🔍 診断・特性の理解 1歳半健診で引っかかったら?指差しができないと言われた後の流れと今できること
この記事の目次
健診会場で積み木を出されたのに、ぽいっと投げてしまった。絵カードを見せられても、指を差さずに泣き続けていた。帰りぎわに「また連絡しますね」と言われ、家に帰ってからずっとその言葉が頭から離れない——。今夜はそんな夜かもしれません。
先にいちばん大事なことをお伝えします。1歳半健診で引っかかることは、診断ではありません。 「もう少し一緒に見ていきましょう」という声かけの入り口です。この記事では、指差し・発語・積み木の項目が何を見ているのか、引っかかった後の流れ、今夜から来週までにできることを順番にまとめます。
1歳半健診で引っかかった=診断ではありません
1歳半健診で引っかかったという言葉は重く聞こえますが、実際には「経過を見る子のリストに入った」くらいの意味です。
1歳6か月児健診は、母子保健法という法律で市区町村に実施が義務づけられている健診です。こども家庭庁も、こどもの健康状態を把握して健康を守るための健診だと説明しています。つまり、病名をつける場ではありません。
健診の数分間は、子どもにとって見知らぬ場所で、知らない大人に囲まれる時間です。眠い時間帯だった、待ち時間が長かった、会場がにぎやかだった。それだけで、家でできることができなくなる子はたくさんいます。
🌱 まず知っておいてほしいこと
1歳半健診での指摘は診断ではなく、「一緒に経過を見ましょう」という入り口です。会場で泣いてしまったことも、あなたの育て方のせいではありません。
指差し・発語・積み木の項目は何を見ている?
健診の項目は、どれも「できる・できない」を点数にするためのものではありません。発達のどの部分をていねいに見ていけばよいか、手がかりを集めるためのものです。
国立成育医療研究センターがまとめた健診医向けのマニュアルをもとに、主な項目を表にしました。
| 項目 | 健診で見ていること | 引っかかったときの考え方 |
|---|---|---|
| 指差し | 絵カードで「ワンワンはどれ?」と聞かれて指を差せるか(応答の指差し) | 言葉の理解・聞こえ・人とのやりとりなど、理由を広く見ながら追いかけて観察する |
| 発語 | 意味のある言葉(ママ、ブーブーなど)がいくつ出ているか | 3語未満なら言葉の出方がゆっくりと判定。理解できていれば無理に言わせず、2歳ごろに再確認 |
| 積み木 | 1辺3cmほどの積み木をつまんで積めるか | 指先の使い方や、目と手の連動を見ている |
| 歩く | 一人で上手に歩けるか | 歩き始めが遅いだけで他の発達が順調なら、続けて様子を見る |
マニュアルには、1歳6か月児の9割以上は意味のある言葉を3語以上話すと書かれています。逆に言えば、1割近くの子はこの時点で3語に届いていません。言葉の出方には幅があり、ここで「遅れ」と判定されても、それは続けて見ていく対象になったという意味です。

「指差しができない」と言われたときに知っておきたいこと
指差しには、実はいくつか種類があります。「あっ」と見つけた物を指す、ほしい物を指す、聞かれて答える。健診で見ているのは、主に最後の「聞かれて答える指差し」です。
この指差しには、言葉がわかる・相手の質問に気づく・指で答えるという3つの力が同時に必要になります。だから、どれか1つがまだゆっくりでも指は出にくくなります。マニュアルでも、指差しが見られないときは聞こえ、全体の発達、人とのやりとり、生活の環境など、いろいろな理由を考えて経過を見るよう書かれています。
家での何気ない場面も、次の相談で役に立ちます。散歩中に犬や車を見つけて声を出して教えてくれた、身ぶりなしの「お茶ちょうだい」が通じた、名前を呼んだら振り向いた。そんな日常の様子を、保健師さんや心理士さんに「家ではこうでした」と伝えてください。会場で見えなかった姿を補ってもらえます。言葉の出方について詳しく知りたいときは、2〜3歳の言葉の遅れの記事も参考にしてください。
引っかかった後の流れ:経過観察・再健診・発達相談・親子教室
