机の上で開いたバインダーに、子どもの記録の書類をとじている手元 🤝 療育・支援サービス
療育・支援サービス 公開: 2026年8月29日

サポートブックの書き方と記入例|A4・1枚から作れる項目と渡し方

この記事の目次
  1. サポートブックとは?自治体で呼び名が違う任意のツール
  2. サポートブックに書く項目|A4・1枚に入る7つの枠
  3. 困りごとだけを並べない|NG例→OK例で見る書き方
  4. 何枚書く?渡す相手ごとに詳しさを変える
  5. 様式はどこで手に入る?自治体が配る無料のテンプレート
  6. 学期の途中でも、今から1枚渡せます
  7. 更新のしかたと、控えを残しておくこと
  8. まとめ

新しい放課後等デイサービスの見学で、生まれてからのことを一から話す。転園先の面談で、また同じ話をする。初めての小児科で、問診票の余白に書ききれず、結局は口で補う——。行き先が変わるたびに、同じ説明を何度も繰り返してきた方へ書きます。

先に結論です。サポートブックとは、子どもの特性と関わり方をまとめて、支援してくれる人に渡すための冊子です。国が決めた制度ではなく、多くの自治体が無料の様式を配っている任意のツールです。この記事では、書く項目、困りごとだけを並べない書き方、渡す相手ごとの使い分け、様式の入手先、学期の途中での渡しどき、更新のしかたまでを順にまとめます。

サポートブックとは?自治体で呼び名が違う任意のツール

神戸市は、子どもに家族以外の人に関わってもらうときに、関わってくれる人に知っておいてほしい情報をまとめた冊子だと説明しています。目的は情報の共有です。横須賀市も、生育歴や相談歴といった基礎的な情報と、本人・家族の願いを書いて、関係する機関で支援の方向をそろえるためのファイルだと案内しています。

呼び名は自治体ごとに違います。神戸市は「サポートブックこうべ」、大田区は「サポートブック かけはし」、静岡市は「サポートファイル」、横須賀市は「相談・支援ファイル」。同じものを指していると思って探して大丈夫です。

似た名前の書類と混同しやすいので、ここで線を引いておきます。就学支援シートは就学のときに教育委員会や小学校へ出す書類、セルフプランは受給者証の支給決定のために市区町村へ出す計画案です。どちらも提出先と目的が決まっているのに対して、サポートブックは提出先が決まっていません。年度も問いません。渡したい相手に、渡したいときに渡す。それがいちばん大きな違いです。

サポートブックに書く項目|A4・1枚に入る7つの枠

書く中身は、だいたい次の7つに整理できます。上から順に埋めていけば形になります。

書くこと
基本情報名前・年齢・所属・保護者の連絡先○○ ○○(6歳)/○○小学校1年/母 090-0000-0000
得意なこと・好きなこと集中が続くもの、話が弾む話題電車の路線図を覚えるのが速い。折り紙は最後まで座って取り組める
苦手なこと・不安になる場面時間・場所とセットで書く予定が急に変わる場面。人が多い体育館での全校集会
落ち着く方法うまくいった声かけと、その場での対応先に写真で予定を見せる。教室の後ろで2分ひとりにすると戻れる
コミュニケーションの取り方指示の伝わりやすい形長い指示は前半だけ残る。1つずつ区切ると動ける。うなずきは同意とはかぎらない
体のこと服薬・アレルギー・感覚の特性卵アレルギー(除去中)。大きな音が苦手でイヤーマフを持参
緊急時の連絡連絡の順番と、つながらないときの手段母(携帯)→父(勤務先)。日中は母がつながりやすい

分量はA4・1枚で十分です。厚くするほど読まれにくくなります。神戸市は、思いついた項目から記入する形をすすめていて、負担なく作って使い続けてもらうことを大事にしています。全部の枠を埋めてから渡す必要はありません。

💡 うまく書けていなくても大丈夫です

サポートブックは作文でも申請書でもありません。箇条書きで、単語だけでも通じます。空いている枠があっても、渡してから足していけます。今日書ける3行が、来週の面談で説明する10分の代わりになります。

困りごとだけを並べない|NG例→OK例で見る書き方

いちばん大事なコツを先に書きます。困りごとだけを並べたサポートブックは、読んだ人が動けません。 性格を言い切る言葉だけが並ぶと、「大変な子」という印象だけが残り、明日の関わり方が決まらないためです。

