肯定的な声かけをしながら子どもとお絵かきをする様子 🌸 保護者のこころとくらし
保護者のこころとくらし 公開: 2026年6月30日

ペアレントトレーニングは自宅でできる?今日から使える声かけと受講先・独学の始め方

この記事の目次
  1. ペアレントトレーニングとは?国も普及を進める家族支援
  2. 基本の考え方1: 行動を3つに分ける
  3. 基本の考え方2: 肯定的注目(ほめる)を増やす
  4. 自宅で今日からできる声かけの工夫
  5. ペアレントトレーニングはどこで受けられる?
  6. 書籍での独学はあり?その位置づけ
  7. まとめ

「ペアレントトレーニングが良いと聞いたけれど、近くで受けられる場所がない」「まず自宅でできることから始めたい」と感じていませんか。結論から言うと、ペアトレの核になる考え方は自宅でも今日から実践できます。一方で、本来はグループで実践とフィードバックを重ねるプログラムなので、独学はあくまで入口です。この記事では、ペアトレの基本の枠組み、自宅でできる声かけの工夫、受講できる場所、書籍独学の位置づけを解説します。

ペアレントトレーニングとは?国も普及を進める家族支援

ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは、保護者が子どもの行動の見方と対応のしかたを学び、子どもの適切な行動を増やしていくことを目指すプログラムです。行動理論(応用行動分析)に基づいています。厚生労働省も発達障害の家族支援施策としてペアトレの普及を進め、実施の手引きとなる実践ガイドブックを公開しています。

大切なのは、ペアトレが「親のしつけが悪いから受けるもの」ではないという点です。むしろ逆で、子どもの行動を性格や親の育て方のせいにせず、環境と関わり方の工夫で変えていくという発想に立っています。発達障害の子育てで自分を責めがちな保護者ほど、気持ちが軽くなったと感じることが多い学びです。

基本の考え方1: 行動を3つに分ける

ペアトレでは、子どもの行動を大きく3つに分けて、それぞれ対応を変えます。

😊 増やしたい行動

  • 自分から着替えた・宿題を始めた等
  • 対応: すかさずほめる(肯定的注目)
  • 当たり前に見える行動こそ対象

😐 減らしたい行動

  • ぐずぐず・文句・軽いかんしゃく等
  • 対応: 反応しすぎず注目を外す
  • やめた瞬間にほめて切り替える

🚫 許しがたい行動

  • 叩く・飛び出すなど危険な行動
  • 対応: 制止し、事前の約束と結びつける
  • 感情的に怒鳴るのとは区別する

多くの家庭では、増やしたい行動は「できて当たり前」と素通りされ、減らしたい行動にばかり注目(叱責)が集まっています。この注目のバランスをひっくり返すのがペアトレの土台です。

基本の考え方2: 肯定的注目(ほめる)を増やす

肯定的注目とは、ほめ言葉だけでなく、笑顔・うなずき・頭をなでる・そばで見ているといった「あなたを見ているよ」というサイン全般を指します。ポイントは完璧にできたときだけほめるのではなく、やり始めた瞬間・途中の段階で声をかけることです。宿題を全部終えたらほめるのではなく、机に向かった時点で「お、始めたね」と伝えるイメージです。

自宅で今日からできる声かけの工夫

グループでの受講を待たなくても、次の流れは今日から試せます。

1
行動をひとつだけ選ぶ増やしたい行動を1つに絞ります。欲張ると続きません。
2
行動が起きたら具体的にほめるえらいねではなく、自分で靴をそろえたんだね、と行動をそのまま言葉にします。
3
指示は短く、近くで、1つずつ離れた場所から長い指示を重ねず、そばに行き、穏やかに、静かに、繰り返し伝えます。
4
1週間続けて振り返る変化をメモし、うまくいったら次の行動をひとつ足します。

声かけの言い換え例をいくつか挙げます。

つい言いがち言い換えの例
早くしなさい!時計の針が6になったら出発だよ
なんで片付けないの!ブロックを箱に入れよう。ママは本を戻すね
走らないで!歩こうね(してほしい行動を伝える)
ちゃんとして!イスに座って食べようね(具体的に)

ノートに子どもの行動と声かけの記録をつける手元。短いメモでも振り返りの材料になる

記録は数行のメモで十分です。「朝の支度を自分で始めた・始めた瞬間に声をかけた・機嫌よく完了」のように、行動と対応と結果を並べて書くと、うまくいくパターンが見えてきます。完璧を目指す必要はなく、うまくいかない日があって当然です。親自身が疲れ切っているとほめる余裕も持てないので、疲れたときのセルフケアも並行して大切にしてください。

ペアレントトレーニングはどこで受けられる?

