🏫 園・学校生活 高等特別支援学校とは?高等部との違い・入試・落ちたらどうなる・卒業資格
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進路面談で担任の先生から「高等特別支援学校という選択肢もあります」と言われた。家に帰って調べると、入試があって落ちることもあるらしい。高等部と何が違うのか、卒業したら高卒になるのかも、よく分からない。
こうした疑問は、ひとつずつ分けてみると答えがはっきりします。高等特別支援学校は、主に軽度の知的障害のある生徒が、卒業後の就職をめざして通う特別支援学校です。入学には定員があって選考があり、そこが高等部との大きな違いです。
この記事では、高等部との違い、入試(選考)の中身、落ちたらどうなるか、卒業資格の扱いを、東京都・栃木県・岐阜県の公式の要項と文部科学省の資料で整理します。中3の秋の今まさに考えている方と、中1・中2で先のことを知っておきたい方の両方に向けて、やることも分けて書きました。
高等特別支援学校とは?軽度の知的障害の子が就職をめざす学校
高等特別支援学校は、特別支援学校のうち、高等部だけを置いて職業教育に力を入れる学校です。国の法律に細かい決まりがあるわけではなく、名前も対象も都道府県が決めています。
呼び名も県によって違います。栃木県や岐阜県は「高等特別支援学校」、大阪府は「高等支援学校」と呼んでいます。東京都は学校の種類としてではなく、知的障害特別支援学校の高等部に置いた「就業技術科」「職能開発科」という学科の名前で募集しています。
対象は、多くの県で軽度の知的障害のある生徒です。岐阜県の要項では、出願できるのは知的障害の程度が軽度で、卒業後に障がい者雇用で社会に出ることをめざす人と書かれています。さらに、通学区域に住んで一人で通学できることも条件です。栃木県も、軽度であることと、公共の交通機関などで自分で通えることを志願の資格にしています。
一人で通えることを条件にしている県が多いので、通学の練習をいつから始めるかも、進路を考える材料のひとつになります。
特別支援学校高等部との違いを表で比べる
いちばんの違いは、定員と選考があるかどうかです。同じ特別支援学校でも、高等部の普通科は定員を決めずに入学を相談で決める県があります。
東京都の要項を見ると、違いがはっきりします。知的障害特別支援学校の高等部普通科は「募集人員を定めない学校」として入学相談を行い、方法は学力調査と面接です。一方、就業技術科と職能開発科は「募集人員を定める学校」として入学者選考を行い、方法は適性検査と面接です。
| 比べる点 | 高等特別支援学校(東京都は就業技術科・職能開発科) | 特別支援学校高等部(普通科) |
|---|---|---|
| 主な対象 | 軽度の知的障害のある生徒 | 知的障害など、それぞれの障害のある生徒 |
| 入学の決め方 | 定員があり、検査と面接で選考する | 定員を決めず、入学相談で決める県がある |
| 通学 | 一人で通えることを条件にする県が多い | 通学の方法は学校ごとに相談する |
| 卒業後のめざす先 | 企業などへの就職が中心 | 就職のほか、福祉サービスの利用など幅広い |
| 選考の時期 | 東京都は11〜12月、岐阜県は1月 | 東京都・岐阜県とも2月 |
時期の違いも大切です。高等特別支援学校の選考は高等部より先に行われる県があり、結果を見てから高等部を考えることができます。この点は、あとの「落ちたらどうなる?」で詳しく見ていきます。
知的障害のある子の学びの場の全体像は、特別支援学校と特別支援学級の違いにまとめています。
入試(選考)では何をする?東京都・栃木県・岐阜県の例
検査は、学力・作業・面接の3つを組み合わせる県が多く、細かい中身は県ごとに違います。「厳しい」と言われるのは、定員があって不合格になることもあるからです。ただ、中学校の高校入試と同じ種類の試験ではありません。
東京都の2027年度入学の要項では、就業技術科は願書受付が2026年11月4日から6日、検査日が11月14日で、適性検査と面接を行います。合格者の発表は11月26日です。職能開発科は11月14日に適性検査、12月5日に面接を行い、発表は12月17日です。インフルエンザなどで受けられなかった人向けの追検査の日も決まっています。
栃木県の要綱では、高等特別支援学校の選抜は国語と数学の学力検査、面接、その他必要な検査で行います。出願には、入学願書と調査書のほかに、障害があることを証明する書類が必要です。
