🌸 保護者のこころとくらし 療育と仕事の両立|平日の療育で休めない・辞めるか迷うときの制度と通い方
この記事の目次
火曜の午後に療育、木曜は夕方の送迎。そのたびに半休を取り、気づけば有休の残りはあと数日。そこへ保育園から「熱が出ました」の電話がかかってくる。職場では「また休み?」と思われていないか気になって、帰り道に「もう辞めたほうが楽なのかな」と考えてしまう——。
ここまでがんばってきたことに、まず自信を持ってください。療育と仕事の両立は、通い方の工夫・職場の制度・外の支えの3つを組み合わせると、休む回数をかなり減らせます。 2025年には育児・介護休業法が変わり、療育のある家庭が使える制度も増えました。この記事では、辞めるかどうかを決める前に確かめたいことを、今夜読める量で順番に整理します。
療育と仕事の両立がきついのは「平日の昼」に予定が集まるから
両立がきつい原因は、親のがんばりが足りないことではありません。療育の多くが平日の日中に開いていて、送迎や付き添いの時間が勤務時間とまるごと重なるからです。
そこへ通院や園の行事、子どもの体調不良が加わると、年に使える休みはあっという間に足りなくなります。だから見直す順番は、次の3つです。
- 通い方を変えて、そもそも抜ける時間を減らす
- 職場の制度を使って、抜けやすい働き方にする
- 外の支えを借りて、親が行けない日をカバーする
1つで全部を解決しなくて大丈夫です。少しずつ組み合わせるだけで、「毎週半休」が「月に数回」になる家庭もあります。
通い方を変えて、仕事を休む回数を減らす工夫
まず見直したいのは療育の「通い方」です。同じ療育でも、事業所や枠の選び方しだいで、親が抜ける時間は大きく変わります。
| 工夫 | 減らせるもの | まず確認する相手 |
|---|---|---|
| 送迎ありの事業所を選ぶ | 送り迎えのための中抜け | 事業所(送迎の範囲・園まで来てもらえるか) |
| 夕方・土曜の枠に移る | 平日日中の欠勤 | 事業所(空き状況・曜日の変更) |
| 保育所等訪問支援を使う | 園から療育への移動 | 市区町村の障害福祉の窓口・事業所 |
| 療育の頻度を見直す | 通所の回数そのもの | 相談支援専門員・事業所 |
| 並行通園の曜日を組み直す | 園と療育の行き来 | 園・事業所 |
送迎のある事業所なら、園や自宅まで迎えに来てもらえることがあります。園まで来てもらえるかは事業所ごとに違い、園が受け入れるかどうかも関わります。見学や面談のときに、最初に聞いておくと予定が立てやすくなります。
夕方や土曜に枠を持つ事業所もあります。平日の昼から夕方の枠に移るだけで、早退の時間を短くできることがあります。
保育所等訪問支援は、療育の支援員が子どもの通う園や学校に来てくれるしくみです。子どもが園から移動しなくてよいので、そのぶん送迎も減ります。くわしくは保育所等訪問支援の使い方にまとめています。
週の回数そのものを見直すのも、立派な選択です。回数を減らすことは「手を抜く」ことではありません。目的に合った回数の考え方は療育は週何回が適切かで整理しています。園と療育を行き来している場合は、並行通園の週のパターンも参考にしてください。
療育の日に使える職場の制度|2025年改正で変わったこと
次に、職場の制度です。2025年4月と10月の2段階で育児・介護休業法が変わり、小さな子を育てながら働く人が使える制度が広がりました。ただし、療育への付き添いがそのまま休暇の理由として法律に書かれているわけではないので、使い方には少しコツがいります。
子の看護等休暇(2025年4月から)
これまでの「子の看護休暇」は、名前が「子の看護等休暇」に変わりました。使える子どもの年齢は、小学校に入るまでから小学校3年生の修了までに延びています。日数は年5日(子どもが2人以上なら年10日)で、時間単位でも取れます。
取れる理由は、子どもの病気・けが、予防接種・健康診断、感染症による学級閉鎖など、入園(入学)式・卒園式の4つです。療育への付き添いはこの中に入っていません。ただし、会社によっては独自に理由を広げていることもあるので、就業規則を一度見てみてください。
