🏫 園・学校生活 朝起きられない・遅刻が続く中学生|原因を3つに分ける相談の順番と、毎日通う前提でない高校の選択肢
7時半、部屋のドアをノックしても返事がない。8時5分、学校に「今日も少し遅れます」と電話をかけながら、声が小さくなる。連絡帳の欠席の欄を見て、今月は何日目だろうと指を折る。
声をかける側も、毎朝きついものです。怠けているようにも見えるのに、青い顔で起きてくる本人を見ると、責める言葉は出てきません。まずお伝えしたいのは、朝起きられないのは結果であって、原因はその裏に別々に隠れているということです。 原因を分けて見ていくと、相談する先も、この先の選択肢も見えてきます。
この記事では、朝起きられない裏側を3つに分けたうえで、無料で相談できる先、欠席と遅刻が何に響くか、毎日通う前提でない高校の通い方までを順にまとめます。高校の話はまだ先だと感じる方も、選択肢があると知るだけで、朝の受け止め方が少し変わります。
朝起きられないの裏で起きていること
朝の困りごとは、3つの層に分けて考えると整理しやすくなります。生活リズム、感覚や不安、学校の朝の構造の3つです。
1つ目は生活リズムです。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、中学生と高校生の睡眠時間の目安を8〜10時間としています。同じガイドは、思春期が始まる頃から睡眠と覚醒のリズムが後ろにずれる傾向を説明しています。夜寝る時刻が遅くなり、朝起きるのが難しくなる。そこに部活動や勉強、スマホの使用が重なって平日の睡眠が足りず、休日に起床を遅らせるとリズムはさらに後ろにずれます。この流れは、本人の気合いでは止めにくいものです。
文部科学省が2014年に小学5年生から高校3年生に行った調査でも、中学生の22%が深夜0時以降に寝ていました。学校がある日とない日で起きる時刻が2時間以上ずれる子ほど、午前の授業中に眠くて仕方がないと答える割合が高い。寝る直前までスマホやゲームに触れる子ほど、朝ふとんから出るのがつらいと感じる割合が高い。発達特性のある子の眠りの整え方は発達障害の子どもが寝ないのはなぜ?にまとめています。
2つ目は感覚や不安です。制服の肌触りや教室の音、光がつらい子は、朝の支度の段階で体が止まります。学校で待っている場面への不安が、起きられないという形で出ることもあります。文部科学省の委託で2024年に公表された調査は、不登校の子について本人・保護者・教師の答えを比べています。体調不良、不安や抑うつ、朝起きられないといった心身や生活リズムの不調を挙げた割合は、本人と保護者では約7〜8割でした。教師では2割弱です。家で見えている朝の様子は、伝えないと学校には届きません。
3つ目は学校の朝の構造です。多くの中学校では、決まった時刻までに登校して朝の会に出て、続けて1時間目が始まります。朝練のある部活動や、電車で通う子なら混み合う時間帯の乗車も加わります。1分遅れれば遅刻という仕組みは、朝の立ち上がりに時間がかかる子にとって、毎日同じ高さのハードルが置かれている状態です。文部科学省の2024年度の調査では、中学校の不登校生徒は216,266人でした。学校が把握した事実として「生活リズムの不調に関する相談があった」子は、小・中学校で25.0%です。
| 見えている様子 | 考えられる層 | 家で確かめること | まず相談する先 |
|---|---|---|---|
| 平日は起きられず、休日は昼まで寝ている | 生活リズム | 就寝と起床の時刻、寝る前のスマホや動画の時間 | 担任、かかりつけ医 |
| 起きてはいるのに、制服を着る段階で止まる | 感覚や不安 | 何の場面で止まるか、学校の何が気になっているか | 養護教諭、スクールカウンセラー |
| 1時間目には間に合わないが、2時間目からなら行ける | 学校の朝の構造 | 何時なら動けるか、行ける日と行けない日の違い | 担任、教育委員会の相談窓口 |
まず学校と医療に相談する(無料)
相談先は、お金のかからないところから順に使えます。最初の相談先は担任の先生で、そこから養護教諭、スクールカウンセラー、教育委員会の相談窓口、かかりつけ医へと広げていきます。
文部科学省は2019年の通知で、不登校の子の支援を学校全体で行うものだと示しています。中心になるのは、学級担任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどです。同じ通知は、本人の状況と支援の内容を「児童生徒理解・支援シート」に書き残すことが望ましいとしています。担任に伝えた朝の様子は、その記録の土台になります。
同じ通知は、不登校の子への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするものではない、としています。目指すのは、本人が自分の進路を主体的にとらえて社会的に自立することです。子どもによっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがある、とも書かれています。2016年にできた教育機会確保法も、休養の必要性をふまえた支援を国と自治体に求めています。学びの場は教室だけでなく、教育委員会が設ける教育支援センター、フリースクール、家でのICTを使った学習など複数あります。
💡 相談は、学校に戻すための手続きではありません
