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ホワイトボードに問題を書いていく先生と、その前の席に座る生徒たちの後ろ姿。板書を写すのが追いつかない授業の場面のイメージ 🏫 園・学校生活
園・学校生活 公開: 2026年10月2日

板書が写せない中学生|テストの時間が足りない子が中学で頼める配慮と、その先の通い方

この記事の目次
  1. 板書が写せない中学生、どこで止まっている?
  2. 中学校で頼める配慮|板書・プリント・テスト時間
  3. 配慮を頼むときの流れ
  4. 家でできる板書の工夫
  5. 高校受験とその先にも、配慮はつながる
  6. 書く量に縛られない通い方という選択肢
  7. まとめ

黒板の半分を写したところで、先生が消し始める。家でノートを開くと、文の途中で途切れた行が何本も並んでいる。定期テストの答案は、前半はほぼ合っているのに、最後の大問が真っ白のまま返ってくる。

「ちゃんと聞いてるの?」と言いかけて、飲み込んだことがあるかもしれません。最初にお伝えしたいのは、板書が写せないのも、テストが時間切れになるのも、やる気より「写す作業」そのものの重さが原因のことが多いということです。

この記事では、板書のどこで止まっているかの分け方、中学校で頼める配慮と申し出の流れ、家でできる工夫、そして書く量に縛られない高校の通い方までを、順にまとめます。

板書が写せない中学生、どこで止まっている?

板書を写すという作業は、ひとつに見えて実は3つの動きの連続です。黒板を見る、覚えておく、ノートに書く。 このどこか1つが重いと、全体が遅れます。

1つ目は見る段階です。黒板とノートの間で視線を何度も往復させるうちに、どこまで写したか分からなくなる子がいます。2つ目は覚えておく段階です。黒板の一文を頭に入れたまま手元に移すあいだに、内容がこぼれてしまう。3つ目は書く段階で、文字の形を整えるのに力を使いすぎて、手が追いつかない状態です。

中学では、この負担が小学校より一気に増えます。教科ごとに先生が変わり、書く量も板書の速さも上がります。定期テストも同じ構造で、問題を読む、考える、答えを書くの最後の「書く」に時間を取られて、分かっている問題まで手が届かないことがあります。

発達検査(WISCなど)を受けたことがあるなら、結果の「処理速度」の項目がヒントになります。単純な作業を素早く正確にこなす力を見る指標で、板書や時間内のプリントと関わりの深い部分です。読み方はWISC-Vの結果の見方にまとめています。

家で見えている様子止まっていそうな段階家で確かめること
ノートの文が途中で途切れている見る・覚えておく写せた量より、どこで切れたか
字はきれいだが、量がまったく足りない書く(丁寧さに力を使う)1行を書くのにかかる時間
字が乱れて、本人も読み返せない書く(手の負担)書いた後に手が疲れていないか
テストの最後の大問だけ空欄が続く書く速さと時間配分空欄の問題を口頭なら答えられるか

💡 写せないのは、努力が足りないからではありません

板書は見る・覚える・書くの3つが同時に要る作業です。どこが重いかが分かれば、頼む配慮も家での工夫も絞り込めます。責めるより先に、止まる場所を一緒に探してみてください。

中学校で頼める配慮|板書・プリント・テスト時間

中学校では、板書とテストの困りごとについて合理的配慮をお願いできます。合理的配慮とは、障害のある子が学ぶうえでの壁を減らすために、一人ひとりの状態に合わせて学校が行う個別の調整のことです。

公立学校では、本人や保護者からの申し出があれば、負担が重すぎない範囲で配慮を行うことがすでに法的な義務です。2024年4月からは改正された障害者差別解消法によって、私立学校を運営する学校法人にも同じ義務が広がりました。文部科学省も、学校向けの対応指針をこの時期に合わせて改めています。

板書とテストについて、よく話し合われる形を並べます。

困っている場面お願いの例
板書を写しきれない黒板をタブレットやカメラで撮る、板書と同じ内容のプリントをもらう
写すのに必死で話が聞けない書く欄を減らした穴埋め式のプリントにする、写すのは要点だけにする
テストの最後まで届かない試験時間を延ばす、別室で受ける
解答を書くのに時間がかかる解答欄を大きくする、記号で答えられる形を選べるようにする
問題文を読むのが遅い問題用紙の拡大、タブレットの読み上げ機能を使う

文部科学省のサイトに載っている合理的配慮の説明資料でも、読むことが苦手な子にタブレットなどの読み上げ機能を使う、文字を判別しにくい子には見やすい字体や拡大印刷を使う、といった例が挙げられています。どれを使うかは、一人ひとりの状態と学校の事情を突き合わせて決めていきます。板書以外の場面(提出物、音、持ち物など)の配慮は中学生になってからの発達障害|支援の相談先と中学校で受けられる配慮にまとめています。

配慮を頼むときの流れ

配慮は、こちらから伝えるところから始まります。家で話す、学校に伝える、話し合って決める、見直す、の4段階です。 同じ資料が示している流れを、家庭の目線で並べ直しました。

1
家で本人と話すどの授業のどんな場面が一番つらいか、どうなったら楽かを本人の言葉で聞いておく。
2
担任かコーディネーターに伝える学校の相談窓口は特別支援教育コーディネーターか担任。「配慮について相談したい」と一言で大丈夫です。
3
話し合って決める学校の中で検討し、本人と保護者も入るケース会で、何をどう行うかを合意する。内容は個別の教育支援計画に書かれます。
4
使ってみて見直す家で本人の感想を聞き、定期的に学校と調整する。必要なら次の学年や進学先へ引き継ぐ。