岐阜県は、検査の中身をいちばん細かく公開しています。2027年度入学の要項では、検査は2027年1月20日の1日で行います。
- 学力検査は国語と数学で、社会生活や職業生活に必要な基本的な力を見る
- 適性検査1は作文で、人と関わるときの力などを文章で表す
- 適性検査2は実技で、作業の正確さ、指示を理解する力、集中力を見る
- 面接は10分ほどの個人面接で、意欲や態度を見る
この4つは「1対1対1対1」の比率で、調査書と合わせて総合的に見ると書かれています。面接だけ、作業だけで決まるわけではありません。

入試問題がどんなものかを知りたいときは、県の公開のしかたを確かめます。岐阜県は、追検査が終わったあとに学力検査と適性検査の問題を学校内に掲示するなどして公開すると定めています。受検した本人は、合格発表の翌日から1か月の間、自分の得点を教えてもらうこともできます。
中3の秋の今から確認すること・中1〜中2で知っておくこと
中3の秋は、出願の前に済ませておく手続きが動き出す時期です。選考は多くの県で年明けですが、事前の相談や申請の締め切りがもっと早いことがあります。
岐阜県では、出願の前に、希望する高等特別支援学校と、住んでいる地域の知的障害の特別支援学校高等部の2校で教育相談を受けることになっています。検査で配慮を受けたい場合は、中学校の校長が2026年10月末日までに申請書を出すと決まっています。東京都の就業技術科は、願書受付が11月上旬です。
✅ 中3の秋に、担任の先生と確かめること
- お住まいの都道府県で、高等特別支援学校にあたる学校・学科はどこか
- 出願の前に教育相談や学校見学が必要か。その申し込みの締め切りはいつか
- 療育手帳や判定書など、障害を証明する書類は何が必要か
- 検査で配慮(別室・問題文の読み上げなど)を頼めるか。申請の締め切りはいつか
- 選考の日程と、不合格だったときに続けて出せる学校の日程
このリストは、全部を今夜決めるためのものではありません。担任の先生との面談で上から順に聞いていけば、県ごとの答えが手元にそろいます。
療育手帳の扱いは県によって違います。岐阜県は療育手帳の写しを出し、手帳を持っていない人は、子ども相談センターなどの判定結果の写しで代えられます。手帳の判定の区分や地域による呼び名の違いは、療育手帳の等級の見方にまとめています。
中1〜中2の方は、まず学校見学と説明会の時期を調べておくと動きやすくなります。もうひとつ大事なのが、一人での通学です。条件にしている県が多いので、休みの日に駅やバス停まで一緒に歩くなど、少しずつ練習しておくと選択肢が広がります。支援級からの高校受験も比べたい場合は、支援級の内申点と高校受験を先に読んでおくと、両方の道を並べて考えられます。
落ちたらどうなる?その後に続く道
高等特別支援学校に不合格でも、そのあとに出せる学校があります。選考の時期が高等部より早い県では、結果を見てから次を考える時間が残っています。
岐阜県の日程を見ると、高等特別支援学校の合格発表が2027年1月29日です。そのあと、特別支援学校高等部の出願が2月3日から5日、検査が2月10日、合格発表が2月18日と続きます。東京都も、就業技術科や職能開発科の発表のあとに、2月2日に高等部普通科の入学相談があり、発表は2月18日です。
💡 落ちても、道は続いています
高等特別支援学校の選考は、高等部より先に行われる県があります。不合格でも、そのあとに特別支援学校の高等部や高校を考える時間が残っています。
高等部のほかに、高校という道もあります。全日制・定時制の高校を受けるときは、受験で配慮を頼めるかどうかを先に確かめておきます。別室や時間の延長などの申請のしかたは、県ごとに違います。
通信制高校も選択肢のひとつです。通信制高校は全日制と同じ高等学校で、卒業すれば高校卒業になります。レポートとスクーリング(登校して受ける授業)、試験で単位をとるしくみで、毎日通わない学び方を選べます。通い方の自由さは学校ごとに大きく違うので、何校かの資料を取り寄せ、登校日数と相談の体制を同じ表に写して比べるのが近道です。たとえば学校法人角川ドワンゴ学園が運営する【N高等学校】
は、時間割のないネットコースと、週1日から週5日まで通うコースから通い方を選べ、資料請求は無料です。
通信制を選ぶときに見ておきたい点は、通信制高校のサポート体制の見方にまとめています。高等特別支援学校、高等部、高校のどれを第一志望にするかは、本人が何をしたいかと、通学のしやすさで決めて大丈夫です。
卒業資格は高卒になる?大学入学資格と「高卒」の扱い
