木の箱と積み木を床に広げて遊ぶ子どもの手元を上から見たところ(発達検査で使われる積み木課題のイメージ) 🔍 診断・特性の理解
診断・特性の理解 公開: 2026年5月15日

発達指数(DQ)とは?70・80・85の目安とIQとの違い|新版K式の結果の読み方

この記事の目次
  1. 発達指数(DQ)とは?発達年齢を実際の年齢で割った数値
  2. DQ70・80・85はどういう意味?数値の受け止め方
  3. DQとIQの違いは?差があるのはなぜ?
  4. 新版K式の「全領域・姿勢運動・認知適応・言語社会」の見方
  5. 数値が低めに出たときに次にやること
  6. 再検査で数値が変わることがある理由
  7. まとめ

結果の紙に「全領域 DQ78」と書いてあった。説明の時間は10分ほどで、聞きたいことの半分も聞けなかった。帰り道にスマホで「発達指数 70」「発達指数 80」と検索しては、出てくる言葉に胸がざわつく——。

1歳半健診や3歳児健診のあと、あるいは療育の入口で新版K式発達検査を受けると、こうした数字を手にすることになります。わからない数字を前に不安になるのは当然です。先に結論をお伝えすると、DQ(発達指数)は「いま、どの力がどのくらい育っているか」を知るための目盛りで、子どもの将来を決める点数ではありません。 この記事では、DQの計算のしかた、70・80・85といった数字の受け止め方、IQとの違い、領域ごとの見方、数値が低めに出たときに次にやることを順に整理します(2026年時点の情報です)。

発達指数(DQ)とは?発達年齢を実際の年齢で割った数値

DQは、発達検査の結果から出る数値で、発達年齢を実際の年齢(生活年齢)で割って100をかけたものです。

報告書には、よく似た言葉が3つ並びます。

  • 生活年齢(CA):生まれてからの実際の年齢
  • 発達年齢(DA):検査でできたことが、何歳何か月くらいの子の発達にあたるか
  • 発達指数(DQ):発達年齢を生活年齢で割り、100をかけた数値

計算は、どちらも月齢に直してから行います。島根県の発達障がい支援の情報サイトでは、3歳4か月(40か月)の子の発達年齢が3歳0か月(36か月)だった場合、36÷40×100でDQは90になると例を挙げています。

つまり、発達年齢と生活年齢がぴったり同じなら100です。100より上なら年齢より先に進んでいる部分があり、下なら少しゆっくりな部分がある、という読み方になります。

DQ70・80・85はどういう意味?数値の受け止め方

70・80・85は、どれも「ここを超えたら安心、下回ったら障害」という線ではありません。ただ、それぞれ話題に出やすい理由があります。

数値よく話題に出る理由受け止め方
85前後知能検査の偏差IQでは、85〜115の間に全体の約7割が入る作りになっているIQの考え方を借りた目安。DQは割り算で出す数値なので、同じものさしではない
80前後自治体によっては、生活での困りが大きい場合に79まで療育手帳の対象に含めている支援の対象を考えるときの線の一つ。地域で扱いが違う
70〜75療育手帳の判定で、多くの判定機関が「概ね75」か「概ね70」を境目にしている境目は自治体ごとに違い、数値だけでは決まらない

国の資料では、療育手帳の判定機関129か所を調べたところ、境目を概ね75としているのが52%、概ね70が27%で、残りは別の基準でした。療育手帳は法律で細かく決まった制度ではなく、都道府県や政令市がそれぞれ独自にルールを作っています。

たとえば和歌山県は、18歳未満について、知能検査または発達検査で出た知能指数か発達指数に、日常生活の様子を合わせて程度を決めると案内しています。数値が同じでも、食事や着替え、ことばのやりとりで援助がどのくらい必要かによって判定は変わります。等級の仕組みは療育手帳の等級(A・B)の違いで詳しく説明しています。

70〜85のあいだの数値を見て、境界知能という言葉が頭に浮かんだ方もいるかもしれません。これは主に知能検査のIQで使われる言葉で、乳幼児のDQにそのまま当てはめるものではありません。気になる場合は境界知能の子どもの特徴と支援も参考にしてください。

💡 数字より先に覚えておいてほしいこと

DQは「今日の検査室で、どこまでできたか」を写した一枚の写真です。70でも80でも、子どもの価値や将来が決まる数字ではありません。この数値は、どこを支えればいいかを考えるために使います。

DQとIQの違いは?差があるのはなぜ?