伝えるときは、1つの場面と1つの方法に絞るのがコツです。たとえば「数学の板書が写しきれないので、黒板を撮影させてもらえませんか」のように頼みます。途中で途切れたノートや、最後の大問が空いた答案を一緒に持っていくと、先生にも状況が伝わりやすくなります。

家でできる板書の工夫

学校への相談と並行して、家でできる工夫もあります。目標は全部を写すことではなく、あとで見返して分かるノートにすることです。

  • ノートに日付と単元名だけ先に書いておき、授業中は要点の行だけ写す
  • 先生が色チョークで書いたところ、囲んだところだけは必ず写すと決めておく
  • 写しきれなかったところは空白のまま残し、友だちのノートや教科書の該当ページを家で確かめる
  • 字の丁寧さより、本人が読み返せることを優先していいと伝える
  • 定期テスト前は、問題を解く前に時計を見て、大問ごとのおおよその時間を決める練習をする

試験の解答用紙に鉛筆で答えを書き込む手元と、腕のスマートウォッチ。時間を気にしながらテストを解く場面のイメージ

テストの時間配分は、家で過去の定期テストを使って一度だけ試してみると、どの大問で時間が溶けているかが見えてきます。それ自体が、学校に配慮をお願いするときの具体的な材料にもなります。

高校受験とその先にも、配慮はつながる

中学で使っている配慮は、高校受験やその先の入試でも土台になります。ふだんから使って慣れている配慮ほど、入試でも申請の根拠になりやすいからです。

高校入試では、多くの地域で中学校を通して別室受験や時間延長などを申請します。申請の時期や流れは都道府県ごとに違うので、詳しくは高校受験で頼める配慮で確かめてください。

その先の大学入学共通テストでも、試験時間の延長(1.3倍と1.5倍)などの配慮が用意されています。大学入試センターの案内では、発達障害で申請するときに、学校での普段の状況や授業中に受けている配慮を書く状況報告書を出すことになっています。中学のうちから配慮を試し、記録しておくことは、何年も先まで役に立ちます。

書く量に縛られない通い方という選択肢

配慮を受けても、毎日6時間、黒板を写す授業が続くこと自体が重い子もいます。高校には、板書を写す授業を毎日受ける形とは違う通い方もあります。

そのひとつが通信制高校です。文部科学省の案内では、通信制はレポートの提出(添削指導)、スクーリングへの参加(面接指導)、試験などを通じて学ぶ仕組みです。卒業すると全日制や定時制と同じ高等学校卒業になります。自分のペースで教材を見返しながら進められるので、その場で写しきれないことへの焦りは減らしやすい形です。

一方で、レポートを自分で計画して出し続ける力が要るので、向き不向きはあります。合いやすい子とつまずきやすい子の見きわめ方は通信制高校は発達障害の子に向いている?にまとめています。

通信制の中には、時間割のないネットコースと、週1日から週5日まで通うコースから通い方を選べる学校もあります。たとえば【N高等学校】の資料(無料)を取り寄せて、授業の受け方や課題の出し方を、いまの中学の授業と並べて本人と見比べてみてください。どんな形なら楽に学べそうかを話すきっかけになります。資料請求は入学の申込ではないので、合わなければ申し込む必要はありません。

まとめ

  • 板書は見る・覚えておく・書くの3つの連続。どこで止まっているかを家で確かめる
  • 中学校では、黒板の撮影、プリント、試験時間の延長、別室などの合理的配慮を頼める。2024年4月から私立でも義務になった
  • 頼むときは担任かコーディネーターに、1つの場面と1つの方法に絞って伝える
  • 中学で使っている配慮は、高校入試や大学入学共通テストの申請でも土台になる
  • 写す授業が毎日続くこと自体が重いなら、通信制など書く量に縛られない通い方も選べる

今夜はここまでで大丈夫です。明日、学校から帰ってきたら、いちばん写しきれていない教科のノートを1冊だけ、本人と一緒に開いてみてください。

よくある質問

診断がなくても、板書の撮影やテストの時間延長を頼めますか?

頼むこと自体はできます。合理的配慮は本人や保護者の申し出から話し合いが始まる仕組みで、まずは困っている場面を担任や特別支援教育コーディネーターに伝えるところからです。どこまで対応できるかは学校との話し合いで決まるので、ノートの写真や答案など、困っている様子が分かるものを持っていくと話が進みます。

板書を写真に撮るのは、ずるいと思われませんか?

配慮は、ほかの子と同じスタートラインに立つための調整で、得をするためのものではありません。気になる場合は、撮影のタイミングや方法をクラスでどう説明するかも含めて先生と相談しておくと安心です。本人が周りの目を気にしている場合は、プリントでもらう形のほうが合うこともあります。

私立中学校でも配慮をお願いできますか?

お願いできます。2024年4月から、私立学校を運営する学校法人にも合理的配慮の提供が法律で義務づけられました。対応の中身は学校ごとに違うので、まずは担任や学年の先生に、困っている場面と頼みたい方法を具体的に伝えてください。

中学で受けた配慮は、高校や大学の入試でも使えますか?

そのまま自動で引き継がれるわけではなく、入試ごとに申請が必要です。ただ、大学入学共通テストでは、学校の授業中に受けている配慮などを書く状況報告書を出す仕組みがあり、ふだんから使っている配慮が申請の材料になります。高校入試の申請の流れは都道府県ごとに確かめてください。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。