舞台の上から見た客席とステージ照明。本番の発表会では、練習のときとは見える景色ががらりと変わる 🏫 園・学校生活
園・学校生活 公開: 2026年5月19日

発達障害の子が発表会を嫌がる・泣くときは?練習中・前日・当日の対応と欠席の考え方

この記事の目次
  1. 発達障害の子が発表会を苦手に感じる理由
  2. 先生に頼める配慮と、相談の伝え方
  3. 練習がもう始まっていて、嫌がって泣くときは
  4. 本番直前・前日・当日にできること
  5. 欠席や途中退出は「迷惑」?そう悩んだときの考え方
  6. 当日出られなかった後に、親子でできること
  7. まとめ

「発表会の練習、やりたくない」と朝から泣く。家でセリフの話をすると耳をふさぐ。本番が来週なのに、舞台に立てるのか想像もつかない——。発表会の時期は、親のほうまで眠れなくなりますよね。

先に結論をお伝えします。発表会がつらいのは、わがままや甘えではなく、いつもと違う予定や音、人前に立つ場面が一度に重なるからです。配慮は園や学校に相談でき、欠席や途中退出も選んでいい選択肢です。この記事では、練習がもう始まっている人、本番直前の人、当日出られなかった人まで、いまの時期に合わせて読めるように整理しました。必要なところから読んでください。

発達障害の子が発表会を苦手に感じる理由

発表会のしんどさは、本番の数分間だけではありません。練習の期間から当日までの全部が、負担の積み重ねになります。

学習発表会は10〜11月、園の生活発表会やお遊戯会は12〜2月に開くところが多いものの、時期や形は園や学校によって異なります。どの形でも、運動会とは違う発表会ならではのつまずきがあります。

発表会の場面しんどさの中身
何週間も続く練習時間割が崩れ、毎日「いつもと違う」が続く。疲れが家で爆発しやすい
役決め・セリフ人前で声を出す、決められた言葉を覚える、間違えられないという重圧
舞台・照明・幕練習した教室と見える景色がまったく違う。暗い客席とまぶしい光
拍手・ざわめき・マイク大勢の音が一度に響く。聴覚過敏があると痛みに近いことも
衣装・お面生地のチクチク、締めつけ、顔に何かが触れる感覚
出番までの待ち時間舞台袖や控室で、何もせず静かに待ち続ける
本番だけ変わる環境保護者の顔が並ぶ、会場が違う、順番が直前に変わる

特に見落とされやすいのが最後の行です。練習ではできていた子が本番で固まるのは、環境の変化そのものが負担になっているからで、本人の努力不足ではありません。音のつらさが大きい場合は聴覚過敏の子への音の対策も参考になります。園や学校では話せない様子があるなら、場面緘黙の基礎知識も一度読んでおくと、先生への伝え方が変わってきます。

先生に頼める配慮と、相談の伝え方

配慮は「困る場面」と「こうなら参加できそう」をセットで伝えると、先生も動きやすくなります。発表会でよく相談される調整には、次のようなものがあります。

  • 役とセリフ: セリフを短くする、複数人で一緒に言う、動きや道具係など声を出さない役にする
  • 立ち位置: 舞台の端や後ろ、先生や袖に近い場所にする。退出しやすい位置にしておく
  • 音への備え: イヤーマフや耳栓を使う。拍手の場面だけ耳をふさいでもいいと決めておく
  • 見通し: 会場を事前に見せてもらう。照明をつけたリハーサルの様子を写真や動画で見せてもらう
  • 待ち時間と休憩: 出番の直前まで別の場所で待つ。疲れたときに休める場所を決めておく
  • 衣装: 素材や着け方を変える、お面をやめて帽子にするなど、本人が耐えられる形にする

相談は連絡帳で「発表会のことで少しお話しできますか」と面談をお願いするだけで十分です。家での様子や、これまでうまくいった工夫をメモにまとめて渡すと話が早く進みます。毎年の行事で同じ説明をくり返しているなら、サポートブックの書き方を参考に1枚にまとめておくと、担任が替わっても引き継ぎやすくなります。

こうした相談には、法律の後ろだてもあります。障害者差別解消法では、本人や保護者から申し出があれば、園や学校は負担が重すぎない範囲で調整をすることになっています。公立の園や学校は以前から、私立の園や学校も2024年4月から、この合理的配慮が義務になりました。文部科学省の指針では、学校と本人・保護者が話し合い、お互いにできることを出し合いながら一緒に決めていく形が求められています。お願いがそのまま通るとは限りませんが、相談すること自体は、遠慮しなくていい正当なことです。

練習がもう始まっていて、嫌がって泣くときは

練習が始まってから崩れ始めた場合も、いまから調整は間に合います。まずは家で「何がいちばん嫌か」を少しずつ聞いてみてください。

聞き方は「どうして行きたくないの?」より、「セリフと、音と、待つのと、どれがいちばんいや?」のように選択肢を出すほうが答えやすい子が多いです。言葉で出てこなければ、絵や指差しでも構いません。理由が一つ分かれば、その一点だけを先生に伝えて調整してもらえます。

練習期間は家での過ごし方も大切です。発表会の話題を家でくり返すと、休む場所がなくなってしまいます。家ではセリフの練習を無理にさせず、好きなことで回復する時間を優先して大丈夫です。