残業免除の対象が広がった(2025年4月から)
残業を免除してもらえる制度は、3歳になるまでから小学校に入るまでに広がりました。夕方の送迎がある日に残業を断りやすくなります。
3歳から就学前は「柔軟な働き方」を1つ選べる(2025年10月から)
子どもが3歳から小学校に入るまでの間、会社は次の5つから2つ以上の制度を用意しなければならなくなりました。働く人は、その中から1つを選んで使えます。
- 始業時刻の変更(フレックスタイム制や時差出勤)
- 月10日以上のテレワーク
- 保育施設の設置やベビーシッターの手配など
- 年10日以上の「養育両立支援休暇」
- 1日原則6時間の短時間勤務
療育のある家庭にとって大事なのが養育両立支援休暇です。厚生労働省の解説では、子どもを育てながら働くことに役立つ目的なら、何に使うかは働く人に任されています。会社がこの休暇を用意していれば、療育の付き添いに使える余地があります。どの2つを用意したかは会社ごとに違うので、人事に確認しましょう。
「両立の希望」を聞いてもらえる面談(2025年10月から)
会社は、子どもが3歳になる前などの時期に、勤務時間帯や勤務地、業務量などの希望を一人ひとりから聞き、配慮することが義務になりました。そして子どもに障害がある場合は、本人が希望すれば短時間勤務や子の看護等休暇を使える期間を延ばすことが、会社に望ましいとされています。 子どもが3歳を過ぎていても、「希望があります」とこちらから申し出て相談してかまいません。
子どもに障害がある場合は、介護休暇・介護休業が使えることも
あまり知られていませんが、介護休暇や介護休業は高齢の親のためだけの制度ではありません。2025年4月に厚生労働省が判断の基準を見直し、障害のある子どもを介護・支援する場合も対象になることがはっきり書かれました。
基準の中には、発達障害などで危険を避けられず見守りが必要な状態や、急な予定の変更が極端に苦手でパニックになるといった状態も、例として挙げられています。いくつかの項目に当てはまり、その状態が続くと認められれば対象になります。
- 介護休暇: 年5日(対象の家族が2人以上なら年10日)。時間単位で取れます。看護等休暇とは別の日数です。厚生労働省の解説では、休暇で行う世話に「通院等の付添い」などが含まれると説明しています
- 介護休業: 対象の家族1人につき通算93日まで。まとまった期間、生活の体制を整えたいときの制度です
会社から状態を示す書類を求められた場合、障害児通所給付費の支給決定通知書なども例として挙がっています。療育への付き添いがこの「世話」に当たるかは、子どもの状態と会社の判断によります。人事に「介護休暇の対象になるか相談したい」と伝えてみてください。
💡 ひとりで抱えなくていい
療育の付き添いは、看護等休暇・養育両立支援休暇・介護休暇など、複数の制度にまたがって使える可能性があります。全部を自分で調べきらなくて大丈夫。「療育の付き添いに使える制度はありますか」と人事に聞くことから始めれば十分です。

仕事を辞める前に確認したいこと
辞めるのも、続けるのも、どちらも家族を守るための選択です。どちらが正解ということはありません。ただ、一度辞めると戻るのが難しい場合もあるので、決める前に次のことだけは確かめておきましょう。
✅ 人事・上司に聞くことリスト
- 子の看護等休暇・介護休暇は、療育の付き添いに使えるか
- 3歳〜就学前の柔軟な働き方は、どの制度が用意されているか
- 短時間勤務の期間を延ばせるか
- 在宅勤務や時差出勤、部署の異動で調整できるか
- 休職の制度があるか、その間の扱いはどうなるか
会社に相談しても話が進まないときは、外の窓口があります。育児・介護休業法の相談は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が受け付けています。平日8時30分から17時15分まで電話で相談でき、制度を使わせてもらえないといった相談もできます。