正式なプログラムは、おおむね次の場所で実施されています(実施状況・費用・対象は自治体や機関により異なります。2026年時点)。

  • 自治体: 発達支援センター・保健センター・子育て支援課などが主催。無料〜低額のことが多く、まずは市区町村の窓口や広報で確認を
  • 医療機関: 児童精神科・小児科のデイケアや家族教室として実施。通院中なら主治医に相談
  • 児童発達支援・放課後等デイサービスなどの事業所: 家族支援の一環として実施する事業所が増えています。児童発達支援の内容を検討する際に、家族向けプログラムの有無を聞いてみるのも一つの方法です
  • 大学・NPO・民間のオンラインプログラム: 地方在住や下の子が小さい家庭でも受講しやすい選択肢

💡 ポイント

標準的なペアトレは1回60〜120分・全5〜10回程度で、毎回の宿題(家庭での実践)と次回の振り返りがセットになっています。この実践とフィードバックの往復こそがプログラムの中身です。

書籍での独学はあり?その位置づけ

ペアトレ関連の書籍は多く出版されており、考え方を知る入口としては十分に有効です。実際、この記事で紹介した行動の3分類や肯定的注目は、書籍でも学べる共通の枠組みです。

ただし、独学には「自己流の解釈に気づけない」「うまくいかないときに修正のヒントをもらえない」という限界があります。書籍で試してみて手応えがあった人も、行き詰まった人も、機会があればグループでの受講につなげるのがおすすめです。同じ立場の保護者と一緒に学ぶこと自体が、孤立感を和らげる支えにもなります。

⚠️ ここに注意

高額な民間講座の中には、効果を断定的にうたうものもあります。受講前に、内容が標準的なペアトレの枠組みに沿っているか、実施者の経歴や自治体・医療機関との連携があるかを確認しましょう。

まとめ

  • ペアトレは保護者が行動の見方と関わり方を学ぶプログラムで、国も普及を推進している
  • 基本は行動の3分類(増やしたい・減らしたい・許しがたい)と肯定的注目
  • 自宅では「行動をひとつ選ぶ→具体的にほめる→短く指示→振り返る」から始められる
  • 受講先は自治体・医療機関・支援事業所・オンラインなど。費用や対象は実施主体により異なる
  • 書籍の独学は入口として有効。行き詰まったらグループ受講や専門家への相談につなげる

よくある質問

ペアレントトレーニングは診断がなくても受けられますか?

実施主体によります。自治体の発達支援センターや保健センターで行うプログラムには、診断の有無を問わず「子育てに難しさを感じる保護者」を対象にしているものもあります。医療機関で行う場合は通院患者の家族が対象になることが多いため、まずは窓口に確認してみてください。

ペアレントトレーニングの費用はどのくらいかかりますか?

自治体が実施するものは無料〜数千円程度のことが多く、医療機関や民間のプログラムは数千円〜数万円まで幅があります(2026年時点・実施主体により異なります)。回数は全5〜10回程度のプログラムが一般的です。

ペアトレを受けると子どもの発達障害は改善しますか?

ペアレントトレーニングは子どもを治す治療ではなく、保護者が行動の見方と関わり方を学ぶプログラムです。関わり方が変わることで親子のやりとりが円滑になり、困った行動が減ったり保護者の育児ストレスが軽くなったりすることが期待されるとされていますが、効果の感じ方には個人差があります。

父親も一緒に受けたほうがいいですか?

可能なら家庭内で関わる大人が同じ考え方を共有しているほうが、声かけに一貫性が出て子どもも混乱しにくくなります。両方の参加が難しい場合は、受講した側がテキストや宿題シートを共有するだけでも効果的です。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。