本番直前・前日・当日にできること

本番が近いときにできるのは、新しく頑張らせることではなく、当日の「分からない」を減らすことです。

前日までに、当日の流れを先生に確認しておきましょう。出番が何番目か、どこで待つのか、終わったらどこに戻るのか。この3つが分かるだけで、本人の不安はかなり軽くなります。イヤーマフなど持ち込んでいい物と、途中で出るときや休むときの連絡の仕方も、このときに決めておきましょう。その流れを、絵や簡単なメモにして本人と一緒に見ておくと安心です。

当日の朝は、いつもどおりの手順で過ごすことを優先します。親が緊張しているとそのまま伝わるので、「出られたらすごい、出られなくても大丈夫」くらいの気持ちで送り出してください。会場では、本人から見える席に座るかどうかも事前に聞いておくと、迷わずにすみます。

当日の出方は、全部出るか休むかの二択ではありません。

🎭 配慮つきで舞台に出る

  • イヤーマフや立ち位置の調整を組み合わせる
  • セリフは短く、友達と一緒に言う形も
  • 出番以外は別の場所で待つ

🪑 一部だけ参加する

  • 合唱だけ、劇の最初の場面だけなど出る部分を決める
  • 出ない時間は先生のそばや控室で過ごす
  • 途中で退出してもいいと事前に決めておく

🏠 見る側・休む

  • 客席や別室からほかのクラスを見る
  • 体調や気持ちが限界なら欠席する
  • 後日、録画や写真で一緒に振り返る

✅ 前日・当日のおさらい

  • 出番の順番・待つ場所・終わった後の戻り先を確認した
  • 当日の流れを絵やメモで本人と一緒に見た
  • イヤーマフなど、使っていい物を先生と確認した
  • 途中退出や欠席の伝え方を先生と決めた
  • 朝はいつもどおりの手順で過ごす

欠席や途中退出は「迷惑」?そう悩んだときの考え方

欠席や途中退出は、迷惑ではなく選んでいい選択肢です。親が「みんなに迷惑をかける」と感じるのは自然なことですが、全体の進行を整えるのは先生の役目です。

むしろ困るのは、当日になって突然出られなくなるケースです。「出られないかもしれない」と早めに伝えておけば、先生は代わりにセリフを言う子を決めたり、立ち位置を組み直したりできます。迷っている段階で相談すること自体が、周りへのいちばんの配慮です。

💡 覚えておいてほしいこと

発表会の目的は、全員が同じ形で舞台に立つことではありません。泣きながら無理に出るより、出られる形で少し参加できたほうが、来年の行事につながりやすくなります。今年は見る側にまわる、という判断も立派な選択です。

運動会でも同じように悩んだ経験があるなら、運動会の配慮のお願いの仕方の考え方もそのまま使えます。

当日出られなかった後に、親子でできること

出られなかった日は、子ども自身がいちばん落ち込んでいることがあります。まずは「今日は頑張って会場まで行けたね」など、できたことを一つ見つけて伝えてください。

理由を問いつめたり、ほかの子と比べたりするのは避けましょう。録画や写真を一緒に見るかどうかも、本人が見たいと言ったときで大丈夫です。数日たって落ち着いてから「どこがいちばん大変だった?」と聞くと、次の行事に向けた大事な手がかりが見つかります。

先生には、準備してくれたことへのお礼とあわせて、家での様子を短く伝えておきましょう。どの配慮が助けになったか、どこで難しくなったかを共有しておくと、次の行事や来年の担任に引き継いでもらえます。

発表会の衣装に使う布製の王冠。衣装の素材や着け方も、本人が耐えられる形に調整を相談できる

まとめ

  • 発表会のしんどさは、長い練習・セリフ・照明や音・待ち時間・本番だけ変わる環境の積み重ねで、わがままではない
  • 役やセリフ、立ち位置、イヤーマフ、会場の下見など、頼める配慮は具体的にたくさんある
  • 相談は困る場面と「こうなら参加できそう」をセットで。私立の園や学校も2024年4月から合理的配慮が義務になった
  • 本番直前は新しく頑張らせるより、出番・待つ場所・戻り先の見通しを作る
  • 欠席や途中退出は迷惑ではなく選択肢。早めに伝えることがいちばんの配慮になる

今夜はここまでで大丈夫です。明日、連絡帳に「発表会のことで少しご相談できますか」と1行だけ書いてみてください。何をお願いするかは、先生と話しながら決めていけば間に合います。

よくある質問

発表会で子どもにセリフのない役をお願いしてもいいですか?

相談して構いません。役やセリフの量は先生が調整しやすい部分で、ナレーションを複数人で言う、動きだけの役にするなどの形がよく取られます。「人前で声を出すと固まってしまう」のように、困る場面を具体的に伝えると話が進みやすくなります。

発表会の本番だけイヤーマフをつけてもいいですか?

園や学校に相談できます。拍手や音楽、マイクの音がつらい子にとって、イヤーマフは本番の負担を減らす現実的な手段です。いきなり本番で使うより、練習の段階から試しておくと、本人も先生も当日の動きを想像しやすくなります。

発表会を休んだら、ほかの子の劇や合奏に影響しますか?

全体の進行は先生が調整するもので、子ども一人の欠席で発表会が成り立たなくなることはまずありません。早めに伝えるほど先生は代役や立ち位置を組み直しやすくなるので、迷っている段階でも一度相談しておくと安心です。

練習ではできていたのに、本番で固まってしまうのはなぜですか?

本番は照明や客席の人数、音の響き方が練習とまったく違い、その変化そのものが強い負担になる子がいます。わざとでも努力不足でもありません。会場を事前に見せてもらう、本番に近い状況で一度リハーサルするなどの準備が助けになることがあります。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。