転職や働き方を変えることを考えているなら、ハローワークのマザーズハローワーク・マザーズコーナーも選択肢です。子育てと両立しやすい求人を探したり、子ども連れで相談したりできます。設置場所は都道府県ごとに違うので、お住まいの地域の労働局のページで確認してください。
もう1つ、保育園に通っている場合は注意が必要です。保護者が働いていることを理由に入園している場合、退職すると在園の条件に関わることがあります。辞める前に、市区町村の保育の窓口に確認しておくと安心です。
親が休めない日の預け先と送迎の手助け
どうしても仕事を休めない日のために、外の支えも用意しておくと気持ちが楽になります。
日中一時支援は、障害のある子を日中に一時的に預かる市区町村の事業です。放課後や長期休みに使える地域もあります。料金や使える日数、申し込み方は自治体によって異なります。くわしくは日中一時支援とはで整理しています。
ファミリー・サポート・センターは、子どもを預かってほしい人と手伝いたい地域の人をつなぐ、市区町村のしくみです。こども家庭庁の資料では、保育施設などへの送迎や、保育が始まる前・終わった後の預かりが活動の例として挙げられています。療育への送迎を頼めるか、障害のある子に対応できる会員がいるかは地域によって違うので、お住まいのセンターに聞いてみてください。
4月に向けて、10月の今から職場に相談しておく
秋は、来年度の園や就学先、働き方を考え始める時期です。新年度は療育の曜日も園の予定も変わりやすいので、4月の直前ではなく、今から少しずつ相談を始めておくと動きやすくなります。
職場に話すとき、診断名まで伝える必要はありません。「平日に定期的な通所があり、送迎が必要です」と、抜ける曜日と時間を具体的に伝えれば、相談は始められます。数字があると、上司も業務の調整を考えやすくなります。
まとめ
- 療育と仕事の両立は、通い方・職場の制度・外の支えの3つを組み合わせて考える
- 送迎ありの事業所、夕方・土曜の枠、保育所等訪問支援、頻度の見直しで、抜ける時間そのものを減らせる
- 2025年改正で、子の看護等休暇は小学3年生の修了まで、3歳〜就学前は柔軟な働き方を1つ選べるようになった。療育の付き添いに使えるかは会社の制度による
- 子どもに障害がある場合は、介護休暇・介護休業の対象になることもある
- 辞めるか迷ったら、決める前に人事と労働局の雇用環境・均等部(室)に相談する
今夜はここまでで大丈夫です。明日、少し時間ができたら、先月療育や通院で何時間仕事を抜けたかをメモに書き出してみてください。それが職場に相談するときの、いちばんの材料になります。
よくある質問
療育の付き添いで子の看護等休暇は使えますか?
法律で決まっている子の看護等休暇の取得理由は、病気・けが、予防接種・健康診断、感染症による学級閉鎖など、入園(入学)式・卒園式です。療育への付き添いはこの中に書かれていません。ただ、会社が独自に理由を広げていることもあるので、就業規則を見るか人事に確認してください。
療育のために時短勤務はいつまで使えますか?
法律で会社に義務づけられている短時間勤務制度は、子どもが3歳になるまでです。3歳から小学校に入るまでは、会社が選んだ柔軟な働き方の制度の中から1つを使えます。子どもに障害がある場合、短時間勤務を使える期間を延ばすことが会社に望ましいとされているので、延長できないか相談する価値はあります。
職場に子どもの発達のことをどこまで話せばいいですか?
診断名まで伝える必要はありません。「平日の日中に定期的な通所があり、送迎が必要」という事実と、どの曜日・何時間ほど抜ける必要があるかを伝えれば、制度の相談は始められます。介護休暇などで書類を求められたときに、受給者証の通知書などを出すかどうかを考えれば十分です。
仕事を辞めると療育や受給者証に影響はありますか?
保護者が働いているかどうかで、療育に通えるかどうかが決まるわけではありません。ただ、保育園は保護者の就労などを理由に入っていることが多いので、退職すると在園の条件に関わる場合があります。辞める前に、園のある市区町村の保育の窓口に確認しておくと安心です。