DQとIQは、別の種類の検査から出る別のものさしです。どちらが正しいという関係ではありません。

DQは、新版K式発達検査のような発達検査から出ます。運動・ものの扱い・ことばや人とのやりとりなど、発達の全体を見る検査です。乳幼児は「問題を解く」意識がまだ育っていないため、遊びに近い課題や保護者からの聞き取りで様子を見ます。

IQは、田中ビネーやWISCのような知能検査から出ます。問題に答えてもらい、主に知的な力を測ります。IQにも2種類あります。田中ビネーのように精神年齢を生活年齢で割る比率式と、WISCのように同じ年齢の集団の中での位置から出す偏差式です。

「DQとIQに差がある」と言われる理由は、主に次の3つです。

  • 測っているものが違う:DQは運動を含む発達全体、IQは知的な力が中心
  • 計算のしかたが違う:割り算で出す数値と、集団の中での位置から出す数値は一致しない
  • 受けた時期が違う:数年あいだが空けば、成長して数値の出方も変わる

国の研究でも、比率式と偏差式で出したIQの結果のずれをどう換算するかが検討されています。専門家どうしでも課題になっている点なので、数字が一致しなくても戸惑わなくて大丈夫です。各検査の対象年齢や特徴は発達検査の種類と違いで比べています。

新版K式の「全領域・姿勢運動・認知適応・言語社会」の見方

新版K式では、3つの領域ごとのDQと、それをまとめた全領域のDQが出ます。大切なのは全領域の数字よりも、3つの領域の並び方です。

領域見ているもの日常での例
姿勢・運動体の動きやバランス歩く、走る、階段を上る
認知・適応ものを見て考え、扱う力積み木を積む、型はめ、形の見分け
言語・社会ことばを理解し、伝える力名前を答える、指示を聞いて動く
全領域3領域をまとめた全体発達全体のおおまかな位置

島根県の情報サイトでは、全領域のDQが100の3歳4か月の子でも、認知・適応が120、言語・社会が85と、領域ごとに大きく違う例を紹介しています。全領域だけを見ると平均ぴったりなのに、ことばの面では2歳後半くらいの段階にいたのです。この例では、園での声かけをその段階に合わせて変えたところ、友だちに手が出る場面が大きく減ったと書かれています。

床に並べた積み木を手に取る子どもの手元。新版K式では積み木などを使った課題で発達の様子を見る

つまり、DQの並びは関わり方のヒントになります。 言語・社会だけ低めなら、ことばだけで伝えずに絵や実物を見せる。認知・適応が高めなら、目で見てわかる手順表が届きやすい。報告書の数字を、明日の声かけに置き換えてみてください。

数値が低めに出たときに次にやること

数値が低めに出たら、まずは結果説明の場で、数字の意味を生活の言葉に直してもらうことから始めます。

結果説明では、時間が短くて聞き逃しがちです。聞けなかったことは、後日あらためて電話で質問しても失礼にはなりません。聞いておきたいのは、どの領域が得意で、どこが今の年齢よりゆっくりか。検査中の様子はどうだったか(緊張していたか、いつもの力が出ていたか)。そして、家や園でどんな関わり方をすればいいかと、次の検査の時期の目安です。