担任に朝の様子を伝えても、それで何かが決まるわけではありません。国の方針は、登校という結果だけを目標にしないことです。伝えることで、別室や遅れての登校、学校外の学びの場など、選べる形が増えていきます。
学校に話しにくいときは、教育委員会の相談窓口があります。たとえば東京都では、東京都教育相談センターが保護者からの電話相談(一般相談 0120-53-8288)を受け付けていて、進路や不登校の窓口も設けています。年齢別の窓口と電話での切り出し方は発達障害の相談窓口はどこ?にまとめています。
医療の相談も、早めに1本入れておいてください。朝起きられない状態が何週間も続くときは、かかりつけ医や小児科に、いつから、どんなふうに起きられないかを伝えます。起立性調節障害のように体の側に理由がある場合もあり、その見きわめは医師の役目です。受診のときに起床時刻と起きられた日の記録を持っていくと、話が早く進みます。
欠席と遅刻が積み上がると何に響くか
欠席と遅刻が続くと気になるのは、出席日数、内申、入試の3つです。結論から言うと、全国一律の「何日休むとダメ」という線はありません。 記録の付け方は学校ごと、入試の扱いは都道府県ごとに決まっています。
出席日数から見ていきます。学校は一人ひとりの出欠や成績を指導要録という公式の記録に残し、高校入試の調査書はこれをもとに作られます。遅刻して登校した日は欠席ではありませんが、別室登校や遅れての登校がどう記録されるかは学校の決まりで違います。
欠席が続いている場合も、記録を積み直す仕組みがあります。教育支援センターなどでの相談や指導、自宅でのICTを使った学習は、条件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。文部科学省の2024年度の調査では、学校外の機関での相談・指導で42,978人、自宅でのICT学習で13,261人が出席扱いになりました。
内申については、2024年8月の法令改正で、欠席中に家や学校外で行った学習の成果を成績評価に反映できることがはっきりしました。条件は次の3つです。
- 学習の計画と内容が、学校の教育課程に照らして適切であること
- 学校と家庭が連携して、学習の様子を定期的に把握できていること
- 学校が訪問やオンラインで、本人と関わり続けていること
2024年度には81,467人がこの仕組みで指導要録に反映されました。
入試の扱いは都道府県で分かれます。文部科学省の2025年度の調査では、調査書の出欠の記録を選抜の資料に使わない扱いを、9つの都道府県が全校で、2つの都道府県が一部の学校で行っていました。欠席の理由や高校生活への抱負を本人が書く自己申告書を出せる仕組みは、26の都道府県が全校で設けています。年間の欠席が30日以上の場合に出せる、と条件を決めている県もあります。制度の具体例と中3からの動き方は不登校の中学生の高校受験に、支援級に在籍している場合の評定の扱いは支援級でも高校受験はできるにまとめています。試験当日の別室受験などの配慮は高校受験で頼める配慮で確かめられます。
毎日通う前提でない高校がある
ここまで読んで、毎日決まった時刻に通う前提の高校で3年間続くだろうか、と感じた方もいると思います。高校には、毎日朝から通う形だけでなく、通う時間帯や日数を選べる形があります。
学校教育法では、高校の課程を3つに分けています。通常の課程である全日制、夜間その他特別の時間や時期に授業を行う定時制、通信による教育を行う通信制です。文部科学省は、通信制を卒業すると全日制や定時制と同じ高等学校卒業になると案内しています。
| 通い方 | 登校の形 | 朝の時間帯との関係 |
|---|---|---|
| 全日制 | 平日に毎日、朝から通う | 中学と同じ朝の構造が続く |
| 定時制 | 夜間や昼間など、決まった時間帯に平日通う | 午後や夜の部を選べば、朝の立ち上がりを避けられる |
| 通信制 | スクーリングと試験の日以外は自宅等での自学自習が中心 | 登校日数をコースで選べる。自宅学習の自己管理が要る |
通信制の中身は学校ごとに大きく違います。文部科学省の2025年度の実態調査では、全国323校のうち週1日通うコースを開いている学校が128校、週5日通うコースが90校でした。まとめて登校する集中スクーリングを前提にしたコースは113校です。同じ調査で、2025年度に通信制に入学した生徒の57.0%は、中3のときに不登校でした。
ただし、通い方を変えれば朝の課題が消えるわけではありません。同じ調査では、添削課題は出しているのに面接指導に1日も来ていない生徒が2.6%いました。その理由として学校が最も多く挙げたのは、感覚の敏感さ、体調不良、不安、朝起きられないといった心身に関することです。だからこそ、見学では止まったときに先生から連絡が来るかを聞いてください。合いやすい子とつまずきやすい子の見きわめは通信制高校は発達障害の子に向いている?に、特別支援学校高等部も含めた5つの通い方の比べ方は発達障害・グレーゾーンの高校選びにまとめています。
通信制の中には、時間割のないネットコースと、週1日から週5日まで通うコースから通い方を選べる学校もあります。【N高等学校】
の資料(無料)を取り寄せて、通う日の朝に何時から何があるのかを、いまの中学の朝と並べて本人と見比べる材料にしてみてください。資料請求は入学の申込ではないので、合わなければ申し込む必要はありません。
今週できること3つ
