挙げています。
通知表にはどう書かれるのか。 自立活動は教科ではないので、教科と同じ数字の評定はつきません。個別の指導計画の目標に照らして、学期のはじめと比べてどう変わってきたかを言葉で伝える形が中心になります。文部科学省も、保護者に評価を説明して成長の様子を確認してもらうことが大切だと示しています。ただし様式は学校ごとに違うので、最初の通知表を受け取る前に書かれ方を聞いておくと戸惑いません。
通級指導教室の自立活動と何が違うのか。 通級は、通常の学級に在籍したまま障害に応じた特別の指導を受けるしくみで、その特別の指導の中身が自立活動です。支援級は、自立活動に加えて各教科などの授業も支援級で行う点が違います。対象になる障害の種類や程度も別々に決められていて、通級には週あたりのコマ数の上限もあります。しくみの詳しい違いは通級指導教室でできることにまとめています。
通常の学級に戻ったら受けられなくなるのか。 通常の学級の時間割に自立活動の枠はありません。ただし通級を使えば、自立活動にあたる指導は受け続けられます。転籍を考えるときは、転籍後に通級を使えるか、自校で受けられるか他校に通うことになるかを同じ相談の中で確認しておくと、支援が途切れません。手続きの流れは支援級から通常級への転籍にまとめています。
面談で使える質問リスト
中身を知る近道は、個別の指導計画を見ながら担任に聞くことです。全部を聞く必要はありません。スマホに保存して、聞けたものからで大丈夫です。
| 知りたいこと | そのまま言える聞き方 |
|---|---|
| 時間数 | 「1週間のうち、自立活動は何時間ありますか」 |
| 進め方 | 「自立活動は個別ですか。支援級のみんなで取り組む形ですか」 |
| いまの中身 | 「今の目標は、6つの区分でいうとどのあたりですか」 |
| 具体的な場面 | 「先週の自立活動では、どんなことをしましたか」 |
| 変化 | 「学期のはじめと比べて、できるようになったことはありますか」 |
| 家庭でできること | 「家では何をすればいいですか。やらないほうがいいこともありますか」 |
| 記録 | 「個別の指導計画を見ながら説明していただけますか」 |
| 教科との関係 | 「自立活動の時間は、どの教科の時間を組み替えていますか」 |
| 通知表 | 「自立活動は通知表にどんな形で書かれますか」 |
最初の面談では、時間数・いまの目標・家でできることの3つが分かれば十分です。
家庭での関わり方について、文部科学省は、学校で身につけたことを家庭生活でも発揮できるよう保護者に協力を求めることが大切だと示しています。家で同じ練習をさせてください、という意味ではありません。学校でできるようになった方法を、家でも使える場面をつくる。深呼吸で気持ちを立て直す練習をしているなら、家で崩れかけたときに同じ言葉で促してみる、といった形です。
まだ見学の段階という方には、当日そのまま使える聞き方を支援級の見学と質問リストに用意しています。
まとめ
- 自立活動は、その子が困っていることを自分で乗り越えていくための力を育てる時間。教科の遅れを取り戻す補習ではない
- 中身は健康の保持・心理的な安定・人間関係の形成・環境の把握・身体の動き・コミュニケーションの6区分27項目。必要な項目だけを選んで組み合わせる
- 支援級で特別の教育課程を組むときは自立活動を取り入れることになっている。時間数に全国共通の決まりはなく、学校ごとに幅がある
- 教科は消えない。通知表は数字の評定ではなく、個別の指導計画の目標に対する様子を言葉で伝える形が中心になる
- 中身を知る近道は、個別の指導計画を見ながら担任に聞くこと。時間数・いまの目標・家でできることの3つで十分
今夜はここまでで大丈夫です。次の面談か連絡帳で、「今、自立活動ではどんな目標に取り組んでいますか」とだけ聞いてみてください。ひとつ聞くと、そこから先は先生のほうが説明しやすくなります。
よくある質問
自立活動は週に何時間ありますか?
全国共通の決まった時間数はありません。文部科学省は、自立活動の時間に充てる授業時数は子どもの障害の状態や特性、発達の段階に応じて適切に定めるものと示しています。週1時間の学校もあれば、毎日短く取る学校もあります。今年の時間割で何時間あるかは、担任の先生に聞くのがいちばん早い方法です。
自立活動は誰が教えるのですか?
多くの場合は特別支援学級の担任です。学校によっては、支援員や通級の担当教員、特別支援教育コーディネーターが関わることもあります。文部科学省は、自立活動の指導は担当の教員だけで抱えず、学校全体の協力体制のもとで進めることや、必要に応じて外部の専門家と連携することを示しています。
個別の指導計画は見せてもらえますか?
見せてもらえます。特別支援学級に在籍する子どもについては、個別の教育支援計画と個別の指導計画を作成して活用することが学習指導要領に示されていて、そこに自立活動の目標も書かれています。面談のときに「今の計画を見ながら説明していただけますか」と伝えてください。写しをもらえるかどうかは学校ごとに対応が違うので、あわせて聞いておくと安心です。
自立活動の時間に漢字の練習をしていると聞きました。おかしいのでしょうか?
書くこと自体が目標に入っている場合はあり得ますが、教科の遅れを埋めるための練習であれば自立活動の本来の姿ではありません。文部科学省は2022年の通知で、一人ひとりの状況を踏まえない機械的な教育課程の編成を、改善が必要な例として挙げています。気になるときは「この時間の目標は、計画のどこに当たりますか」と確認してみてください。
通常の学級に転籍したら、自立活動は受けられなくなりますか?
通常の学級の時間割に自立活動の枠はありません。ただし通級による指導を使えば、障害に応じた特別の指導として自立活動にあたる指導を受け続けられます。転籍の相談をするときに、転籍後に通級が使えるか、自校通級か他校通級かをあわせて確認しておくと、支援が途切れません。