✅ 結果説明で聞くことリスト

  • 得意な領域と、ゆっくりな領域はどこか
  • 検査中の様子はいつもどおりだったか
  • 家や園で試せる関わり方
  • 次に検査を受けるならいつ頃がよいか

そのうえで、相談や療育につなげていきます。

1
結果の意味を確認する検査をした心理士や保健師に、数値を生活の言葉に直してもらいます。
2
相談先に結果を持っていく健診を受けた保健センターや、市区町村の発達相談の窓口で、今後の相談先を聞きます。
3
療育の利用を考える児童発達支援などの療育は、受給者証があれば療育手帳がなくても通える場合があります。

療育に通うための手続きは受給者証の申請の流れにまとめています。療育手帳を申請するかどうかは、相談しながら後から考えても遅くありません。

再検査で数値が変わることがある理由

DQは、次に検査を受けたときに上がることも下がることもあります。これは珍しいことではなく、主に4つの理由があります。

1つ目は、その日の状態です。眠い、おなかがすいている、初めての部屋で緊張している。乳幼児ほど、その日の機嫌が結果に表れます。

2つ目は、割り算という計算の性質です。発達年齢が実際の年齢より4か月ゆっくりな場合で比べてみます。2歳0か月(24か月)なら、20÷24×100で約83です。4歳0か月(48か月)なら、44÷48×100で約92になります。同じ4か月の差でも、年齢が上がると数値は100に近づきます。反対に、伸びのペースがゆっくりな時期には、数値が下がって見えることもあります。

3つ目は、検査の版の違いです。新版K式は、2001年版を改めて標準化した2020年版が出ています。発行元の京都国際社会福祉センターは、2020年版に移る時期を機関の都合に任せています。前回と今回で版が違えば、同じ子でも数値の出方が変わることがあります。

4つ目は、成長そのものです。ことばが急に増える時期、体の動きが安定する時期など、発達は一直線ではありません。

数値が変わったときは、上がった下がったよりも、領域の並び方がどう変わったかを見てください。前回の報告書を手元に置いて比べると、その子の育ちの道すじが見えてきます。

まとめ

  • DQ(発達指数)は、発達年齢÷生活年齢×100で出す数値。100は合格点ではなく、年齢相応という意味
  • 70・80・85は、障害の有無を決める線ではない。療育手帳の境目は自治体で違い、生活の様子と合わせて判断される
  • DQとIQは、測るものも計算のしかたも違う別のものさし。差があっても不思議ではない
  • 新版K式では、全領域よりも3領域の並び方が関わり方のヒントになる
  • 数値は体調・年齢・検査の版・成長で変わる。低めに出たら、結果の意味を聞き、相談先と療育につなげる

今夜はここまでで大丈夫です。明日やることは1つだけ、結果の紙を見ながら「聞けなかったこと」を1行だけメモしておいてください。それを持って、次に検査者と話すときに聞けば十分です。

よくある質問

発達指数(DQ)の平均はいくつですか?

DQは、発達年齢と実際の年齢が同じなら100になる作りです。100は合格点ではなく、同じ年齢の子のちょうど真ん中あたりという意味です。100より少し上や下に出ることはよくあり、数ポイントの差で一喜一憂する必要はありません。

DQが70台だと療育手帳は取れますか?

数値だけでは決まりません。療育手帳は国の法律で細かく決まった制度ではなく、都道府県や政令市ごとに基準が違います。多くの自治体は数値に加えて、食事や着替え、ことばのやりとりなど生活の様子も合わせて判定します。お住まいの児童相談所に確認するのが確実です。

DQとIQに差があるのはなぜですか?

測っているものと計算のしかたが違うからです。DQは運動やことばを含む発達全体を、割り算で出した数値です。IQは知的な力を中心に測り、検査によっては同じ年齢の集団の中での位置から出します。受けた時期や年齢も違うことが多く、数字が一致しないのは珍しいことではありません。

DQは療育を受けると上がりますか?

上がる場合も、変わらない場合もあり、療育の効果を数値で約束することはできません。DQは体調や緊張、年齢による計算の性質でも動きます。療育の手ごたえは数値よりも、できることが増えたか、困る場面が減ったかで見ていくほうが確かです。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。