やることは3つだけです。記録をつける、学校に相談する、資料を集める、の順です。

記録は、学校の先生には見えていない朝の様子を、事実で伝えるための持ち物です。
✅ 記録に残す5つ
- 前夜に寝た時刻と、朝に起きた時刻
- 登校できた日、遅れて行けた日、休んだ日の区別
- 起きられなかった朝に、体がどう見えたか(顔色、動けるまでの時間)
- 止まった場面(布団から出る、制服を着る、玄関を出る)
- 前の日にあった学校の予定(行事、テスト、部活)
まとめ
- 朝起きられないのは結果。裏側は生活リズム、感覚や不安、学校の朝の構造の3つに分けて考える
- 心身や生活リズムの不調は学校から見えにくい。家で見えている朝の様子を、記録にして担任に伝える
- 国の方針は、登校という結果だけを目標にしないこと。教育支援センターや家での学習など、学びの場は複数ある
- 全国一律の「何日休むとダメ」という線はない。出席扱いや学習の評価の仕組みがあり、入試の扱いは都道府県で違う
- 高校には全日制のほか定時制と通信制があり、卒業資格は同じ。通い方を選べる学校の資料は、相談の材料になる
今夜はここまでで大丈夫です。明日の朝は、起きられたかどうかだけをカレンダーに一つ印をつけてみてください。相談は、その印が1週間分たまってからで間に合います。
よくある質問
朝起きられないだけで、不登校の扱いになりますか?
遅刻して登校した日は欠席ではありません。国の調査では、年度内に30日以上欠席した子を長期欠席として数え、病気による欠席などとは分けて不登校を集計しています。ただしこれは統計の区切りで、高校入試の合否ラインではありません。遅刻や別室登校の日がどう記録されるかは学校ごとに違うので、担任に確かめてください。
朝起きられないのは、本人の怠けですか?
怠けと決めつける前に、体のリズムを疑ってください。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、思春期が始まる頃から睡眠と覚醒のリズムが後ろにずれ、夜寝る時刻が遅くなって朝起きるのが難しくなる傾向を説明しています。体の側に理由が隠れている場合の見きわめは医師の役目なので、状態が続くときはかかりつけ医や小児科にも相談してください。
通信制高校に行けば、朝の問題はなくなりますか?
なくなるとは言い切れません。文部科学省の2025年度の実態調査では、通信制でも添削課題は出しているのに面接指導に1日も来ていない生徒が2.6%いて、その理由として学校が最も多く挙げたのは、朝起きられないことを含む心身に関することでした。通い方を選べる自由と、止まったときに先生から連絡が来る仕組みの両方を見て選ぶことが大切です。
中1・中2のうちから高校の資料を集めるのは早すぎますか?
早すぎることはありません。資料請求は入学の申込ではなく、通い方の選択肢を知るための手段です。全日制・定時制・通信制で登校の形がどう違うかを先に知っておくと、担任との面談で「この子に合う通い方」を具体的に話しやすくなります。中3の秋に慌てて探すより、余裕のあるうちに眺めておくほうが落ち着いて比べられます。
欠席が続いていても、内申点はつきますか?
評定の付け方は学校が決めるので一律には言えませんが、2024年8月の法令改正で、不登校の子が欠席中に家や学校外で行った学習の成果を、条件を満たせば成績評価に反映できることがはっきりしました。2024年度には全国で81,467人の児童生徒がこの仕組みで指導要録に反映されています。担任に「家での学習を評価に入れてもらえますか」と聞くところから始めてください。
参考・出典
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(こども版の推奨事項・夜ふかし・朝寝坊に対する注意)
- 文部科学省「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)」(平成26年度)
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
- 文部科学省委託事業「不登校の要因分析に関する調査研究 結果の概要」(令和6年3月公表)
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日
- 文部科学省 同通知 別記1「学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出席扱いについて」
- 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日
- e-Gov法令検索「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(第3条・第13条)
- e-Gov法令検索「学校教育法」(第4条・第53条・第54条 全日制・定時制・通信制の課程)
- 文部科学省「令和7年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」(不登校経験のある生徒に対する配慮)
- 文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果」
- 文部科学省「分かる・見つかる通信制高等学校」よくある質問
- 東京都教育相談センター(保護者も相談できる教育相談の例)