健診のあとは、だいたい次の順番で進みます。名前や時期は自治体によって違いますが、全体の形は似ています。
最初は保健師さんからの電話です。次に、数か月後に再健診や経過観察の場があります。必要に応じて心理士の発達相談があり、親子教室をすすめられることもあります。
たとえば東京都北区では、1歳6か月児健診や3歳児健診のあとに経過を見たい子を対象に、心理相談員による相談を予約制で開いています。ことばの遅れや動きの激しさなど、気になることを相談できる場です。横須賀市が国の会議で紹介した例でも、健診のあとに保健師の連絡、相談、親子の教室へとつなぐ流れが組まれていました。
どこまで進むかは子どもによって違います。 再健診で「このまま見守りで大丈夫そう」となる子もいれば、親子教室や療育につながる子もいます。どの段階でも、行くかどうかは保護者が決めてかまいません。
親子教室の中身や療育との違いは、親子教室とは?の記事で詳しく解説しています。
今夜から来週までにできること
健診の結果を聞いた直後は、何かしなければと気持ちが焦ります。でも、今夜やることはほとんどありません。来週までに、次の3つができれば十分です。
1つ目は、健診で言われたことをメモに残すことです。「指差しが出ていない」「経過観察」など、聞いた言葉をそのまま書きます。次の連絡がいつ来るかも書いておくと安心です。
2つ目は、家での様子を短い動画で撮っておくことです。絵本を見ているとき、散歩で何かを見つけたとき、名前を呼んだときなど、10秒ほどで十分です。会場で泣いていた子でも、家での姿を見てもらえます。
3つ目は、連絡が来ないときにこちらから聞ける窓口を確認しておくことです。母子健康手帳や健診の案内に、保健センターの電話番号が書かれています。迷ったときの相談先は発達の相談窓口の記事にまとめています。
✅ 来週までにやることはこの3つだけ
- 健診で言われた言葉と、次の連絡の予定をメモする
- 家での様子を10秒ほどの動画に撮っておく
- 保健センターの電話番号を母子手帳で確かめておく
ネットで「1歳半 指差し」と何時間も調べ続けるのは、今夜はお休みにしましょう。調べるほど、不安な情報ばかりが目に入ってきます。お子さんの様子を一番知っているのは、毎日一緒にいるあなたです。
まとめ
- 1歳半健診で引っかかることは診断ではなく、「一緒に経過を見ましょう」という入り口
- 指差し・発語・積み木は、言葉の理解、言葉の出方、指先の使い方を見る手がかり
- 意味のある言葉が3語未満でも、理解できていれば2歳ごろに再確認するのが一般的な考え方
- その後は「保健師の連絡→経過観察・再健診→発達相談→親子教室など」と進み、どこまで進むかは子ども次第
- 呼び方や時期は自治体により異なるため、お住まいの市区町村の案内を確認する(2026年時点)
今夜はここまでで大丈夫です。明日、お子さんが機嫌のいいときに、絵本を見ている様子を10秒だけ動画に撮ってみてください。
よくある質問
1歳半健診で引っかかったら、発達障害の可能性が高いのですか?
健診での指摘は、もう少し時間をかけて様子を見たい子を広めに拾うためのものです。その場の数分間の様子で決まるものではなく、聞こえや体調、場所見知りなど理由はさまざまです。診断は健診ではつかないので、まずは保健センターの相談で一緒に経過を見ていきましょう。
健診の場では泣いて何もできませんでした。家ではできるのに、どうすればいいですか?
見慣れない会場で泣いてしまう1歳半の子はたくさんいます。家でできることがあれば、そのまま保健師さんに伝えてください。動画を撮っておくと、次の相談のときに家での様子を見てもらえます。
経過観察と言われましたが、連絡が来ないときはどうすればいいですか?
連絡の時期は自治体によって違います。1か月ほどたっても案内がなければ、母子健康手帳に書かれた保健センターや健診の案内に載っている電話番号に、こちらから問い合わせて大丈夫です。
1歳半健診の結果は保育園に伝わりますか?
健診の結果が自動で園に送られる仕組みは一般的ではありません。園と共有するかどうかは保護者が決められます。園での様子を担任に聞いておくと、次の相談のときに役立ちます。