置き換えの型はひとつです。「どんな場面で・何が起きて・どうすると落ち着くか」の3つをセットにします。

項目NG例(伝わらない)OK例(読んだ人が動ける)
こだわりこだわりが強い予定が急に変わると混乱します。前日と当日の朝に、写真つきの予定表を見せると落ち着きます
感覚音に敏感非常ベルや笛の音で耳をふさいでうずくまります。鳴る予定があるときは先に教えてもらえると耐えられます
気持ちかんしゃくを起こしやすい思いどおりにならないと床に座り込みます。声をかけずに2分待つと自分で立ち上がります
言葉話を聞いていない3つ以上の指示は最後だけ残ります。1つ言って動いてから次を伝えると最後までできます
得意特になし数字と地図が好きです。好きな話題からなら初めての大人とも話せます

得意なこと・好きなことは、いちばん上に置いてください。読む人は最初の数行で子どもの像をつかみます。最初に見えるものが「できないことの一覧」なのか「手がかりの一覧」なのかで、その後の関わり方は変わります。

机ごしに、書類を1枚だけ手渡している大人2人の手元

親としての反省を書く欄ではない、という点も添えておきます。「私の育て方が悪くて」と書き足したくなったら、その分を子どもの様子の描写に回してください。

何枚書く?渡す相手ごとに詳しさを変える

全員に同じ内容を配る必要はありません。もとになる1枚を作っておいて、渡す相手によって前に出す枠を入れ替えます。 どの相手に何が要るかは、次のように分かれます。

🏫 園・学校の先生に

  • 集団の場で崩れる場面
  • 指示の伝わりやすい形
  • 座席や活動でしてほしい配慮
  • 家庭でうまくいった声かけ

🎒 放課後等デイ・預け先に

  • 1日の流れと苦手な時間帯
  • 食事・トイレ・着替えの手順
  • ほかの子とのトラブルのきっかけ
  • 送迎と引き渡しの約束ごと

🏥 病院・歯科に

  • 服薬とアレルギー
  • 待ち時間に落ち着ける方法
  • 体を触られるのが苦手な部位
  • これまでの検査・診断の経過

きょうだいの預け先や、災害時に避難先へ持って出る1枚も同じ考え方で用意できます。避難所で渡す1枚は、緊急時の連絡先と体のことをいちばん上に置き換えてください。名前と連絡先だけでも、持っていないよりずっと役に立ちます。

放課後等デイに渡すときは、契約してからではなく見学の段階から持って行くと話が早く進みます。初回の面談で聞かれることの大半が、すでにその1枚に書いてあるからです。

様式はどこで手に入る?自治体が配る無料のテンプレート

多くの市区町村が、様式を無料で配っています。まずは住んでいる自治体のサイトで「サポートブック」「サポートファイル」と検索してみてください。窓口で紙をもらえることもあります。実際の配り方は、こんな形です。

横須賀市は、障害福祉課の窓口で配るほか、ワード版とPDF版をサイトからダウンロードできると案内しています。本編17ページに加えて、からだについての付録や、作成・見直し・活用の履歴を残す付録がついています。静岡市は、プロフィール・乳幼児期・学齢期・成人期の4つに分かれた様式を用意していて、発達障害者支援センターに連絡して冊子を取り寄せる方法も示しています。大田区はPDFの全体版に加えてエクセルの入力版と記入例を配っていて、パソコンで書きたい人にも合います。神戸市はPDFとエクセルの様式に、使い方のガイドと説明動画をつけています。

住んでいる自治体に様式がなくても、まったく問題ありません。 手書きのノート1ページでも、スマホのメモを印刷したものでも役目は同じです。上の7つの枠を見出しにして書けば、それがサポートブックになります。様式が見つからないときや、書き方を一緒に見てほしいときは、発達に関する相談窓口で相談できます。

学期の途中でも、今から1枚渡せます

新学期の前に用意できなかった、という気持ちで読んでいる方へ。サポートブックに「渡す時期」の決まりはありません。 二学期の途中の今からでも、渡す機会はいくつも残っています。