高等特別支援学校を卒業すると、特別支援学校の高等部を卒業したことになります。高等学校とは学校の種類が別なので、学歴としては「高等学校卒業」とは書きません。
それでも、大学に進む資格はあります。文部科学省は、特別支援学校の高等部を修了した人に、大学(短期大学を含む)の入学資格を認めています。根拠は学校教育法の第90条第1項です。
気をつけたいのは、求人や資格試験の「高卒以上」に含まれるかどうかです。これは募集する会社や試験を行う団体の決まり次第で、一律ではありません。高等学校の卒業そのものが必要な場合は、通信制高校などで高校卒業をめざす道があります。
| 気になること | 答え |
|---|---|
| 卒業すると何の学歴になる? | 特別支援学校の高等部の卒業。高等学校の卒業とは別 |
| 大学・短大は受けられる? | 受けられる。文部科学省が入学資格を認めている |
| 求人の「高卒以上」に入る? | 募集する側の決まりによる。応募の前に確かめる |
| 高校卒業がどうしても必要なら? | 通信制高校など、高等学校の卒業をめざす道がある |
高等特別支援学校の多くは、卒業後の就職をめざす学校です。だから「高卒になるか」と同じくらい、卒業生がどんな仕事についているかを見ておくと、わが子に合うかどうかが分かりやすくなります。見学のときに、卒業後の進路の内訳を聞いてみてください。
まとめ
- 高等特別支援学校は、主に軽度の知的障害のある生徒が、卒業後の就職をめざして通う特別支援学校。名前・対象・選考は都道府県ごとに違う
- 高等部の普通科との大きな違いは、定員と選考があること。東京都では就業技術科・職能開発科の名前で募集している
- 選考は学力・作業・面接の組み合わせが多い。岐阜県は国語・数学、作文、実技、個人面接を同じ比率で見る
- 不合格でも、そのあとに特別支援学校の高等部の入学相談や選考、高校の受験がある
- 卒業は高等部の卒業で、高等学校の卒業とは別。大学の入学資格はある
今夜はここまでで大丈夫です。明日、気持ちに余裕があるときに、お住まいの都道府県の名前と「高等特別支援学校」で検索して、教育委員会の要項のページを1つだけブックマークしておいてください。次の面談で、そのページを担任の先生と一緒に見られます。
よくある質問
高等特別支援学校には、療育手帳がないと入れませんか?
県によって違います。岐阜県は出願のときに療育手帳の写しを出し、手帳がない人は子ども相談センターなどの判定結果の写しで代えられると要項に書いています。栃木県は「障害があることを証明する書類」を求めています。お住まいの都道府県の要項で、何を出せばよいかを確かめてください。
発達障害(ASDやADHD)だけで、知的障害がなくても受けられますか?
多くの県では、知的障害のある生徒を対象にしています。東京都の知的障害特別支援学校の応募資格は「知的障害のある者」で、栃木県と岐阜県は知的障害の程度が軽度の人と定めています。知的障害がない場合は、高校の受験で配慮を受ける道や、通信制高校などを含めて考えることになります。
高等特別支援学校の入試問題は、どこで見られますか?
公開のしかたは県ごとに違います。岐阜県の要項では、追検査が終わったあとに学力検査と適性検査の問題を学校内に掲示するなどして公開するとしています。過去の問題や検査のようすは、学校見学や説明会で聞くのがいちばん確実です。
高等特別支援学校から大学や専門学校に進めますか?
制度の上では進めます。文部科学省は、特別支援学校の高等部を修了した人に大学(短期大学を含む)の入学資格があると示しています。ただ、高等特別支援学校の多くは卒業後の就職をめざす学校なので、進学を考えているなら、見学のときに卒業生の進路を聞いておくと判断しやすくなります。
参考・出典
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立特別支援学校幼稚部入学相談実施要項及び高等部等入学相談・入学者選考等実施要項について」(応募資格・就業技術科・職能開発科・普通科の日程と方法)
- 栃木県教育委員会「栃木県立特別支援学校の高等部及び幼稚部の入学者選抜制度要綱」(令和7年6月13日・高等特別支援学校の志願資格と選抜の方法)
- 岐阜県教育委員会「令和9年度岐阜県立高等特別支援学校入学者選抜要項」(令和8年6月26日・出願資格・療育手帳・検査の内容・配慮申請)
- 岐阜県教育委員会「令和9年度岐阜県立高等特別支援学校入学者選抜及び令和9年度岐阜県立特別支援学校高等部入学者選考について」(両方の日程)
- 文部科学省「大学入学資格について」(特別支援学校の高等部を修了した者・学校教育法第90条第1項)