  • 二学期の個人面談:多くの学校で10月から11月に予定されます。当日、話す代わりに1枚置いてくるだけで伝わります
  • 連絡帳:面談を待たずに渡せます。「まとめてみました。お時間のあるときに」と一行そえて挟みます
  • 個別の教育支援計画の見直し:学期末や年度末に確認の機会があります。文部科学省もプロフィールシートと支援シートの参考様式を公開していて、家庭からの情報がそのまま材料になります
  • 放課後等デイの計画の見直し:通っている事業所では定期的に計画を確認します。時期の目安は個別支援計画の確認方法にまとめました
  • 通院・受診の前日:初診でなくても、担当の医師が替わったときに1枚渡すと話が早くなります

今から作るなら、この順番でどうぞ。

1
困っている場面を3つ書き出すいま実際に起きていることだけでいい。全部の場面を思い出そうとしない。
2
それぞれに「こうすると落ち着く」を1行足す家でうまくいっている対応をそのまま書く。効果が半分でも書いてよい。
3
得意なこと・好きなことを2つ、いちばん上に置く読む人が最初に見るところに、関わりの手がかりを置く。
4
連絡帳か面談で手渡す「短くまとめたので、気になるところだけ見てください」の一言をそえる。

更新のしかたと、控えを残しておくこと

書き直す時期の目安は2つです。ひとつは年度替わり、もうひとつは子どもの様子が変わったときです。苦手だった場面を乗り越えたなら、その行を消して新しい困りごとに差し替えます。横須賀市の様式には、作成と見直しの履歴を残す付録がついていて、いつ・誰と一緒に直したかを積み上げていけます。

渡すときは、原本は手元に残してコピーを渡してください。 紹介状や診断書も同じです。原本を渡してしまうと、次の行き先で同じものを求められたときに、また取り直すところから始まります。渡した相手と日付をメモしておくと、翌年に「どこまで伝えたか」を思い出す手間が減ります。

そして、書くときにいちばん助けになるのは、これまでの控えです。発達検査の結果、診断書、園や事業所からもらった個別支援計画、面談のメモ。ひとつの箱かファイルにまとめておくと、サポートブックはそこから写すだけで書けます。大田区は、診断書や個別の教育支援計画をサポートブックに一緒にとじ込める形で案内しています。今日から、封筒ひとつ用意して放り込んでいくだけでも十分です。

まとめ

  • サポートブックは、子どもの特性と関わり方をまとめて支援者に渡すための冊子です。国の制度ではなく、多くの自治体が無料の様式を配っています
  • 書く項目は、基本情報・得意なこと・苦手な場面・落ち着く方法・伝え方・体のこと・緊急連絡の7つ。A4・1枚で十分です
  • 困りごとだけを並べず、「どんな場面で・何が起きて・どうすると落ち着くか」の3点セットで書きます。得意なことはいちばん上に置きます
  • もとの1枚を作っておき、園・学校、放課後等デイ、病院と、渡す相手によって前に出す枠を入れ替えます
  • 渡す時期の決まりはありません。二学期の面談、連絡帳、計画の見直しなど、学期の途中にも渡しどきはあります
  • 原本は手元に残してコピーを渡し、検査結果や個別支援計画の控えをひとつにまとめておくと、次に書くときが楽になります

今夜はここまでで大丈夫です。明日、紙を1枚だけ出して、子どもの好きなことを2つ書いてみてください。サポートブックは、そこから始まります。

よくある質問

サポートブックは受け取ってもらえないことがありますか?

任意のツールなので、受け取りを断られることはまずありません。ただし提出が義務づけられた書類ではないため、渡したあとに一言そえると確実です。面談や連絡帳で「短くまとめたので、気になるところだけ見てください」と伝えると、読む負担が軽くなり目を通してもらいやすくなります。

診断がなくても書いていいですか?

書けます。神戸市は、家族以外の人に関わってもらうときに支援者へ知っておいてほしい情報をまとめた冊子だと説明しています。診断名を書く欄は空けたままでかまいません。困る場面と落ち着く方法が伝われば、関わり方を決める材料としては十分に役立ちます。

きょうだいがいる場合、それぞれ作るのですか?

渡す相手が違うので、子どもごとに1枚ずつ作るほうが使いやすくなります。ただし枠組みは同じものを使えます。1人目の1枚をコピーして、名前と中身だけ書き換えれば、2人目は短い時間で仕上がります。

手書きとパソコン、どちらがいいですか?

どちらでもかまいません。大田区はエクセル形式の入力版を、神戸市はPDFとエクセルの様式を配っていて、書きやすいほうを選べます。毎年少しずつ直していくならパソコンが楽ですが、手書きのメモを写真に撮って渡す形でも、内容が伝われば役目は果たせます。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。